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ファミレス行こ。13話・14話 - 2025/02/18 日記#247
・漫画『カラオケ行こ!』及び『ファミレス行こ。』上巻・本誌、映画『カラオケ行こ!』のネタバレを含みます。
・これは本を読んだ上で個人が受け取った感想であり、事実ではありません。的を得てもいません。ただの感想です。私の考えの情報整理です。
・ずっと仮定の話ばっかしてます。
・「なんでそう思うの?」と疑問に思った点はもしかしたら前回までの分を読むとわかるかもしれないです。わからないかもしれないです。
・前回の→
(一気読みしたら同じこと書いてるかもしれないけど勘弁して)
・今回は14話をメインに13話もほんの少し触れる感じです。
・大まかな感想、この男と一緒にいることが本当に聡実にとっての幸せなのか?今はこれからどうなるんだろうという不安の方が勝っているかもしれない。
・ここ数話の印象が強すぎて私は凄く忘れていたのだけど、聡実って狂児に「もう会わんほうがええんちゃうかな」って言ってたんだった、と思い出した。来月プレゼントを渡してそれで終わりのはずだったんだ。すっかり忘れてた。
・9話以降の聡実のスケジュールを振り返り
11月10日(金) 夜 サイゼ出勤(夜勤)
11日(土) 7:18頃 退勤後、階段で岡田に話しかけられる
11日(土) 18:00頃 狂児と焼肉弘城で食事
11日(土) 20:49頃 帰宅
12日(日) 夜 サイゼ出勤
13日(月) 昼 大学
13日(月) 22:34頃 知恵袋に投稿
14日(火) 9:20頃 知恵袋の回答を確認
?日(?) 15:32頃 狂児にLINE「豚まん20個」
22日(水) 17:43頃 狂児からLINE「明日昼くらいに~」
22日(水) 21:22頃 狂児にLINE「休みですけど」
23日(木) 12:20頃 蒲田駅で狂児と会う
23日(木) 昼 狂児を家に招き入れる
23日(木) 夜 狂児にLINE「いまから……」
23日(木) 夜 蒲田のマクドナルドで狂児と会う
23日(木) 夜 サイゼ出勤
・「ちょっと確認したいことがあるのでいまから……」と果たし状を送った聡実。14話狂児のライン画面を見ると「着いた😃東口側」と思われるメッセージの後に日付変更の表示がなく聡実側からも送られてきているので、日付は越えていない。
・「確認……」と呟きながら蒲田の街を歩くヤクザ。狂児はあまり気にしていないように見えて、やっぱりあの確認は狂児にとっても印象深かったものだということがわかる。「もう会わんほうが……」も結構ダメージになっていそうだったもんね。「どうしたん急に」とさり気なさを装ってはいるけど、内心何を言われるのか少しドキドキしていたんじゃないかな。
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・さて、聡実が頼んだのはどれだと思う?まず紙パックとホットはカップの形状的に違う。リベルテではレモンティーを注文していたけど、今回はポーション系がおぼんに乗っておらず、入れた形跡もないのでおそらくこれも違う。そして数十円でも安い方を選びそうなので170円~も除外。残るは「コーラ」「スプライト」「ファンタ グレープ」「ファンタ メロン」「白ぶどう」「爽健美茶」さあどれだと思う?個人的には爽健美茶じゃないかな、と思う。なぜなら『ファミレス行こ。』内で聡実が飲んでいたのはホットコーヒー(多分)、レモンティー、熱い茶、など、ドリンクの選び方が大人になっている感じがしたので。
・狂児はお土産も王道を行くタイプなのでコーラ。ハンバーガーにはコーラじゃないとって思っていそう。すごく想像通りの選択。和山さんに聞いてみたいね、マクドナルドでいつも頼むドリンクみたいな、二人の日常の選択。松屋でいつも頼むメニューとか、どこのコンビニ派とか。
・「豚まん食うたわ全部」に対して「なんか怒ってる?」はさすがにノンデリすぎる。本当にわからないの?わざと言ってる?あなたが我儘に付き合って買ってきてくれた豚まんを一緒に食べたかったんだよ。1個じゃ足りないかなって温めたのに。怒るに決まってんだろ。
・でも、聡実からシェイクをもらった狂児の可愛い笑顔見てたらなんか1回すべてどうでも良くなった。相当嬉しかったんだろうな。「そんな顔で笑えるんだ……」ってドラマみたいな台詞が思い浮かんだ。
