バーチャルマガジン「Vi-Cross」を立ち上げるに至った経緯について
バーチャルマガジン企画「Vi-Cross」が立ち上がるに至った経緯から、今後の活動方針までをご紹介していきます。
※ 当記事ではVTuber/VRアバターを通して活動されている人を一括して「バーチャルを通して活動する人」「バーチャルな存在」と表現しています。
このプロジェクトは「note」でバーチャルな存在として活躍されているライターを募り、とある「軸」と「目的」を持ち、マガジンとして情報発信をしていくものです。
先日、簡潔ではありますが企画発足について、告知させていただきました。
メンバーによる宣伝の協力もあり、Twitter上でも好評を得て、Googleディスカバリーにも掲載されました。
このように幸先のよいスタートとなったVi-Crossですが、企画自体は1か月前から進行しており、メンバー間でも認識共有等行っております。
我々の掲げる理念や課題を共有し、今後Vi-Crossの記事を楽しく読んでいただくためにも、当記事では詳しくVi-Crossの発足経緯や目的をお伝えしていきます。
課題-バーチャルが普及するための障壁
私が一年間、個人VTuberやVRアバターを運用している方と接する中で見えてきた課題として、以下のようなものがあると考えています。
※ 技術系の課題や資金面の課題は割愛。あくまで完全新規の個人が活動する場合に障壁となりやすい課題をリストアップ。
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、私は2019年8月に「VTuberに対する絶望と失望|私がVTuberを始めた理由と今後の方針」という記事で計3万PVを獲得するにいたり、良くも悪くもVTuberやVRアバターに携わる方に知れ渡ることになりました。
この記事投稿後、私が行っていた活動は表向きは非常にわかりにくいものであったとは思います。また、私自身が活動方針に迷いが多く、精神面もあまり安定していたとは言えませんでした。
その理由は単純で、
バーチャル(VR・VTuber)をより多くの人に広げるためにはあまりに障害が多すぎる
…という現実が嫌でも見えすぎて、うんざりするのです。
少なからず、私のあの記事が拡散されてしまった背景には、私と同じような思いや悩みを抱えている方が多いことの証左でもあると思います。
認識-バーチャルに存在する「大きな流れ」
市場・経済には「大きな流れ」が存在します。
人が集まれば同じ方向に向かう人がいるように、バーチャルに関わる人間も大きな流れに身を任せて、どこかに向かっているのです。
そのような「大きな流れ」があるとして、それをより多くの人々が認識して共有するためには「言語化」することが大事になってきます。
自分の中にある感覚や感情、体験と言ったものは「言葉にしてこそ初めて他人に伝えられる」ことができます。
そう言われても、いまいちピンと来ない人も多いかと思いますが、そのような方は、
「自分がなぜバーチャルな存在となったか?」
「自分が何者なのか?」
…と言った情報を、バーチャルをまったく知らない人相手に初対面で伝えられるかどうかで考えてみてください。
おそらく、多くの方が伝えきれないかと思います。
自分で自分自身の定義すら出来ない人間が「VTuberが~」「VRが~」だの議論して勝手に定義づけたところで、自分自身がなければすぐに揺らいでしまうわけです。
そして、自分自身をしっかり定義できていない人間は、他人にも興味が持てませんし、バーチャルに存在する大きな流れにも気づきません。
その結果、マスメディアで報じられているゴシップ番組と何一つ変わりない物申す系の動画で毎回騒いだり、他人の些末な問題を安全地帯から眺めて楽しむわけです。
ただ、そのような中でも、着々とやるべきことやって、バーチャルの発展に貢献したり、自分自身の目標を達成するために活動している方もたくさんいらっしゃいます。
ですが残念ながら、真面目にコツコツ活動している人の情報も、刺激の強いゴシップ系の話題に流されてしまうのが現実です。
では、このような状況下で、バーチャルで生きる人々が、より自分の情報を届けたい人にしっかり届けたり、あるいは自分が本当に欲する情報を伝えるにはどうすればいいのでしょうか?
