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ユーザーの「意識の高さ・低さ」で発信情報やマーケティング戦略は変えたほうがいい
WEBマーケティングの一環でVTuberに取り組んでいる、スシテンコ先生(@sushitenko)です。
SNSマーケティングなどに施策において、よりユーザーと近い距離で情報発信をする際に気をつけておきたいと感じているのが「想定ユーザーの意識の高さと低さ」について。
以下、電通のリサーチ情報・分析を含む、クラスターに関しての記事。
SNS時代におけるニーズに合わせて「上昇志向/ストイック(意識レベル)」と「情報拡散/シェアマインド」という二つの指標を用い、ユーザー層の分類を可視化したわかりやすいフレームだと言える。
私自身、SNS施策の体感値として「上昇志向の高低(意識の高さ・低さ)」は、情報拡散力やユーザーの行動意欲に結びつく重要な要素だと実感している。
VTuberのSNSアカウント運用や拡散されやすい情報、あるいは視聴者コメントなどを見たところ、体感値としては以下のような分布になると想定。
※あくまで体感値なので、調査・検証は必須な類の仮説。
ビジネス系クラスターと比べると、VTuberクラスターの上昇志向は低く、情報拡散に関しては娯楽系・トレンド系のネタは波及しやすいといった所感。
逆に「タメになる情報」「勉強になる情報」「課題提起となる情報」の拡散力は著しく低い。
(流すとしたら、エンタメ性やアカウントのキャラクター性を前面に出すなど、工夫が要される)
これは「情報拡散/シェアマインド・高」に属する層がインフルエンサー的ポジションにいるにも関わらず、当人の上昇志向があまり高くないことに起因するかと思われる。
前置きが長くなったが「意識の低いユーザー層」が多いと、以下のような問題が生じる。
・厄介なクレーマーやアンチとのエンカウント率が高くなる
・情報拡散力が低下し、宣伝効果や営業効果が見込めない
・受け身なユーザーが増え、コンテンツ制作者の労力が増す
・陰キャ・コミュ障との接触が増え、コミュニケーションコストが増す
・向上心や学習意欲が低く、自発的に学ばない・動かないVTuberが増える
これらの何が問題かと言うと、過度にユーザーとの距離感が近くなったWEB(SNS)マーケティングにおいて、本来関わるべきでない人間とのミスマッチ率が増えてしまい、活動の妨げになりやすいことにある。
とくに、視聴者=ファンとなりやすいVTuber・配信系の活動おいては、戦略設計を間違えて意識の低いユーザー層ばかりに対応するあまり、優良顧客を逃していく結果になりかねない。
また、一定のビジネス経験があって損得勘定の計算が出来る意識の高い層と、そうでない意識の低い層とでは、物事の認識が噛み合わないことも多い。
VTuberクラスター相手に何かしらの活動を行うとなると、意識の低い層への対応やアプローチ方法は、必ず考えておかなければならない問題だ。
これが現実の組織運営であれば、マネージャー階級(管理職)が部下を教育すればいいのだが、ネット経由で関係性が曖昧になるVTuber同士内では、極めて難しい課題となる。
この難しい課題に取り組む気がある方に向けて、私自身の課題認識や分析を共有する意味で今回の記事を提供する意味で、この記事をお届けしたいと思う。
※有料記事での公開でしたが、無料にしました。
意識の低すぎるユーザーは他人の邪魔や足を引っ張ることに意識が向きがち
まず「意識の低いユーザー層が多すぎることの弊害」から説明しておきたい。
意識が低いことの何が悪いかと言えば、他人の足を引っ張ることに労力を割くことに躍起になる点にある。
VTuber界でも、一番厄介な要素となってしまったのが、この意識が低い層が全体の足を引っ張る構造となってしまった点にある。
率直に言うと、物申す系の存在とそれを支持する層とで企業(あるいは有名個人VTuber)との対立構造を生み出し、ユーザーとコンテンツホルダーの関係をこじれさせてしまったことは、当人たちが思っている以上に悪影響が大きい。
(これに関して「考えすぎじゃない?」と指摘してくる人もいたが、VTuber関連企業の対応の稚拙さを見ていると、どう考えても「どうでもいいゴミ顧客の悪意に引っ張られすぎ」にしか見えない…。全体像が見えてなかったり、マクロ視点を持ってない人が多いことの証左でもある)
ネットの事例などを見ても「ハセカラ民」など、調子に乗り過ぎた有象無象の影響で仕事に間接的な損害が出たケースは、数知れない。
世間を騒がせた「バイトテロ」などの事例も、記憶に新しい。
この手の騒動は、企業や経営階級から見れば「厄介だが、潰す価値すらない程度の些末事」なので、見せしめにネットユーザーが潰されることは稀だ。
基礎的な法知識もない。
社会のルールも知らない。
暗黙の了解も察せない。
