みちるのーとさんのヘッダー制作コンサルティング【VTuberで学ぶマーケティング論-実践編】
ども。スシテンコ先生(@sushitenko)です。
私事ではありますが、VTuberの中でも「クリエイターとして収入を得たい!」「フリーランス(あるいは副業)として稼ぎたい!」という意志のある方に向けて、WEBマーケティング・ビジネス視点でコンサルティング的な取り組みを行っております。
(私ごときの身分が「コンサルティング」を名乗るのは本業の方に恐れ多いのではありますが…)
中でも精力的に活動している、みちるのーとさん(@Rain_iscream)に関してはかなり実践的な提言ができており、的確なアウトプットとフィードバックを得ております。
現段階でみちるのーとさんが実践中の内容としては「ヘッダー制作およびノウハウ紹介」で、以下のnote記事も連載中です。
上記のみちるのーとさんの活動ですが、私自身の戦略設計およびアドバイスに沿っております。
ですので、私側からもnote記事で思考・ノウハウに関して公開しようかと思いました。
ちなみに、現段階ではみちるのーとさん自身のマネタイズ(収益化)が出来ていないため、当記事は無料での公開となりますが、彼女が収益化出来た際には有料化する予定です。
私自身のVTuber(クリエイター)向けのマーケティング戦略の再現性や実現性に関しての実験的側面もありますので、気になる方は最後まで読んでみて、ご自身の活動の参考にしていただければ幸いです。
強みの発見
まずは、みちるのーとさんの「強み」を踏まえた上で、マーケティング戦略を考えていきます。
私自身が個人VTuberと関わる際に意識していることですが、出来る限り「本人の強み(≒個性)」を発見し、市場ニーズに組み込めるように活動方針を設定しております。
みちるのーとさんの話を聞いた結果、本人の強みとして活かせそうだと判断したポイントは以下の通り。
・デフォルメ絵が上手い
・言語化能力に優れている(ノウハウ共有力)
・ヘッダー制作に熱心(需要把握力)
・制作環境が「スマホ」
逆に「弱み」としては、以下の通り。
・イラスト力がそこまで高いわけではない(現役プロと比べて)
・デッサン経験など、基礎的なアートスキルがあるわけではない
・作歴がないので、多岐多様な提案が出来るわけではない
みちるのーとさんのポートフォリオを見るとわかりますが、現時点での作品量や技術力では、既に活躍されている絵師・クリエイターさんに太刀打ちできるまでにはかなりの時間がかかるかと思います。
私自身、クリエイターを目指していて、何度も「あ、この人には勝てないわ」と思ってきた経験があるので、現状のみちるのーとさんの力量では純粋にクリエイターとしての技術力のみで勝負していくは厳しいと判断しました。
(ていうか、才能あってなおかつ美大やら専門学校出てる人でも仕事にするのは苦労する世界なので、クリエイティブ力だけでプロに勝てるわけない)
というわけで「強み」として、クリエイティブ力が関係しない、
「言語化能力(ノウハウ共有力)」
「ヘッダー制作(技術・環境・需要把握力)」
「制作環境スマホ」
…を重点的に伸ばしてアピールしていこうというわけです。
※強みの発見に関しては「SWOT分析」あたりの理論が参考になるかと思います。
「売り物=商品」の選定
次に、みちるのーとさんが生計を立てていくにあたって必要となる「売り物=商品」を選定していきます。
現段階では収益化出来ていないアマチュアイラストレーターであるみちるのーとさんには、売り物に出来るスキルがありません。
みちるのーとさんが売り物に出来るのはイラスト…と考えがちですが、実はあらゆる要素で他と差別化可能です。
それは前述の「強み」で指摘している通り。
より具体的に言うなら「サービス」「提案力」「顧客ニーズのコミット率」などの要素で、クリエイティブ力の不足を補うわけです。
そうして考えた場合に、他のクリエイターとの差別化で、
・ヘッダー制作に特化して、ノウハウ共有や提案力を磨く
・言語化能力を活かし、セールス力や魅せ方を鍛える
・スマホ環境での制作を活かし、レクチャーも兼ねる
…といった、みちるのーとさんならではの売り込みが考えられます。
ヘッダー制作を請け負っているクリエイターはいますが、多くの場合は「ヘッダー専門」というわけではありません。
そのため、提案力の面や顧客ニーズの面では、みちるのーとさんには勝ち筋が生まれます。
また、言語化能力を活かし、自身の制作内容を公開することでセールス・宣伝を兼ねることも可能となります。
これは多くのクリエイターが、仕事の受付口だけ公開しているにも関わらず、制作工程が非公開、セールスが下手という弱点を突くやり方です。
さらに「スマホでの制作環境」に焦点を当てているのは、多くのクリエイターがPC環境でAdobeソフトウェアなどのプロ環境を利用するのが当たり前という前提に逆張りする、アマチュア発だからこその選択肢です。
VTuber界隈やクリエイターには、やたらクオリティを重視する傾向がありますが、みちるのーとさんにはあえて逆の提案をしています。
「現役クリエイターが、わざわざスマホアプリでクオリティを低下させるリスクを抱え、イラストを描いた上にノウハウ共有までするか?」
こう問われたら、大体の人はするわけありません。
なぜなら、するメリットがないからです。
(事実、VTuberクリエイター層で、ノウハウ共有やレクチャーを行っている人はかなり少ない)
ですので、スマホアプリでイラスト制作して生計を立てることに挑戦するという選択肢は、みちるのーとさんだからこそ成し得るわけです。
効率の良い集客経路の確保
次に「効率の良い集客経路の確保」を考える必要があります。