「自分自身を自覚し、バーチャルに存在する流れをより理解する」
これだけでいいのです。
自分自身が何者かもわからないまま、ネット上の数多い情報に毎回流されていては、いつまで経ってもたどり着けるべき場所にもたどり着けません。
また、バーチャルに存在する流れが見えてこなければ、すべてのVRアバターが「全員、キズナアイと似たようなもの」と見分けすらつけられません。
その結果、企業VTuberと個人VTuberの話がごっちゃになり、切り分けて話すことすらできず、いわゆる「クソデカ主語」に惑わされる人が増えるわけです。
話が脱線しそうなので、以下の図解で「バーチャルの流れを読むための手順」を簡潔にまとめています。
この図解を見てもパッと来ない方もいらっしゃるかもしれません。
そのような方は、そもそも「なぜこの記事にたどり着いたか?」を考えてみてください。
少なからず、私やVi-Crossの参加メンバーと共通する「何か」があって、この記事にたどり着いたはずです。
人はそのような縁や出会いなどを「運命」などと呼んだりします。
理念-「バーチャルを通して自分らしい生き方を見つけ出す」
以上のような課題や認識を踏まえ、「Vi-Cross」ではスローガンとして、
「バーチャルを通して自分らしい生き方を見つけ出す」
…という理念を掲げることにしました。
バーチャルではよく「なりたい自分になる!」という理想が叫ばれていますが、バーチャルアバターを獲得したかたと言って、必ずしも理想の自分になれるわけではありません。
むしろ、なりたい自分になれずに、
「こんなはずじゃなかった…」
「なりたい自分になったのに思うように行かない…」
…と悩む方の方が大多数だと思います。
残念ながら、バーチャルアバターには人を変える力はありません。
バーチャルはただの技術です。
キズナアイの中には…
声優さんがいて、
声優さんが読む台本を書く人がいて、
動画を編集する人がいて、
会社を運営する人がいて、
資金を調達する人がいます。
これは何もキズナアイだけでなく、すべてのVTuberやVRアバターを被って活動する人に言えることです。
ここまで書けばお気づきになられるかと思いますが、世の中を変えるのは「革新的な技術」ではなく「人」です。
仮に、技術が世界を変えられるというのであれば、スマホが普及して人類が怠惰になることはなかったでしょう。
技術が変えるのはあくまで「コミュニケーションの仕方」「生活」「仕事」などの範疇であり、人間の本質までは変えられません。
キズナアイを筆頭とする「バーチャルな存在」が世の中を大して変えられなかったのは、技術だけが先行し、技術を用いる人間が変化に適応できなかったからです。
バーチャルという技術や概念は、あまりに人類には早すぎて難解だったのです。
もう一度言います。
バーチャルはただの技術です。
そして、技術は使う人によって、悪にも善にも染まります。
ノーベル賞の立ち上げのきっかけとなった「アルフレッド・ノーベル」は、ダイナマイトを開発した後、自分の生み出した技術が殺人のために使われ、後悔したことは有名な話です。
幸いなことに、バーチャルには直接人を殺す力はありませんが、むしろその分残酷だとも言えます。
というのも、バーチャルはその依存性から、何一つ生産性も進歩もないような空間に人間を閉じ込めて、じわじわと生きたまま殺すこともできるからです。
技術を活かすも殺すも、人間次第。
技術に飲まれて自分自身を失いたくないなら、
バーチャルという技術を支配して、
自分の人生を獲得しなければいけません。
「○○でなければVTuberは伸びない!」
「VRはこうでなければいけない!」
このような「他人の意見」や「誰かが勝手に決めたルール」に惑わされて、自分自身の人生すら獲得できてない人があまりに多いこと。
私がVi-Crossでやりたいのは「技術程度で人間を支配できると思うなよ?」という、ただの戦いです。
そのためには「バーチャルを通して自分らしい生き方を見つけ出す」という理念を掲げ、一人でも多くの人に自分自身の人生を獲得してもらい、バーチャルという技術に支配される側ではなくバーチャルを支配して新たな自分に生まれ変わっていただきたいのです。
任務-バーチャルに関わる個人の情報発信力強化
Vi-Crossでは「バーチャルを通して自分らしい生き方を見つけ出す」という理念のもと「バーチャルに関わる個人の情報発信力強化」というミッション(任務)に取り組んでいきます。
早い話、バーチャルで活躍する人が「本当に自分がやりたいことをやって、その楽しさや良さをしっかり発信」していれば、それだけで「バーチャルな存在」というのはより世界に受け入れられていくはずです。
では、なぜそのようにならないのか?
