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「整える」 リレーコラム③ - 藤田ゆかり

文化放送部リレーコラム。やばこさん、サチコさんに続いて、今回は藤田がコラム担当です。
5月のテーマは「整える」
どうぞお時間ある際に、是非お付き合いください。

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「整える」というテーマが発表された時、「あぁ、苦手なのきた……」と正直思いました。
というのも、私の生活や心内は「整える」と縁遠い。

毎日楽しくて、それなりに幸せだけれど、わたしの中身はそれはもう常に散らかっています。
楽しい!幸せ!と、尻尾を振ってかけ回っている時もあれば、
悔しい、悲しい、この世の終わり!と、這いつくばっている時もある。
一日の内に繰り返し浮き沈みすることなんて、日常茶飯事。
そしてその状態を整理したり整えたりしようと、今まで自発的に行動してきませんでした。

しかし、「整える」ということの価値だったり安心感は、なんとなく分かっているつもりです。
ではなぜ私は、「整える」ことに歩み寄らないのか?
そんなことを、考えてみようと思います。

乱された原因こそが、大切に想いたい何か

今回は「整っている」状態を"大丈夫"な状態として、話を深めてみたいと思います。
人に「大丈夫?」と問われて、強がりで答えるそれではなく、自分自身できちんと”大丈夫”と頷ける状態。

悔しいことや悲しいことがあっても、それなりに対処する方法を、きっと皆それぞれが持ち合わせている。
とことん向き合って解決する人もいれば、それとなくやり過ごして上手にかわせる人もいる。
たくさんの人との関わりや、心のやりとり、自然や気候、モノとの出会い。
いつ何が琴線に触れるかわからないけれど、整いを揺らす外からの働きには、少なからず慣れていくもの。

嬉しいことや楽しいことも同様で、ずっとふわふわ夢見心地に止まらずに、どこかで折り合いをつけて他に向かう。
他の感情だったり、感情抜きで没頭する作業だったり、睡眠だったり。
これも一つの対処なのではないかと思います。

そんな中で、がっつり心揺さぶられて、「あ、乱れた」と自覚する瞬間。
その原因って、心から大切に想いたい何かが関わっているのではないでしょうか。

あの人に言われたことが悲しくて、「大丈夫」と言えない。
ーー何でそんなに悲しいかって、あの人に対する自分の想いが大きいからだ。

仕事を上手く運べなかったことが悔しくて、「大丈夫」な状態に戻れない。
ーーこの仕事、かたちにしたくて頑張ったもんな。

何でかわからないけど、今この状況に納得いかない。満足いかない。なんだか「大丈夫」じゃない。
ーー人生一度っきりで、今この瞬間も大切な時間だって想っているからだ。

整えてしまう前に、隅々まで想い尽くしたい

プラスな乱れであれ、マイナスな乱れであれ、その原因ってきっと自分の中のとっておきや、心の中のたくさんを占めているもの。
だからこそ、簡単に処理してしまうことは難しい。
「整わない」状態が長く続いている時は、乱された原因やきっかけが、それだけ大切で大きなものだったのではないでしょうか?
じゃあもうそれって、しばらくそのままで良いのでは?と思います。

「整える」って、そんなに必須なことではなくて、後味が辛いのも含めて、大切を全うすればいい。
良い結果や、素敵な思い出や感情だけが全て大切なわけではない。

"「整える」ことに追われる必要はない"
何となくわたしが「整える」ことに歩み寄れなかったのは、こんな屁理屈があったからかもしれません。
乱された時は一度負けを認めて、「大切を自覚させてくれて、ありがとう」

自分自身を「整える」術を自覚しておく

……と暑苦しいことを言いつつ、「整える」術を持っている人は素敵だな、と思います。
整っている人に感じる安心感ってあるな、と。
整いたい時に自分で自分を助けてあげられる人は、安心して怪我ができるな、と。

もしかしたら、わたしにとってこれが「整える」術なのかも?と、かすりそうなものを最後に挙げて、今回のコラム(?)はおしまいです。

山に登る

自分の足で歩いて、綺麗な景色を見て、少し辛い思いをして、達成感を味わう。
山頂で飲むコーヒーが美味しい。
下山した後の温泉が最高。
疲れて考えごともせず眠る夜は穏やか。

本を読む

誰かの思想や物語が、すっと頭に入ってくる。
文字と向き合っているだけなのに、誰かの声が頭の中で鳴る。
考える、想う、整理する。
持ち帰って現実に戻ると、新たな発見がある。

動物と触れ合う

彼らは無条件で愛してくれる。
「ご飯をくれるから」っていうのが根本にあるのかもしれないけれど、お腹がいっぱいの時でも、まっすぐに頼ってくれる。
だから無条件で、愛を返してあげようと思う。
究極に純粋な、一対一のやりとりが落ち着く。

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一度向き合ってみると、自分がいかに感情任せに生きてきたのかが分かりました。
整えるタイミングと、整える術。苦手なわたしにどうか皆様のそれを、教えていただけたら嬉しいです。
(第一回目スナックsusonoは6月17日です。ぜひお話しましょう。皆様お待ちしております!)

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