・頼むメニューの違いで見える狂児と聡実の対比もいい。聡実はSサイズのポテトにおそらくSサイズのドリンク。そして狂児が好きかなと思って注文したシェイク。お金がない中でも精一杯狂児に何かをしてあげたかったのかな。聡実の素朴な繊細さがメニューに現れていて可愛いね。一方の狂児は餌付けする気満々のラインナップ。中でもコーラLサイズなのが良い。どれだけ長居する気なのかと思うけど、狂児ならすぐ飲めちゃうんだろうな。朝からカレーも食べられるし、焼き肉もパフェも行ける胃が丈夫な中年。とにかく王道のものは全部取り揃えていく豪快スタイル。いいね。金銭的余裕の差もはっきり見える。
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・ちなみにマックにはアプリ内の来店アンケートに答えると貰える無料クーポンがある。私も今日知って試しにやってみたのが上記画像。モスのアンケートはよく利用していたけど、マックにもあるのは知らなかった。聡実も利用してるかもね。
・相変わらず食べ物でしか聡実に何かを与えることが出来ない狂児。狂児にとっては、それが聡実に会う自分の中での理由付けでもあるのだろうと思う。
・狂児の中では「歌の先生」はとうに過去の話だったんだろう。だから聡実から発せられる「歌」という単語にもぴんと来ない。もう今さら聡実に歌を教えてもらう気なんてない。じゃあどうして会ってるんでしょうか。わざわざ聡実に会うためだけに蒲田までやってきて(サイン会情報)、ご飯奢ってあげて、それをする理由は何?狂児は自分の中でその答えを持っているんでしょうか。
・狂児が曖昧な感情のままの聡実に対して投げかけたように、聡実も狂児の真意を測りかねている。聡実が「狂児 お前どういうつもりなん? って」と言った瞬間の私の感情は、「行けーーーーッ!!!刺せーーーーーーーッ!!!!!」いま読者全員が聞きたいことを聡実が代表して聞いてくれた気分だった。25上のヤクザをお前呼ばわり出来る18歳は聡実しかいない。大物だよ。
・それでも狂児は答えない。躱すのが上手い。これは聡実の考えや発言に影響を与えないように意図的に隠しているのか、反射的に本心を話さない選択をするようになってしまったのか、狂児自身もよくわかっていないのか、まだわからない。ただ私は、狂児は意図的に隠している面もありつつ、根本的に本心を話せない人でもあるのではないかと思っている。なぜそう思うのかというのは11話の感想で色々書いてるのでそっちを読んで欲しい。そこで書いた狂児という人間を深堀りした文章たち、私は自分で書いた中でも結構好きな部類なんだけど、他のと比べてあんまり読まれてないんだよな~。というか、一連の感想がここまで読まれるとは全然思っていなくて、そもそも他の記事が読まれすぎなんだ。
・聡実が別に理由はない、と語る高校時代の帰宅部という選択。今まで心血注いでやってきた合唱は、ソプラノパートが出来なくなった時点でもう心が折れてしまったのだろう。基本的に聡実はナルシストなので、ボーイソプラノという美しい歌声を持つ自分が好きだったし誇りだったのだと思う。きっと親や周りにもたくさん褒められて来ただろう。もちろん合唱自体も好きだっただろうが、ソプラノが出来なくなった時点でもう合唱への興味はなくなってしまったのだと思う。しかしその後、聡実は合唱以上に興味があるものを見つけられなかったのではないかな。音楽が好きなら吹奏楽や軽音、声を使うのが好きなら放送や演劇。合唱に近しいものやまったくの別ジャンルまで色々な選択がある中で、聡実が心惹かれるものはなかったんだろう。そして、それは今の聡実も同じように見える。夢中になれる何かがない。文集に書くのも貴重な高校3年間の思い出より狂児と過ごした日々、社会人になるまであと僅かしかないモラトリアム期間も、狂児と会い狂児貯金のため深夜バイトをする日々。あの時から聡実の人生の主軸って狂児に置き換わってしまったんじゃないかな。それは言い過ぎか。でも聡実にとっての狂児という存在は物凄く大きいものだと思う。
・聡実にとっての歌は誇り。唯一自慢に思える特技だったかもしれない。ソプラノを失うとき、きっと親や友人や先生、みんな気を使ってくれていたが、聡実にとってそれは何の慰みにもならなかっただろう。そんな時に唯一真正面から聡実の歌を必要としてくれた狂児。嬉しかっただろうな。
