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Hungry? Memories of Aunt Lily.
一人暮らしをしているとよくインスタントラーメンを食べる。まあ、お金があまりないということと、お手軽ということと両方だなとは思うが、日本では健康にはあまりよくないように言われるが、本当だろうか?小池さん!インスタトラーメンを食べる時は、いつもリリーさんを思い出す。おばちゃん!なんていつもなれなれしく呼んでいたけれど、私とは何の血のつながりもない人だ。ただ日本人ということだけで、本当によくリリーさんの家で珈琲を飲み、クッキーを食べた。私だけではなく、その町に留学していた7~8人の日本人留学生の溜まり場になっていた。今から考えるとリリーさんの夫はメキシコ人のリバイでおそらくその頃は再雇用でぼちぼち働いていたのでないかと思う。それなのに、私達は遠慮という言葉も考えずに、毎日のように大学の帰りにリリーさんの家により、珈琲をガブ飲みしていたのだ。そのうえ、ひとり暮らしで最後の最後まで残っている私に、必ず、「ヌードル、食べてきなよ。」と言って、インスタントヌードルを作ってくれた。質素に堅実に生きている子供のいない老夫婦の家で、私はずうずうしくも何度もヌードルを御馳走になった。リリーさん夫婦は、それでなくても誰かの誕生日やアメリカのホリデイの時は、必ずみんなをデイナーに招待してくれて、ハムやターキーをごちそうしてくれた。だから、その親戚でもない人間のための出費は大きかったのではないだろうか。それでなくても、アメリカで生きる人達のふところは、大きい。近くに住んていたオポさんも私達とよくリリーさんの家で食卓を囲んだ。リリーさんにオポさんとの関係を尋ねると、「ただの隣人よ。」と言っていた。2ブロック先の小さな平屋に一人暮らしをしていた。前に留学生の一人が泊まるところがないということでオポさんの家に一晩泊めてもらったらしいが、その時に、「オポったら、ものすごくケチなのよ。お風呂のお湯を20センチくらいしか溜めてくれないの!」と文句を言っていたが、今の私ならわかる。入る人がそれほどいないのに、なみなみとお湯を溜めるのは、正直もったいない。だから、それもあるのか、ひとりだとどうしても料理しなくなるので、一緒に食べるのか、いづれにしろきっとリリーさんが、ものすごく優しいおばちゃんだったのだと思う。私がオポさんの家に行った時は、スイカを御馳走してくれた。大きなスライスだった。
懐かしい。おばちゃんは、もうこの世にはいないけれど、インスタントヌードルを食べる時に、いつもおばちゃんの「ヌードル、食べていきなよ。」というあの声が聞こえてくる。あんなに幸せだった日々は、また訪れるのだろうか。おばちゃんのことは、たくさん想い出があるので、また書きたいと思う。リバイ、おばちゃん、本当にありがとう。