現状、みちるのーとさんのツイッターフォロワー数は100前後と、かなり少ない状態です。
当然ながら、ツイッターだけでの宣伝活動では、集客力がまったく足りていません。
ですので、以下のような方法を活用して、集客力アップを狙います。
・他プラットフォームを活用する
・Twitterでの認知度を高める
・SEO集客を狙う
他プラットフォームの活用は後述するとして、みちるのーとさんの目下の目標としては「Twitterでヘッダー制作の人としての認知度を上げる」ことになります。
(少なからず、SNSマーケティングとして考えた場合は…)
この目標を設定した経緯は、SEO集客に関して考案していた際に、たまたま発見した需要に合わせてです。
ヘッダー制作者として認知効果の見込めるワードを調べていたところ「フリーヘッダー」というワードがボリュームワードを発見。
なおかつ、Twitterでのヘッダー画像の利用が高いという仮説が浮かび上がってきました。
以下の画像の通り「フリーヘッダー」と検索して、一位に表示されるページはTwitterのハッシュタグです。
これが何を意味するかは…
「ヘッダー≒Twitterのヘッダーと認識している人が多数」
「ヘッダー素材の収集はTwitterで行っているユーザーが多い」
…ということです。
(このあたりはSEO施策の経験だったり、検索ワードからニーズが想定できる程度の勘は必要になってきます)
ですので、当面の間はTwitterのハッシュタグ「#フリーヘッダー」を活用したフリー素材の配布で知名度上昇+フォロワー数獲得を目指しながら、自身のブランド力を上げていこうという試みに取り組んでもらっております。
※当然ながら、途中経過を見て、ニーズ細分化や集客経路の調整などを行うこと前提の戦略ですので、現段階の施策だけで必ずしも成果が出るわけではありません。また、SEOに関しての読みは外れている可能性もあるので、他のデータもリサーチしておく必要があります。
プラットフォームの選出
前項の集客経路の確保に関しては、プラットフォーム選びも重要になってきます。
みちるのーとさんとの相談の結果、候補としては以下のプラットフォームが目的別に上がりました。
・Twitter(自己ブランディング)
・クリエイター向けプラットフォーム(skeb,pixiv)
・note(ノウハウ共有・切り売り)
・クラウドソーシング(Crowdworks、ココナラなど)
・動画プラットフォーム
基本的には、段階に合わせて適宜使い分けるのが最善だと思いますが、現時点でのみちるのーとさんのクリエイティブ力とビジネス経験を鑑みて、まずは集客ツールとしてTwitterやnoteを活用しながら技術を磨く方針を提案することにしました。
もちろん「ヘッダー制作」や「デフォルメイラスト制作」だけで言えば、すぐにクラウドソーシングで仕事を請けることも出来ます。
ですが、その場合は、他の経験あるクリエイターが競合相手になるので、みちるのーとさんが差別化で取れる要素は「価格」「時間」ぐらいになり、消耗戦としかなりません。
中長期でクリエイターとして生計を立てるのであれば、SNSやnoteでのノウハウ共有を活かして「自己ブランディング+教育コンテンツ+クリエイティブ」という方針で攻めた方が生存確率は高まるとの、私の判断です。
将来的な顧客想定
プラットフォーム選びに際し、一番悩んだのが文章媒体+コンテンツ販売所として「noteか?pixivFANBOXか?」です。
VTuberやサブカル系クリエイターであれば、多くの方はpixivFANBOXを選ぶことかと思います。
ですが、私はみちるのーとさんの適性や今後の展開を考え、以下の理由から「noteで行くべき」と判断しました。
・言語化能力を活かしてノウハウ切り売りが可能
・将来的にビジネス層を相手するならnoteの方がいい
・note自体がコンテンツプラットフォームとしての可能性がある
noteのプラットフォームとしての性質や可能性は割愛しますが、現時点でオタク・クリエイターしか相手にしてないpixivFANBOXは、みちるのーとさんがフリーランスとして生計を立てていくには、どこかの段階で「プラットフォームが抱えている顧客層と母数の少なさ」という壁にぶち当たると判断しました。
さらに、VTuber層のビジネス意識の低さを考えると、VTuber層相手に商売し続けるメリットはほぼほぼ皆無どころかマイナス面の方が強い…と判断。
(…というか、VTuber=趣味としての創作活動とビジネスとしての活動がごっちゃになってるクリエイターが多すぎて、外からでは判断しづらい)
前述の「Twitterでハッシュタグを使ってヘッダー制作者としての認知度を高める」「プラットフォームとしてもnoteを活用する」という戦略も、早期にVTuber・オタク層以外の顧客を見つけ出す意図ありきです。
まとめ
以上、ざっくりではありますが、みちるのーとさんがクリエイター活動で収入を得るために、私が提案し本人が実践してくれているマーケティング戦略を紹介してまいりました。
上手く行くかどうかは、みちるのーとさん本人の頑張り次第ですが、彼女がしっかりと情報のフィードバックや進歩報告をしくれる限りは、私も出来る限り力添えして、私自身のマーケティング戦略の有効性を検証していきたいと思います。
※2019年11月30日追記。当記事の内容を受け、みちるのーとさんが報告記事を更新しておりますので、興味のある方はチェックしてみてください。
【VTuberで学ぶマーケティング論】連載中
すでに投稿している「VTuberで学ぶマーケティング論」でも、今回紹介した提案の元となる理論や考え方を掲載していますので、ぜひご参考ください。