このような、意識が低い上に他人の足を引っ張るしか能がない人間が、VTuberのボリューム層になっているのである。
(厳密に言えば、声の大きいノイジーマイノリティが過剰な意見を拡散させるため、多数派意見を占めているように感じさせているだけだが…)
構造だけで言えば、スポンサーの存在や契約、利権により一定の秩序が保たれるマスメディアよりもタチが悪い。
VTuber視聴者層は「意識が低いユーザー」という想定で情報発信した方がいい
VTuber視聴者層は、全体的に「意識が低い」と考えていい。
一方的にコンテンツを消費するだけの「お客様」が多く、無料動画サイトでの情報発信が主流になる以上、金を落とさないのに要求はいっちょ前の、質の悪い顧客層がメインとなる。
この層は「他人の足を引っ張るまでの妨害はしてこないが、得になることは少ない」ぐらいに考えておくといい。
何も、私は全VTuber視聴者に「お金を払え」と言っているのではない。
お金を払わないのであれば、それ相応の対価を差し出せばいいだけの話だ。
たとえば、VTuberとして活動している人の励みになる応援であったり、情報拡散であったり、配信で視聴者と配信者で盛り上がることのできるコメントやネタの提供であったり…。
視聴者・発信者ともに、互いに協力して「一緒にコンテンツを作り上げていく」ということは、お金を出さずとも誰でも出来る。
だが、意識の低いユーザー層は「一方的に与えられるだけの存在」であることを望む。
ここでもう一度、VTuber視聴者(消費者)の推定分布を見てほしい。
VTuber視聴者層の多くは「無気力系」「趣味中毒系」に分類されるので、情報拡散意識や宣伝意識は低い。
もっと言えば、自分が気持ちいい思いを出来るか否かにしか興味や関心がないとすら感じる。
※これに関しては、夢惑みるるさんの以下の記事の分析がわかりやすい。
こうした「毒にも薬にもならないが、数としてはカウントされる意識の低いユーザー」がVTuberクラスターには多数存在するため、見かけの数字だけは派手に稼げる。
そのため、VTuber事業はビジネスとしては赤字になることが多いだけならともかく、得にもならないくせに要求はいっちょ前の客が増えすぎて、演者も企業も疲弊していくのである。
非クリエイター・リスナーVTuber層も「意識が低い」と想定しておく
これまでのユーザー層の分析は、あくまで「消費者」側の話だが、VTuberには「リスナーVTuber」と呼ばれる、コンテンツ発信者でありながら消費者にも分類される微妙な立ち位置の存在が多数混ざっている。
このリスナーVTuberという存在が、VTuberという存在をますます厄介にさせ、プロとアマチュアの境界線を曖昧にしていく。
「REALITY」などのアバターメイキングが容易なプラットフォームなどを見るとわかるが、VTuberとしての参入が容易であればあるほど、配信者としてのプロ意識が希薄なコンテンツプラットフォームとなり、ユーザーの質が低下していく。
その結果「VTuber」という総体での評価は悪貨によって価値が落ちていくこととなった。
このあたりの動向を読んで早期に「箱化=ブランディング」に舵を取っていた「にじさんじ」などの経営戦略・運営方針は結果として正解だったと言えるだろう。
CF騒動などで界隈を騒がせた「ふぇありす」氏も、リスクマネジメントとして「にじさんじネットワーク」に在籍させておくだけの采配にしていたあたり、ブランディング意識・人材の質にはかなり気を配っていたと見える。
話が脱線したが、ここで述べたいのは「視聴者の延長線でしかないリスナーVTuber層も意識が低いユーザー層に分布する」という話だ。
これは数字の大小や知名度、あるいは企業・個人関係なく、VTuber全体に見られる傾向だと言ってもいい。
その原因は、先ほど述べた「自分が気持ちいい思いを出来るか否かにしか興味や関心がない」という、VTuber層の目的が承認欲求に寄り過ぎていることにあると思う。
人間は他者を認識する能力を身につけ、社会生活を営んでいくうちに、「誰かから認められたい」という感情を抱くようになる場合が多い。この感情の総称を承認欲求という。承認欲求は努力へのモチベーションになるが、強すぎるとお金・地位ばかりを追いかけて幸せになれない。また詐欺師・ヒモ男などは、相手の承認欲求を悪用しているとも言える。とくに愛情不足で育つと、承認欲求が強くなる傾向がある。※逆に諦めて、全く承認を求めなくなることもある。
長年にわたり社会科学の視点から承認欲求を研究してきた太田肇によると、承認欲求は現実の組織や社会において自己実現欲求などよりも強い力で人を動機づけている。一方で承認欲求の表れ方は文化や風土にも左右される。日本人は「周囲から認められなければならない」「期待を裏切れない」という切迫した感覚に陥りやすく、それが過激な動画の投稿、パワーハラスメントやいじめ、不登校、過労死、企業不祥事などの社会問題を引き起こす場合がある。
