パリ協定って何?さっパリわからない人へ【解説7】
さて、今回はパリ協定についてです。
カーボンニュートラルや地球温暖化対策の話題でよく耳にする「パリ協定」。
なんだか重要らしいけどさっパリわからない!なんて人も少なくないのではないでしょうか?
ということで、ポイントを絞ってなるべくわかりやすく説明したいと思います。
1.前回のおさらい
京都議定書では、先進国のみが温室効果ガスの排出削減義務を負い、また世界最大の排出国であったアメリカの不参加等、世界の足並みが揃いませんでした。
そのため、排出削減義務を負わない開発途上締約国の温室効果ガスの排出量が次第に増加し、世界全体の排出量の多くを占めるようになると、全ての国が参加する公平で実効的な枠組みの構築の要請が高まり、2015年12月にCOP 21で「パリ協定」が採択され、翌2016年11月に発効されました。
2.パリ協定の中身
では、パリ協定では何が決まったのか、そしてなぜ重要だと言われるのか。
それは、前回の京都議定書とは異なり、パリ協定は「歴史上初めて、新興国や途上国を含む全ての気候変動枠組条約に加盟する締約国が、目標の達成に向けた行動義務を負うものとなったから」です。
中高生のみなさん!スタッフTの勘ですが、おそらくこの理由はテストに出ると思います!要チェックです!(出題されなかったらすみません!責任は一切負いません!笑)
(1)世界共通の長期削減目標
では、パリ協定では具体的にどのようなことが決まったのでしょうか。
パリ協定は2020年からの世界共通の長期削減目標を掲げています。
(2)温室効果ガスの自主的な削減・抑制目標
これらの共通の長期削減目標を実現のために、各国はボトムアップ・アプローチと呼ばれる方法で削減・抑制目標設定を行うことになりました。
これは、京都議定書のトップダウン方式とは異なり、公平性や実効性の観点から自主的な取組を促すアプローチとして、各国がそれぞれの国の情勢等を踏まえて削減・抑制目標を策定する方法です。
◉自国が決定する貢献NDC
各国は自国の削減・抑制目標を「自国が決定する貢献(NDC:Nationally Determined Contributiom)」と呼ばれるものにまとめて、国連に提出することになりました(5年毎に更新したNDCを提出)。
◉透明性の確保(プレッジ・レビュー方式)
パリ協定における各国の削減・抑制目標については、達成義務を設けない努力目標となりましたが、達成に向けた進捗状況を定期的に報告し、専門家による評価を受けることが義務づけられ、透明性が確保される仕組みとなっています(プレッジ・レビュー方式)。
◉途上国支援・2国間クレジット制度
それから、先進国は、途上国に対し金銭的・技術的サポートを行うことも求められることとなりました。
さらに、先進国が優れた脱炭素技術をパートナーとなる途上国へ普及することを通じて、削減・吸収された温室効果ガスをクレジットとして取得し、先進国の削減目標に算定する「2国間クレジット制度(JCM)」という制度も活用できることになりました。
◉グローバル・ストックテイク
さらに、2023年から5年毎に長期目標と世界全体の進捗の整合性の確認を行う「グローバル・ストックテイク」が導入され、長期削減目標の達成度をチェックすることになりました。この結果を踏まえて、各国は次の削減・抑制目標の検討を行います。
3.終わり
その後、2019年に世界第2位のCO2排出国であるアメリカのトランプ元大統領がパリ協定の離脱を宣言し、翌2020年に離脱するという波乱の事件が起こりましたが、2021年にバイデン氏が大統領に就任しパリ協定に無事復帰を果たしました。
ということで、今回のパリ協定についてはここまでです。今回はちょっと難しかったかもしれないと反省しております・・・。
また、「各国の削減・抑制目標はどうなったの?」と思われた方もいるのではないでしょうか。
実は各国はパリ協定時に削減・抑制目標を定めましたが、長期目標である2℃未満に抑えることが難しいことがわかり、多くの国がパリ協定の時よりも高い目標を設定しました。
なので今回はパリ協定時の各国の削減目標についての説明は省略させていただきます。
次回、現在の各国の削減目標について説明したいと思います!それではまた!
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