それは本人は楽しんでやっているように見えても過剰にファンやアンチの意見を気にしていたり、周りの評価や、誰かが決めたルール(数字、規則、○○べき論等)に縛られているからです。
「なりたい自分になるために始めたバーチャルで、なりたくもない自分になっていく」
このようなジレンマ・矛盾が発生するわけです。
その結果、バーチャルな存在が行っている活動は、退屈で平凡でつまらないものとなっていきます。
新しい発見も進歩もない。
希望も未来もない。
ただ、流される情報を飲み込むだけ。
このような状況を個人で変えていくには、バーチャルに関わる人々が情報発信力を身につけていくわけしかありません。
たとえば、私がnoteデビュー記事でバズった際に反響をまとめておいたのですが、ここで声を大にして「いや、VTuberにはこういう楽しみ方もある!」と主張したのはごく少数です。
声を挙げた大多数が私に噛みついて批判したいだけの連中であって、代案も出せないような人間ばかりであったことが、より一層、私の絶望と失望をかきたてました。
「お前ら、本当はVTuberもバーチャルも好きじゃなくて、ただ騒ぎたいだけだろ?」
ただ、バーチャルという新しい技術、VTuberという新たな文化の可能性を楽しみたかっただけなのに、あまりにその可能性を潰そうとする輩が多すぎて、うんざりする…。
もちろん「騒ぐことが楽しい!」という層がいることは理解しているが、それだけではあまりに虚しすぎるし、結局は何も残らない。
このような状況を打破するためには、バーチャルに関わる人の情報発信力を鍛え上げ、個人側からより広い世界にアプローチしていくしかありません。
Vi-Crossはそのシンボルとなるため、まずは個人の情報発信力強化というミッションに取り組んで参ります。
展開-バーチャルを通してあらゆるものをつなぐ
「Vi-Cross」の中長期的かつ現実的な展望として「バーチャルを通してあらゆるものをつなぐ」という計画のもとに進行していく予定です。
「バーチャルがただの技術」というのは先ほど説明した通りです。
ただの技術は生活に必要なければ、すぐに飽きます。
ちょっとアバターを動かして「すごーい!」と満足すれば、バーチャルのことなんか忘れてしまうのが大半です。
では、その「ただの技術」が忘れ去られないように、あるいは生活に必要なレベルに発展するためにはどうすればいいのでしょうか?
バーチャルは現実にリンクして初めて、
必要な技術として受け入れられます。
バーチャルはバーチャル空間で終わるだけでなく、現実という土台があってこそ輝くのです。
そのためには、今までのような「狭いコミュニティ内で盛り上がるだけのオタクの技術」から抜け出し、より多くの人に理解される概念へと進化していかなければなりません。
かつて、オタク文化はここに失敗してしまい、ことごとく商業主義に侵略して敗北してきました。
商業主義に侵略されて自分たちの文化を支配されてしまわないためにすべきことは簡単で、侵略されるより先にこちらからシェアを奪うことです。
そのためには、リアル側にバーチャルが侵略されるより前に、こちらからリアル側を侵略してやればいいだけの話です。
もちろん、これは「言うは易く行うは難し」ですので、実行しようとすれば並々ならぬ労力を要されることとなります。
そして残念なことに、バーチャルで活躍する人の中に「外(現実)にバーチャルを広めよう!」と意識している人はごく少数で、大半の人は内に籠って終わりです。
最初から「外に広げよう!」という発想すらないのですから、気づいた時には外から侵略されて終わりになるわけです。
その後「あの頃は良かった…」なんて身内で思い出話に浸るなんて風景、今まで何回も見てきました。
それは、思い出でもなんでもない。
お前らが文化や誇りを守り切れなかった負け惜しみだ。
何が「守りたい」だ?
何が「救いたい」だ?
バーチャルが現実から切り離された空間だとしても、いずれは現実側に染められてしまうのは、歴史が証明している。
敗戦後、欧米文化や資本主義によって日本人が日本人らしさを失ったように…。
地方のアーケード街が大手量販店に閉店に追い込まれたように…。
世界の人間がGAFAなしでは生きられない身体になっていったように…。
やがて、バーチャル空間も同じ道をたどっていくのは間違いない。
であれば、誰かが文化を、技術を、人を、未来を、希望を、外につなげなければならない。
ただ、私一人の力だけでは、絶対にそれは為し得ません。
なので、今回「Vi-Cross」とプロジェクトを立ち上げ、協力者を募る方針で活躍していくことを決心しました。
読者の方から期待されたり応援されることはありがたいことではありますが、それ以上に「今は誰でも個人で情報を発信できる時代である」ということを思い出して、個人個人が自分が出来ることに前向きに取り組んでほしい。
誰もが「自分だけのバーチャルリアリティ」を、胸を張って現実でも語れるような時代が来ることを願って。
Vi-Crossの今後の更新予定について
バーチャルWEBマガジン企画「Vi-Cross」では、今回紹介したようなコンセプトや方針を元に、在籍メンバーでバーチャルに関する情報発信を重点的にしていく予定です。
興味のある方は、以下のページにてVi-Crossをフォローしていただければ、今後も新規記事追加の度にお知らせが届きますので、ぜひチェックしてみてください。
また、今回の挿絵(漫画コマ)は、普段から活動でご協力いただいている、みちるのーと(@Rain_iscream)さんに描いていただきました。
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