現実で上手く行かない人間が、楽に手っ取り早く気持ちいい思いをするためには「VTuberになる」という選択が良い。
少なからず、VTuberをやっている人に対しては過度に「楽しそう」「人気が出る」というイメージが定着している。
そして、誰もが比較的簡単にVTuberになれる。
また「VTuber」という共通項だけで、仲間やファンが容易に増える。
「君たちも今日からVTuberとしてデビューして、特別な存在だ!」
このような夢を売るプロモーションにより、希望を抱いた人間が漠然とVTuberを名乗ってデビューして、周りの真似をする。
要は「VTuberを名乗ってプロっぽいことをしておけば、有名VTuberと仲良くなれる(かもしれない)」「VTuberになれば憧れのVTuberみたいになれる」ことが、VTuberを始めるきっかけや目的と化してしまっている。
事実、私が何かしらの課題や悩みを抱えている個人VTuberからヒアリングしている限り、多くの場合は「それはVTuberでやる必要がない」「他のことをした方が効率よく目的を達成できる(課題を解決できる)」というケースばかりだ。
マーケティング的な集客意図で言えば、承認欲求を煽って新規ユーザーを増やす意図は決して間違いではない。むしろ時代に則している。
だが、問題は「無限に承認欲求を満たし合うだけの、何一つ成長要素のない構造や仕組み」が成立してしまおうとしているところにある。
VTuberとして活動する人が、あくまで永遠に消費者で居続けたいのであれば、意識が低いまま何かを与えられる存在でいてもいいとは思う。
しかし、そこからもっと先に進むためには、あるいは承認欲求を満たし合うだけの成長のない集団から抜け出すために…
一体、何が必要かすら把握できていない
…のである。
ここから先に進むのであれば、何が必要かぐらいは自分で考えて見つけ出して欲しいとは思う。
少なからず、ちょっと行動すればヒント程度はすぐ見つかるように世の中は出来ている。
意識が低いユーザーを大事にしてもいいことはない
以上、VTuberの視聴者層全体の意識が低いことで生じる問題や、ユーザー層の分析(体感)について説明してきた。
私自身のVTuberとしての活動やSNS施策を通して、以下のような課題を実感することが非常に多かった。
・行動意欲が低いので情報拡散に結びつかない
・アンチやクレーマーが多く精神的に消耗しやすい
・自己学習しないので教育や啓蒙が無意味に終わりやすい
・目的意識が希薄なので馴れ合いに終始しやすい
短期で結果を出そうと思うのであれば、いずれも心を折られる要素となる。
ここで一つ気をつけて欲しいのは「意識が低いユーザーは、過度に大事にする必要はないが、ないがしろにし過ぎる必要もない」ということ。
意識が低いユーザーは「流されやすい」「人気コンテンツを盲信しやすい」という性質がある。
マーケティング戦略次第では、強力な拡散力や消費行動に期待出来る。
逆に、コンテンツ立ち上げ時や活動黎明期であれば、意識が低く受け身でリターンに期待できないユーザーは切ってしまった方がいい。
活動初期において、大したリターンも提示できない割に、何度もしつこくアプローチしてくる視聴者など(しかもその方法が精神的に不愉快)、相手したところで何の得もないどころか、時間の無駄である。
私自身の反省も含むが、VTuberとしても関わる相手は選ぶべきであると痛感されられる、2019年だった。
補足1.数字に反映されにくいサイレントマジョリティーの存在
今回の記事は、あくまで「目に見える範囲」での分析になったので、ノイジーマイノリティやマジョリティー層に対してのバイアスがかかっている。
なので、サイレントマジョリティー層の存在は考慮していない。
ちなみに、私のバズってしまった記事の反応をまとめたところ、MECE的にVTuberクラスターの分布を考えると、明らかに表で意見を表明していない層が存在する。
(ディスコード内での裏の反響も踏まえると、リスクを恐れて表で課題提起や議論系の話題に触れない層もかなりの数いる模様)
VRクラスターも含めると、VTuber関連のSNSアカウントやユーザー分布はさらに多岐にわたるはずなので、調査や分析、フォロワー開拓が必要だ。
補足2.顧客デザイン(教育による意識向上)
VTuberクラスターは意識の低い層が多いという事実を踏まえ、必要になってくる考え方が「顧客をデザインする(教育する)」という考え方だ。
(これに関しては、現役コンサルタントの「星路アキナ」氏から指摘があり、気づかされた要素)
この「顧客をデザインする」という考え方だが、成果を出している配信者やコミュニティでは、上手く出来ていることが多い。
意識の低い視聴者層を切る判断も大事な一歩で、視聴者をデザインする(教育する)という考え方も、今後のVTuber生存戦略には不可欠な要素となるだろう。