・「歌の先生」という自尊心とは別に、聡実はずっと狂児が自分と会う理由を気にしていたでしょう。カラオケに誘われる気配はなく、たまにふらっと連絡してきてはご飯に連れて行ってくれて、それで解散。同年代の友達というわけでもなく、話が弾むわけでもない、異性ではないから恋愛的な雰囲気もない(※)。狂児がわざわざ聡実に会いたがる理由がわからない。そりゃあ「僕らの関係って何?」って思うでしょうよ。
※多くの人にとって同性は恋愛対象ではなく、そのような雰囲気にもなりにくい傾向が強いという意味。
・「僕はこれからもこうやって会える関係でいたいって思ってる」←「もう会わんほうがええんちゃうかな」って2週間前に自分から切り出した人の言う台詞じゃない。聡実が会わないほうが良いと思う理由は狂児がヤクザだからで、逆に言うとそれを抜きにした本心としては離れたくはなかったんだよね。聡実にとっての障害は狂児がヤクザであることだけ。大きな本音を狂児を前にはっきり伝えられる聡実は本当に偉い。聡実なりに数時間たくさん考えて出した答えが、これからも狂児に会いたい、だったんだ。
・「ずっと一緒にいたい」←なにこの可愛い台詞
・これ告白?
・こんな可愛いこと言われても表情一つ変えず、静かに聡実の言葉を見守る狂児。狂児は聡実のことが大事だからこそ、この言葉を物凄く重く受け止めていると思う。
・でも、聡実に大きな決断をさせて、本音を言わせることそれ自体には何とも思っていなさそうでむかつく。ちゃんと向き合っているからこそ相手に考えさせるという選択になるという面もあるが、本当に将来を思って聡実を手離す気なら、連絡をしなければいい話だし、言葉巧みに誘導してフェードアウトさせることもできると思うから。狂児にとっては容易なことだろう。そうしないのは、狂児自身も今は聡実を解放するつもりはないからだろうと感じた。それを自分からはっきり言わずに聡実に選択させるのはずるい。だからむかつく。
・「逆に狂児さんは僕とどうなりたいんですか?」「ヤクザやめられへんの」この狂児の意向を訊ねたすぐ後にヤクザを辞められないのかという問い、ナチュラルに狂児も自分と一緒にいたいと思っている前提のような気がして良い。聡実は全然そんなつもりなく、ただ気になることを順番に聞いているだけだろうけど。ヤクザ辞めたら僕と一緒にいれるよ、って言いたげに見えませんかね。聡実が自分が愛されていることに自信がある姿勢、本当に好きだし、家族に愛情を注がれて育ってきた子なんだなって実感する。
・数時間前までは口が裂けても言えないと思っていたのに、結局「ヤクザやめられへんの」と口にしてしまった聡実。辞めて欲しい、ではなく辞められないのか、という疑問形なのが可愛いね。本当は辞めて欲しいって言いたかったのに、譲歩して疑問形になったのかな。聡実は自分のために狂児がヤクザ辞めてくれるってちょっと期待したかな。
・「親父が死ぬまではやめへん」ふらふらしていた自分を拾ってくれて側に置いてくれた組長には恩も義理もあって、狂児にとって簡単に辞められるものではないという現実。ここでようやく13話の話をするんですが、もしこの台詞が本心だとして、でも組長は多分そこまで狂児のことを思っていないのが13話でわかってしまったのが切ないなと思う。組長が自分の息子のマサノリを可愛く思っているのは一目瞭然で、同じプリンアラモードを食べる狂児には何も言わないのに、マサノリには「健康診断行きや」と体を気遣う。狂児の話もまったく耳に入っていない。組長にとっては実子のマサノリが一番可愛くて、どれだけ狂児が恩義を感じていようとも、忠誠を誓おうとも、組長から狂児に対して実子ほどの愛情は当然向いていない。切ないね。
・組長の年齢が今どのくらいかわからないけど、平たく考えてあと20年くらいは元気だとして、20年後の狂児はもう還暦。聡実も40手前で、どう考えても狂児はそこまで聡実を待たせる気はない。実質、ヤクザを辞めるつもりはないと宣言しているのと同じだ。一方の聡実はその言葉に少し希望を見出しているけど、狂児視点では18歳からの10年20年なんて最もライフステージが目まぐるしく変化する時で、いずれ聡実が自分から離れていくことはわかっている。だけどせめて聡実が許してくれる間は近くにいたいのかな。で、それはどうして?
