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絶対的強度よりも相対的強度でのモニタリング:PB更新を目指すためのStravaの連載「Ready, Set, Record.」の記事を書きました🔥🔥🔥🔥🔥
トレーニングログの管理アプリであるStravaは、サイクリストやトライアスリート、トレイルランニングを楽しむ人たちの間ではメジャーな存在であるかと思います。しかし、一方ではロードランナーやトラックランナー、つまり陸上競技の人からすれば、まだまだ日本ではマイナーな存在かもしれませんね(セグメントやクラブなどのコミュニティ機能の部分で見ても)。
私はStravaを活用して1人でのトレーニング(練習会に行かないタイプの練習スタイル)に活路を見出した1人ですが、Stravaといったクラウド上でトレーニングログや様々なデータを一元管理するのはメリットが様々あります。
・紛失の恐れがない(間違ってアカウント削除しなければ)
・無期限、無制限に書き込める(データを無限に蓄積できる)
ノートや手帳といったアナログな存在を否定するよりかはデジタルデバイスやクラウドの活用は利点が多いということ。ノートはノートで筆跡を残すことによって、その時の心理状態が垣間見ることができるので「練習日誌」は今でも部活動で重要視されるコミュニケーションツールの1つですね。
・絶対的強度+心拍データを活用した相対的強度におけるデータの蓄積
「設定タイムをクリアできないとストレスに感じる」のはランナーならば誰しもがそう(私もそうです)。しかし、設定タイムや目標距離が未達であっても、相対的強度を目安にトレーニング刺激を適切にかけていれば、基本的には「トレーニングは成功」だったと言えるのではないでしょうか(この考え方が重要です)。
絶対的強度よりも相対的強度でのモニタリング
私は期分けにおいて、準備期/試合期の特異的練習の際には絶対的強度の数字を考慮しますが、それ以外の練習では相対的強度の数字でトレーニングを評価しています。例えば、ハーフ未満(箱根の距離未満)のランナーの中強度練習であれば82-90%HRmaxの心拍数付近で疾走の合計が15-30分程度推移していれば、どんなペースでも問題ない。”その人にとって“中強度”であるかどうかが、最も重要だと考えています。それよりも心拍数が高かったり、ペースを維持できないのは「ペースが速すぎる」からか「体調が悪い」のどちらかでしょう。
したがって、LTインターバルでは競技レベルに関わらず疾走時間の合計を最低15分程度になるようにボリュームを配分(分割)する(少なくとも月間100km以上走っているレベルのランナーの話です)。ハーフやマラソン選手を除けば、テンポ走よりもLTインターバルやCVインターバルの方が私は恩恵が大きいと思っています。
しかし、大学の駅伝チームのように20-50人とかの部員になってくると、管理が大変なので、テンポ走など2-4つぐらいの集団に分けてタイム設定した方がスタッフの負担は減るでしょう。そこでコーチやマネージャーが(あるいは選手自身が)1kmごとにラップをとるのは、ある意味では絶対的強度の考え方(どれぐらいのペースで推移しているかどうか)がメジャーだからではないでしょうか。
【システム化されていないケニアの練習グループのインターバル練】
日本や欧米のように、それぞれのグループを組んでそれぞれの設定ペースがある、という方式ではなく、1番走力の高い人が完遂できるメニューを、それより走力が低い人が疾走のボリュームを減らし、リカバリーの時間を増やすというやり方。
— Sushiman 🇯🇵 (@sushimankawarai) March 3, 2022
つまり、グループは1つで良い。
(強豪の駅伝チームのようにマネージャーがたくさんいるわけでなく、コーチ1人で全員のタイムとったり走りを見るのは物理的に難しいのでこういった方式を採用していると考えられる)
・絶対的強度を考慮したインターバル練の例
Aチーム:5×1000m 3:00 R200m(60-65")
Bチーム:5×1000m 3:05 R200m(60-70")
※ どちらも集団でついていけなくなると厳しい
※「タレ」ると選手は精神的に負の影響が多い
※「タレ」るのは選手の問題よりかは指導者の責任
