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築地の愛と厳しさを噛み締める #さが美
市場が豊洲に移転してから「築地ってまだあるの?」という声を聞きますが、まだまだ築地には美味しいお店が現役で活躍しています。特にアツいのは場外市場、ではなくその外側で、特に築地本願寺の裏手。鮪から始まる本格派鮨食べ放題の #ぎんざまぐろや 、握りに特化した大きめの漢鮨を出す #鮨桂太 、日本橋蛎殻町すぎたから独立された話題の #鮨処やまと を始め、鮨以外の名店も多く潜んでいます。
今回訪問した #さが美 さんも築地本願寺の裏手、場外市場から少し離れた静かな場所にあります。移転したばかりの新しい店内には凛とした空気が漂い、その中に立つベテランの大将と女将さんのしっとりした雰囲気が絶妙なコントラストに。席に座ってメニュー表を見ると1000円から頼めるおきまり握りが3種類。流行りの高級鮨でもなく、観光客向けの割高寿司でもない、来てくれるお客さんに寄り添った価格設定に安心感を覚えます。
鮨が出てくるまで店内を眺めていると、まず目に付くのはパンパンに詰まったネタケース。訪問日は12/18でしたが、貝が多く準備されている印象を受けました。帆立、平貝、ミル貝、赤貝、北寄貝、青柳、石垣貝、牡蠣に加えて鮪や鰹、白身まで勢ぞろいです。全国のインスタグラマーはこれを投稿するべき。鮨というのは色鮮やかで、ネタケースはまるでパレットのよう。あまりに綺麗なので写真を撮っていいか尋ねると
SNSだと何を書かれるか分からないからやめてくれ
と一言。なぜ撮りたいのか聞かれたので、SNSに記録として上げていることを伝えると
なぜそんなことをするのか僕には分からない
と更に追撃の一言。もうお手上げです。すいませんでした。なんだか怒られた気分になりながらも、心の中では鮨屋の大将は厳しければ厳しいほどいいよな~とか思ったりもします。鮨ドMです。
逆に鮨界隈では有名な呆ブロガーさんが称賛していたことを伝えてみると、
あんなのは仕事だから言っているだけ
と一蹴。もう完全に敗北です。黙って鮨を食べようと決心した瞬間でした。
3000円のおきまりが出てきました。写真が撮れなかったのでうろ覚えですが、墨烏賊、赤貝、ミル貝、北寄貝、鮪2貫、雲丹、白身、小鰭、車海老とトロ鉄火巻きが一本付いていたかと思います。米酢を使った白シャリはふっくらと炊き上げられ、流行りの赤酢で硬めのシャリとは一線を画しています。ガリも甘みと辛みのある昔ながらのタイプな上、細かくカットして食べやすさへの配慮もあります。盛込みなのでそれぞれのネタとシャリに適した温度帯を実現するのは難しいですが、お値段を考えればこれ以上ないクオリティーです。1つだけ言うなら、雲丹は特に低い温度帯でパリパリの海苔と共にいただきたいので、それだけはオンタイムで食べたいと思いましたが口が裂けてもそんなことは言えません。。
一見の怖さの中にも優しさを感じるのがさが美の大将。美味しいですと一言伝えると固かった(ように見えた)表情が緩み、「うちはおまかせをやってないから、今度は夜に好きなものを食べに来な」とありがたきお言葉。大将、また必ず行きます!
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