・「でも、聡実くんが俺を必要としなくなるまでは 一緒におるよ」徹底して聡実ファーストな回答をする狂児。本当にずるい男。この台詞一つで無限に言いたいことあるけど、まず一つ目は、やっぱり狂児は聡実をいつまでも自分の元に置いておく気はないということ。狂児は自分の意思に関係なく聡実が離れたいと言い出したタイミングできっぱりと縁を切るだろうし、もしあったとしても未練を見せたりもせず、それこそ9話のようにあっさりと「頑張って」と送り出すだろう。
・次に、いつか聡実が自分の元を離れていく前提でいること。18歳の聡実がおじさんの自分に言う「ずっと」なんて、正直まともに受け取ることは出来ないだろうと思う。しかも「一緒にいたい」という行動は示してくれていても、どうしてそう思ったのか、という理由はまだ伝えられていない。家族でもなければ恋人でもない、友人とも言い難いまま、ただたまに会ってご飯を食べるだけの関係性。狂児目線からすると、その関係性は聡実にとってメリットはなくなっていく一方だ。大学の勉強や友人付き合いが忙しくなるかもしれないし、恋人が出来るかもしれないし、ヤクザと関係があるとバレると大学にも就職にも聡実だけでなく家族や友人にも大きな影響があるし、数年もすれば社会に出てお金も自分で稼げるようになって自由に食べたいものを食べられるようになるし、狂児ではなく会社の先輩に奢ってもらえるだろうし、量だって10代の頃のように食べられなくなるし・・・。そうなると、聡実が反社の狂児との付き合いを続けるメリットはない。終わりがやってくるのは1年後かもしれないし、1ヶ月後かもしれない。狂児はこの台詞を言うことで、自分にも言い聞かせているのかもしれないね。
・そして、必要としなくなる、というのが必ずしも聡実から切り出される別れに限定されていないこと。狂児から見て、もう自分は必要ないな、と感じたらいつでも聡実を切れるようにも思える。でも何も言わずに聡実から離れるのだけはもう二度とやらないであげて欲しい。
・最後に、そこに狂児自身の意思はなく、決断はすべて聡実にさせていること。私が一番むかつくポイントはここ。「何時に待ち合わせする?」って聞いたら「あなたの都合の良い時間でいいよ」と返す。「どこ行きたい?」って聞いたら「あなたの行きたいところでいいよ」と言う。「何食べたい?」って聞いたら「好きなもの選びなよ」と言う。これは一見すると相手の意見を尊重する優しさに見えるけど、選択や決断という心理的に負担のかかる行為をすべて相手に丸投げしてラクしている状態でしかない。「1日フリーだから何時に待ち合わせでもいいけど、お昼は一緒に食べる?それとも夕方くらいの方が都合良い?」ってちゃんと自分の意思や選択肢を提示し合うのが相手を思いやるコミュニケーションの取り方だと私は思う。ここ数話の間ずっと、狂児は聡実に考えさせてばかりで(それは今の聡実にとってすごく大事で必要なことではあるけど)、自分の意思を一切伝えようとしない姿勢は、私から見るとあまり印象が良いものではない。意思を伝えたくないなら「聡実くんにちゃんと自分の言葉で考えて結論を出して欲しいから、今は自分の気持ちを伝えるつもりはない」ってはっきり言うのが本当の優しさだと私は思う。それをしない狂児はずるい大人。でも狂児なりに聡実をすごく大事にしているのはわかるし、スマートでないほうが人間味があっていい。
・この男と一緒にいることが本当に聡実にとっての幸せなのか?と書いたのは、この先二人で一緒にいる選択をした時、大事な決断はすべて年下で未来や社会的地位のある聡実任せで、いつでも狂児は自分には選択する資格がない、聡実の人生を優先するべきと思って自分の意思を伝えてくれず、そんな出来事の連続で聡実が疲れてしまうのではないかと思ったから。私は狂児ってずっとそうやって大事な決断から逃げて誰かに決めてもらって、流されるように生きてきた人だと思っているから。そんな狂児と一緒にいることは、本当に聡実にとっては幸せなんだろうか。こういう男と付き合いを続けると苦労すると思うよ。それでも聡実は狂児がいいの?
