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ダメなマーケターが数値指標を使いこなせないシンプルな理由

データドリブンなマーケティングが主流になった今、定量指標を効果的に活用することは、マーケターにとって不可欠です。しかし、本当にデータを活用できているマーケターは限られているのが現実です。

その理由のひとつに、「データを盲信し、自ら考えずに評価する」という問題があります。本記事では、フェルミ推定を使わないケースや、KGI/KPIを分解してイシューを特定しないアプローチが陥る罠について解説し、定量指標を効果的に活用するための正しい方法を考えていきます。

定量指標を使いこなせない評価者たちの共通点

現場でよく目にするのが、定量指標をただ数値として眺め、データを深く分析しないケースです。これは、数値に基づく判断が表面的であり、根本的な問題を見逃してしまうリスクを生んでいます。特に、マーケティングにおいてはフェルミ推定を活用して概算を行い、データの裏側にある本質を掴むことが求められます。

しかし、実際には「数字が上がった、下がった」と表面的な変動にばかり注目し、なぜその変動が起こったのかを考えない評価者が少なくありません。

フェルミ推定を避けることで生まれるリスク

フェルミ推定は、限られた情報からおおよその値を推定し、問題の規模感や優先順位を見極めるための強力な手法です。これを使うことで、データの全体像を捉え、現状の課題や問題を可視化することができます。

しかし、多くのマーケターがフェルミ推定を避け、具体的な数値に固執してしまうケースが見られます。このようなアプローチでは、データの表面だけを追いかけてしまい、「本当に解決すべき問題」が見えなくなってしまうのです。これにより、戦略が的外れになるリスクが高まります。

KGI/KPI分解を行わない人の思考停止

次に、KGI(Key Goal Indicator)やKPI(Key Performance Indicator)を分解せずに、表面的な指標で満足してしまう人に焦点を当てましょう。これらの指標を設定する際、最終的なゴールに到達するためにどの要素がどれだけ貢献しているのかを分解し、分析する必要があります。ここで重要なのは、単に数値を眺めるだけでなく、指標を細かく分解して、それが具体的な行動にどう繋がるのかを理解することです。

しかし、KGI/KPIを単純に「目標数値」として扱い、それに至るプロセスや課題を見極めないケースが非常に多いです。このようなアプローチでは、たとえ数値目標を達成したとしても、実際にはビジネスの根本的な改善に繋がらない可能性が高いのです。

問題を深く考えず、頭を使わない評価者が陥る罠

多くのマーケターが抱える問題は、定量指標を表面的にしか理解していないことにあります。数値をそのまま盲信し、自社の実態に合わせた解釈や調整を行わないことで、結果的に判断を誤るケースが頻繁に見受けられます。ここでは、その具体的な事例を見ていきましょう。

①CPA/CACの算出方法を検索結果の上位に出てくる方程式で鵜呑みにする

例えば、顧客獲得単価(CPA)や顧客獲得コスト(CAC)といった指標を計算する際、単にGoogle検索で上位に出てくるような方程式をそのまま使ってしまう人が多くいます。しかし、この手法は危険です。自社のビジネスモデルやターゲット市場を考慮せずに定式化された数字を当てはめてしまうと、実際には全く違った結果を招くことがあるからです。

現実には、自社のビジネス環境やマーケットの成熟度、商品のライフサイクルなどに応じて個別の変数を反映させた計算が必要です。それを無視し、「公式だから」と鵜呑みにした結果、誤ったコスト評価が行われ、広告費用が無駄に膨らんでしまうリスクが高まります。

これにより、マーケティング予算が適切に分配されず、全体の投資対効果(ROI)が低下するという結果にも繋がりかねません。

②集計期間別にデータを評価しない

また、データを一度にまとめて集計し、長期的なスパンで評価を行わず、月ごとや四半期ごとの変動を無視するケースも多いです。これでは、季節変動や特定キャンペーンの影響が読み取れず、重要なトレンドやパターンを見逃してしまうことになります。

特にBtoBやBtoCの業界によって、購買サイクルやトレンドの変化が異なる場合、時期ごとの詳細な分析が不可欠です。しかし、それを無視して「データがまとまっているからこれでいい」と決めつけると、顧客の動向を把握できず、施策のタイミングを大きく誤る危険性があります。

結果として、タイミングを見誤ったマーケティング施策に投資してしまい、せっかくの施策が効果を発揮できずに終わることも。

③仮説を立てずにデータを分析する

さらに、そもそもデータを分析する前に仮説を出さないというケースも多く見られます。データはそのまま眺めているだけでは無意味であり、分析に先立つ仮説があって初めて効果的な洞察が得られます。仮説を立てることで、「なぜこの数値が上がったのか?」「なぜこのKPIが低下したのか?」といったイシューに迫る分析が可能になるのです。

仮説を立てずにデータを漫然と眺めていると、具体的な行動に繋がる結論を導き出すことができません。その結果、データから得られる洞察が浅くなり、次の施策に対する効果的なアクションプランを策定できなくなります。

◯結果として生じるリスク

こうした「頭を使わない」評価の結果、マーケターは以下のような深刻なリスクに直面します。

・誤った意思決定
自社の状況を反映しないデータに基づく意思決定を行うことで、広告費用やプロモーション予算が適切に配分されず、投資対効果が著しく低下します。無駄な費用が発生するだけでなく、結果が出ないことで経営陣の信頼を失う可能性も高まります。

・市場の変動に取り残される
季節変動やトレンドの影響を見逃すことで、顧客のニーズにタイムリーに応えられず、競合に先を越される危険があります。特に、新商品やサービスを投入する際にタイミングを誤ると、貴重な市場機会を逸してしまうことにも繋がります。

・改善施策が空振りに終わ
仮説を立てずに分析を進めると、どこを改善すべきかというイシュー特定が曖昧になります。その結果、打ち手が効果を発揮せず、施策が失敗に終わるリスクが高まります。無駄な施策が繰り返されることで、予算と時間が浪費され、チーム全体の士気低下も招きかねません。

正しい定量指標の使い方

では、どのようにして定量指標を正しく使いこなすべきでしょうか?まず重要なのは、データの変動をただ追うのではなく、その背後にある要因や顧客の行動パターン、心理的背景を理解することです。

フェルミ推定を活用し、全体像を掴む

限られたデータからおおまかな規模感や重要度を推定し、効果的な打ち手を見つけましょう。これにより、的外れな対策を避け、解決すべきイシューに集中できます。

KGI/KPI分解で目標に至る道筋を明確にする

目標指標を達成するために、どの行動や施策が貢献するのかを細かく分析することで、具体的な改善アクションが見えてきます。分解せずに漠然と数字を追うことは避けるべきです。

データの裏側にある因果関係を見抜く

データそのものが何を示しているのかを深く考えることで、より効果的な戦略を立てることができます。たとえば、顧客の行動や市場のトレンドを理解することで、数値の変動に対応するだけでなく、根本的な課題解決が可能になります。

まとめ

マーケティングにおいて、定量指標を使いこなすためには、表面的なデータをただ眺めるのではなく、その背後にある本質的な課題やイシューに焦点を当てることが重要です。フェルミ推定やKGI/KPI分解といった手法を駆使し、データを「読み解く」スキルを磨くことで、より的確なマーケティング施策を実行できるようになります。

頭を使わずにデータを鵜呑みにする評価者の罠に陥らず、データの本質を理解して成功を掴むために、あなたも一歩進んだ分析力を身につけましょう。

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