見出し画像

リキッドステーキングトークン(LST)の台頭:JitoSOLがSolanaの分散化にどう寄与しているのか(23年10月13日)

本記事はJitoのブログ記事 The Rise of Liquid-Staked Tokens (LSTs): How JitoSOL is Contributing to Solana's Decentralization(2023年10月13日)の日本語訳になります。
本記事は情報提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。暗号資産への投資は価格変動のリスクなど多大なリスクを伴います。投資の最終決定はご自身の判断で行ってください。


はじめに

FTX取引所の崩壊以来、Solana上でLST(Liquid Staked Token、リキッドステークトークン)と呼ばれるトークンが再び注目を集めています。現在のLSTの総供給量は約4億SOLのうち1,100万枚程度であり、アクティブなステーク量の3%にも満たない状況です。しかしLSTは大きな成長の可能性を秘めており、SolanaのDeFi(分散型金融)プロトコルにおけるTVL(Total Value Locked、総ロック資産額)増加の足固めになるとみてとれます。この記事では、LSTの重要性とSolanaネットワークの分散化を促す力について掘り下げていきます。

ユーザーがLSTに注目すべき理由

LSTはユーザーにとって魅力的なメリットを提供します。まず、SolanaのようなLSTは、リベース型でないため、ウォレット内のLSTトークンの量が変わらないことで課税対象イベントが発生せずに報酬を獲得できる可能性があります(ただし、具体的な状況については必ず税理士にご相談ください)。また、LSTはボラティリティの高い時期でもすぐに売却できるため、ダイレクトステーキングの時のような2〜3日間のアンステーク期間を待つ必要がありません。さらに、JitoSOLのようなトークンでは、MEV(Maximum Extractable Value、最大抽出可能価値)をトークン保有者に公平に分配することができます。最後に、LSTの「流動性」を活用して、DeFiプロトコルに預け入れ、担保として利用したり、流動性供給(LP)を行ったり、さらにはレバレッジステーキングをすることもできます(こちらも、あくまで金融アドバイスではなく、あくまで可能性のある話です)。DeFiでLSTを使用することはリスクを伴いますが、通常のステーキングよりも多くの報酬を得る可能性があります。具体的には、LP報酬とステーキング報酬の両方を受け取るような、ボールト(vault)やSOLとxSOLのペアによる流動性供給プールなどが挙げられます。LSTのユースケースはユーザーにとって魅力的ですが、ネットワークの分散化を促進する上でも非常に大きな可能性を秘めています。

JitoSOL リキッドステークトークン:ネットワークの分散化を促進する

Solanaの分散化を促進するために、JitoSOLリキッドステークプールが開発されました。このプールは、単独でのステーキングでは不可能な、複数のバリデーターに分散してステークを行います。現在、このプールには約240万SOLのアクティブなステークが集中しており、65人のバリデーター間でほぼ均等に分散されています(エポック512時点)。分散先はデータセンターやASN(自律システムネットワーク)にまたがっており、検閲耐性とネットワークの稼働率を最大化することを目指しています。JitoSOLトークンは、2022年10月以降、プロトコルに預け入れられた価値が著しく増加しており、結果としてステークの分散化とネットワーク全体の健全性が向上しています。TVLがさらに増加するにつれて、Solanaネットワークはより分散化していくことが期待されます。以下のように、ステークはバリデーターセット間でほぼ均等に分散されています。

バリデータ毎のJitoSOLステークプール分散図

JitoSOLプールの際立った特徴の一つは、最大手のバリデーター以外も活用していることです。プールは、総ステークの上位3分の1(ナカモト係数と呼ぶことにしましょう)以下のバリデーターにマージナル・ステークを分散させることで、ネットワークのナカモト係数を向上させるという重要な役割を果たしています。ナカモト係数は投票集中を抑制し、コンセンサス分散化を強化することを目指しています。その結果、ステークはASNと世界中のさまざまなデータセンターに分散されており、検閲耐性とネットワークの稼働率を最大化しています。

ナカモト係数以下のバリデーターへのJitoステークプールの委任

地理的分布とクライアントソフトウェアの多様性の重要性

地理的分布は、分散化の重要な要素です。ステーク量と緯度・経度の散布図を見ると、JitoSOLのステークは複数の大陸と国々に分散していることがわかりますが、主に北半球に集中しています。今後の改善としては、南アメリカ、アフリカ、オーストラリアへのノードの拡大が考えられます。

緯度・経度のJitoプールのステーク分布。円のサイズがSOLのステーク量で色はソフトウェアのバージョンの違い。

次に、プールによるASNごとのステーク分散状況を見てみましょう。特筆すべき点として、Amazon Web Services (AWS)への依存度は顕著ではなく、240万SOLのうち15万SOL未満しかAWS Ashburnにありません。

ASN毎のJitoプールのステーク分散

バリデータークライアントソフトウェアの多様化も、ネットワークの耐障害性(レジリエンス)と強化に寄与します。現時点では選択肢は限られていますが、JitoSOLプールは主にSolana Labsが開発したクライアントの Jito-Solana フォーク、特にバージョン 1.14.xx と 1.16.xx を利用しています。より広範に 1.16.xx クライアントが採用されることで、機能サポートの拡張に加え、ネットワークのさらなる堅牢性が促進されます。

Jitoプールステークのソフトウェアクライアント別分布図。JitoSOLのバリデーターは、MEV報酬付きのJito-Solanaフォークを使用。

異なる LST オプションによる分散化の拡大

Solanaネットワークには現在、mSOL、stSOL、jitoSOL、bSOL の4つの主要なLSTが存在します。総供給量はまだ比較的少ないですが、それぞれ独自のステーク委任アルゴリズムを持つ各 LSTの成長は、ネットワークの分散化に貢献します。mSOLのTVLは stSOLやJitoSOLの約2倍ですが、Solanaの競争環境は Ethereum のような他のネットワークと比較してより公平であり、単一のプールがネットワークコンセンサスを支配しないようにしています。リキッドステークの独占を防ぐことは、ネットワークの健全性に不可欠です。この点において、競争は非常に良いことなのです。

結論

リキッドステーキングトークン (LST) は、Solanaネットワークの分散化を促進する重要な要素です。より多くの参加を促し、複数のバリデーターにステークを分散させ、地理的およびクライアントソフトウェアの多様性を育てることで、最終的にはSolanaブロックチェーンエコシステムの耐障害性、安全性、長期的な成功が強化されます。JitoSOLステークプールは、分散化を重視するステーカーにとって、さまざまな用途に使えるリキッドトークンの利便性と選択肢を提供します。

データソース: https://flipsidecrypto.xyz/ashpeezey/jito-stake-pool-facts-ZCGRea (by @solanobahn)

免責事項: このブログ記事の内容は情報提供のみを目的としており、金融アドバイスを構成するものではありません。ご自身で調査を行う必要があります。


いいなと思ったら応援しよう!