・「期待さすなよ…!」期待、してるんだ。聡実がどんな材料を持ってして「一緒にいたい」と結論付けたのかわからないけど、今の聡実が希望することは、狂児がヤクザを辞め、僕と一緒にいること。なんかあんまり具体性もなくて子どもって感じ、可愛いな~・・・。
・繰り返すが、今の聡実にとって、狂児の心境を抜きに自分の気持ちだけを考えて結論を出すという作業はものすごく大事で必要な行為だと私は思う。先に狂児が「聡実くんのことは凄く大切に思っていて、これからもこうして会える関係でいたい」、もしくはそれ以上踏み込むような答えまであげてしまったら、聡実はちゃんと考えるべき自分の意思や将来や難しいこと抜きに、絶対にその場で狂児の甘い言葉に流されてしまう。狂児は聡実が「一緒にいたい」と伝える前からおそらく聡実の離れたくないという本心には気づいていて、最悪聡実の人生を壊すような誘導をすることだって狂児なら簡単にできたはず。今の聡実にとって嬉しい、助け舟になる、逃げ道になるような甘い言葉を伝えるのは簡単だけど、それをしない狂児はやっぱりどこかで意図的に自分の感情を伝えないように気をつけている部分があると思う。
・現に聡実は離れることを決意した2週間後には結局「一緒にいたい」と狂児本人に真逆のことを伝えているし、狂児の「親父が死ぬまではやめへん」「でも、聡実くんが俺を必要としなくなるまでは 一緒におるよ」という言葉を聞いて、「現組長がいなくなればヤクザを辞めてくれるのかも」、と期待を寄せる。一度離れると決めたはずなのに、狂児に連絡してしまうし、狂児に会って狂児の声や言葉を聞くほど、どんどん狂児と離れられなくなっている。
・先ほども書いたが、本当の本当の本当に聡実の為を思い、ヤクザの自分なんかと会うべきではない、今すぐ離れるべきだと思っているなら、たぶん聡実の本心を薄っすら理解している状況で「俺とどうなりたいの」なんて投げかけないし、そもそも聡実とはもう会わないと狂児から切ることだって出来たはず。それをしないのが本当に狂児のずるいところ。岡田の接近で聡実には確実に迷惑が掛かっているし、中学時代にもたくさん怖い思いさせたし、今だってそれ以上の危険が及ぶかもしれないことはわかっていながらも会い続ける。挙げ句、決断はすべて聡実任せ。ひどくない?最低じゃない?お前が始めた物語なんだからお前がきっちりけじめつけて離れろって話じゃない?だからあんたがそこまでして聡実に会いたい理由はなんだって聞いてんのにさ!?
