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味覚で記憶する旅・韓国
フードエッセイストを志す身として、韓国、そして韓国料理は欠かせない。ビビンパのような混ぜる文化や豊富なチゲ(=鍋)料理、刺身の食べ方だって日本と思想が違うように見えた。魅力的な食文化に加えて、それを支える市場や食堂活気。渡韓歴5回だが、ここには伝えたいものがたくさんある!と直感する街だった。
好きな料理がありすぎる。本場全州(전주)で食べたビビンパ、羅州(나주)で食べた透明のコムタン、友人のハルモニ(おばあちゃん)に食べさせてもらったカムジャタン、釜山(부산)で食べたメウンタン。。コロナで韓国旅行にも行けないので、思い出の味を振り返って心を落ち着けたい。
・ナジュ コムタン(나주 곰탕)
普通のコムタンは牛の骨でスープを取るためスープが白濁するのに対して、ナジュでは肉で煮出した透明なスープが特徴。熱々で純粋なスープが体内を落ちていく感覚が懐かしい。牛肉と大根キムチを一緒に食べるのもまた美味しくて、現地の一員になったような気分に。
・チョンジュ ビビンパ(전주 비빔밥)
ご飯は全羅道(전라도)が美味しいというのが韓国人の共通理解のようで、その中でも特にビビンパが有名。一緒に行った韓国の友人は言う、「日本人は混ぜるのが下手だ」と。どうやら“美味しく混ぜる”客側の技術も必要らしい。友人が混ぜてくれたこともあって、美味しいビビンパだった。
・カムジャタン(감자탕)
これは韓国にそびえ立つ山、ではなくカムジャタンという料理。韓国語を知っている人はカムジャ=じゃがいもだと勘違いするが、正しくは豚の背骨(山の正体)のことを呼ぶらしい。肉は手掴みで、噛り付いて口の周りを汚すくらいが丁度いい。〆のポックンパが美味しい鍋料理の1つ。
・韓牛(한우)
日本で“和牛”がブランドとして存在しているように、韓国には“韓牛(ハヌ)”がある。写真は友人の親戚の集まりに同席した際のもので、韓牛はやはり特別なときに食べる豪華な食事なんだろうと思った。しっかり脂が乗っているので、サンチュやエゴマの葉で包んで食べるとより美味しい。
・ミルミョン(밀면)
釜山の暑い夏を乗り切るなら食べたい麺料理。小麦粉由来のコシの強い(強すぎる)麺は事前にハサミで切ってから食べるのが流儀。涼しく食べたい料理にも相変わらず赤い色は付いていて。本当に韓国の人は唐辛子が好きなんだなとも感じさせられた一品。
・チキン(치킨)
あまりいい話ではないが、韓国には「起承転鶏」と言われるほど退職後にチキン屋を開く人が多く、お店選びには困らない。チキン・炭酸(コーラか七星サイダーが好き)・チキンムー(大根の甘酢漬け)の3つがあれば、食欲の永久機関が完成してしまう。別名悪魔のトライアングル。
・ポッサム(보쌈)
韓国はビビンパにしても鍋料理にしても、複数のものを一緒に食べることで美味しさを感じているよう。これもその内の1つ、包んで食べる文化。最近サムギョプサルの脂が重くて食べられなくなってきた私は、茹で豚をキムチや他の具材と一緒にサンチュやエゴマの葉で包んで食べるポッサム派。
・ムルフェ(물회)
「水刺身」という意味のムルフェからは韓国独特の生鮮文化を感じる。日本人からすると魚の味が分からないとの声が聞こえてきそうだが、ポイントはそこではない。締めたての活かった身をそのまま投入し、他の具材と混ぜ合わせるのは、恐らく味よりも食感に魚の楽しみを求めているのだと思う。
・家のごはん(집밥)
なんだかんだで、結局は家のご飯が一番美味しいことに気付く。料理が上手い下手ではなく、誰の作ったものを誰と食べるかの重要性に気付かされた。ただ、友人のお母さんとお祖母ちゃんは料理が上手くて旨い。韓国にもホームを感じられる瞬間を作ってくれた友人家族に感謝。
。。。と色々思い出していたら余計に旅行したくなってしまった。とりあえず新大久保行ってきます。