・相対的強度を考慮したインターバル練の例
Aチーム:5×1000m 3:00 R200m(60-65")
Bチーム:5×800m 2:24 R95-100"
※ ペースが同じなので1グループで練習できる
※ Aチームで途中付けない → Bチームのメニューにシフト
※ Bチームで余裕がある → 途中からAチームにシフト
※ AとBの内容を1本ずつ交互に繰り返す(強度は一定で負荷が変化する)
など
相対的強度を考慮した練習例のほうが柔軟性が高く、かつ心理的ハードルが少ないのではないでしょうか。このような、相対的強度の考えのもとで行なわれるトレーニングとしてファルトレクが挙がります。
・相対的強度のもとで行なわれるファルトレクの例
Aチーム / Bチーム:5×(3' / 1')
※ 3分間の疾走を5セット(R1')で「こなせるペース」で走るという考え方。
→ 各選手で微妙にペースが違う(より細かい集団分けor単独練習が理想)
これは必ずしも集団練習を行う必要はないのですが、相対的強度の考えのもとで行なわれるトレーニングというのは概ね“心理的ハードルが高くなく”もっと評価されるべきトレーニングだと思います。
相対的強度の考えのもとで行なわれるトレーニングで大事なことは血中乳酸値や心拍数などの相対的指標の継続的なモニタリングですが、これらを参考にしてより細かい強度設定が可能となるでしょう。血中乳酸値はある程度“ガチ感”がありますが、心拍数であればハートレートセンサーやGPSウォッチなどを使用すれば市民ランナーが1人でもサクサク測定できます。
心拍データは、その都度見るのであればガーミンなどのアプリで問題ないと思いますが、それを年間や半年など長い期間でモニタリングするのであればStravaといった「アスリートのトレーニングに特化したアプリ」を使うことをオススメします。
トレーニングとは、体の適応(a.トレーニング刺激 ⇄ b.休養)の繰り返しで無理なく継続するのが大切ですが、aかbどちらかが過剰になれば故障するか、フィットネスを失ってしまうでしょう。しかし、バランスよく継続すれば「トレーニングを嫌いになる」というよりかは、逆に「トレーニングに対する意義」をもっと見出せるのではないでしょうか。おそらく「故障」などを経験して「トレーニングが嫌い」になってしまった人は、トレーニングと向き合う上で何かのストレスが過剰である可能性が考えられます。
と、つらつら書き連ねましたが、この度Stravaで自己ベストの更新を目指すランナーのため全5回の連載(Ready, Set, Record.)を執筆しました。それらは相対的強度の考え方をもとに書いた記事ですが、詳細は以下です。
内容が難しくなりすぎないように、ビギナーにもわかるように考慮して書いています。
記事1:練習を心拍ゾーン別に分けてマネジメントしてみよう
デジタルデバイス(GPSログ)の活用と心拍数などの相対的強度の考え方と練習評価について。
記事2:記録を活用して故障を未然に防ぐ意識を高めよう
「フィットネス・疲労理論」に基づく双方のモニタリングとデータの可視化。テーパリングとリカバリー。RPEやシューズなど他の要素についても。
記事3:コミュニティから練習のモチベーションを得る
Stravaのテクノロジーを活用したセグメントやクラブ、グループチャレンジの機能(コミュニティ機能)について。
記事4:本命レースのためのピーキング
ピリオダイゼーション(期分け)とリカバリーとテーパリング。今までノートやエクセルでまとめていたようなことをStravaといったクラウドで一元管理。
記事5:エリートランナーの練習内容からヒントを得る
トレーニング法のディスカッションが盛んですが、そこでは「思考力」が重要だと思います。正解は1つでないからこそ、膨大な数のサンプルを見て知識を1つずつアップデートしていくのが大事ではないでしょうか。
ここでは書ききれていないStravaの活用法はまだまだあるのですが、基本的なことはこの5回の連載でかけたのではないかと思います。
今回の連載をサポートしていただきました、Stravaチームのスタッフにお礼を申し上げます。ビガップ!Kudos!
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