・でも狂児の自分が出来る限りでは誠実でいようとする姿勢と、それでも聡実が逃げ出さない限りは手を離してやる気もないという身勝手な執着、相反する行動が人間らしくていいなと思う。聡実は首輪に繋がれているイメージをしていたけど、どちらかというと私はカゴの中にいる聡実に対して「扉に鍵はかけてないから、いつでも自由に出ていっていいよ」という状態に見える。でも狂児は自分からカゴの扉を開けて聡実の手を取って外に出してやる、もう二度とカゴに戻れないようにカゴごと壊すことは出来ないんだろうな。その理由はわからないけど。
・この首輪のイメージ、実際に手綱を握っているのは聡実ではないかと思うかもしれないけど、実態としては狂児が握っている手綱をわざわざ聡実に受け渡している状態だと私は思う。だから手綱の所有権や最終決定件を持っているのはやっぱり狂児じゃないかな。
・しきり狂児が後ろを気にしていて、奥の方に座っているのはもしかすると岡田かもしれない。さすがに会話までは聞こえていないはずだけど、張っていたのはザクロの方なのか、聡実の家なのか。狂児がこの先どんな行動に出るのか想像もつかないけど楽しみ。
・さて、聡実の本音がわかったところで、しかし一番大事なところは「なぜずっと一緒にいたいと思ったのか」ですよね。今回私が一番不安になった点はここ。その一緒にいたいと思った感情の根源が何なのか、描かれないまま読者の想像にお任せしますで終わらないで欲しいなと思う。
・過去の記事でも何度も書いている通り、私はまだこの『ファミレス行こ。』におけるクィアベイティングや同性愛の透明化という視点での不安感が拭いきれていない。これまでの和山さんの作風も明確な答えを書かないというものなので、『ファミレス行こ。』に関してもそうなる可能性はまだゼロではない。
【クィアベイティング】
作品や(芸能人などの)自身のキャラクター付けにおいて、実際にはセクシュアルマイノリティではないのにそうであるかのように匂わすことで、当事者や世間の注目を集める手法。
【透明化】
普遍的な話、同性愛ではなく人間愛、「たまたま好きになったのが同性だっただけ」、フェアリーテイルゲイ(妖精のような非実在的デフォルメキャラクターで、ヘテロの主人公を助けるためだけに存在する都合の良いサポート役)、など、同性愛の存在や現実をまるでないものかのように扱う、目を背ける行為。
・私のスタンスとしては、公式からはっきりと彼らの関係に名前が付くまでは、何か一つに断定したくないと考えている。今のところ彼らの関係性を100%恋愛として見ることには違和感を感じるし、かといって完全な友情と見るのもしっくり来ない。どのフィルターもかけずに、彼ら自身が発する言葉や行動に書いてあるものだけを汲み取ってあげたい。
・最悪なのは、多くの人から見て恋人、パートナーエンドに見えるものなのに直球な台詞やシーンが一切ないままに終わること(=明言することへの拒絶姿勢、同性愛の透明化)、もしくは「人として以上にめちゃくちゃ好き」「ずっと一緒にいたい」「好きなのでしょうか」と読者をミスリードさせるようなワードを連発しておいて完全友情エンド(クィアベイティング)、の2つかな。
・もちろん「好き」も「一緒にいたい」も必ずしも恋愛とは限らない。けれどこの作品に関してはコアな読者の多くが二人を恋愛関係に見ていることを編集部も和山さんもおそらく知った上で、言わせる台詞がそれだったことがポイントだと思う。
・私だってすべての物語を恋愛か友愛かバディかなど、必ずラベリングすべきだとは思わない。人間は十人十色で、その関係性もグラデーションがあり複雑なもの。ラベリングしないことが狂児と聡実にとって最善の選択かもしれない。しかし二人の選択を尊重するために、編集部も和山さんもそれを手放しに絶賛するオタクも、批判を受ける可能性があることだけは知っていて欲しいと思う。もし、「二人の関係性はご想像にお任せします」エンドだったらの話だけどね。
・連載も残りはおそらく4~6話程度、もういい加減に佳境です。二人がどんな道を選ぼうとも受け止めるけど、どうか二人が幸せでありますように。
・ところでファミレスって、ファミリーレストラン、なんですよね。
・それでは、私が14話を読みながら聴いていたmaneskinの『THE LONELIEST』でお別れしましょう。関係ないけど、『I WANNA BE YOUR SLAVE』聴いてると狂児の顔が思い浮かぶんですよね。聡実の奴隷になりたい狂児が。
変えられないスタンスと、素直になれない想い。苦悩は続く。
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