見出し画像

三度のミスチル

あの曲、あのライブが人生を変えたなって経験はありますか?

僕は二十歳くらいの時、mr.children、ミスチルに出会い好きになって、かれこれ25年くらいになります。
当時、ミリオンセラーを連発し、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いでした。


そして、今まで三度、ミスチルのコンサートに行ったことがあります。
振り返るとその三度はその後の人生を大きく変えるものとなっていました。

僕にとってのミスチル、特に出会った頃は「僕が言葉にでき無かった思いを掬い上げ、歌に乗せてくれる」「こんな思いを抱いていたのは僕だけでは無かった」そんな思いでミスチルに酔いしれていました。

当時、同じような気落ちを抱いていた人たちが世の中にたくさんいたのだと思います。
時代を象徴するバンド、ミュージシャンとして若者の多くの支持を集めていました。

そんな最中、1995年ミスチルの全国ツアー「空(ku:)」があり、当時僕が住んでいた静岡での公演もありました。
1995年夏、そのコンサートに行くわけですが、そのコンサートが僕にとって初めて行くコンサートだったのです。

初めてのコンサートがミスチルでしかも、真夏の野外コンサート。
会場はそれまでも伝説の野外コンサートが開かれてきた静岡、つま恋。
これとないシュチュエーション。

チケット入手も困難で、当時大学生だった僕は同級生や先輩たちとチケット発売日の前夜からチケット売り場に並び徹夜の末入手。

そんな勢いのまま迎えた、初コンサート、初ミスチルでした。

大勢の観衆の中で、ミスチルのメンバーは小さくしか見えなかったけど、その歌声、音楽は胸に大きく響きました。

それまで何度も何度も聞いてきた楽曲が生で演奏され、強烈な初ライブ体験。

「音楽ってすごい」「何万人が一つになれる」「別世界に連れてってくれる」

初めてのコンサートが当時のミスチルだったというのはちょっと刺激が強かったかもしれません。
そして、そのコンサートを見ながら密かな思いが・・・「僕はあっち側で音楽をする人だ」聞く側ではなくやる側でいたい!そんな思いが芽生え、その後、初めてのバンドを組みました。
コンサートのラストには夜空に花火が打ち上げられ、僕の中でも何かが発火したようでした。

音楽の世界、憧れの世界。あんな世界がこの世にはあるんだ。
細胞に何かが刻まれた夜でした。


そして、月日は過ぎ人生二回目のミスチルコンサート。
それは2001年夏、場所は静岡のエコパ静岡というサッカー場。
「POPSAURUS CONCERT TOUR」というツアー名で当時初のベストアルバムがリリースされた時期。まさに油が乗り切っている時期でした。

当時は東京に住んでいましたが、くしくも大学時代に過ごしていた静岡での野外コンサートに行く機会に恵まれました。

当時はITの会社で会社員をしていました。元々ミュージシャン志望で上京したのですが、当時はそれを諦め会社員に落ち着いていました。
会社の同僚に静岡出身の人がいて、僕を誘ってくれました。
その同僚の車で静岡へ向かいました。その同僚とは同じプロジェクトを経験した仲間で年代もほぼ同じ。
当時毎日のように仕事で一緒でした。
仕事はとても忙しく、朝早くから夜遅くまで、ウェブサイトの立ち上げに奔走していました。

この年、僕にとっても色々なことがあって、このままこの仕事を続けていいのか?そんな迷いも出ていました。
そして、よくは話さなかったけど、一緒に行った同僚も何か迷いを抱いている様子でした。
夕暮れから夜にかけて、刻一刻と鮮やかに変わる空色をバックにコンサートは続きました。

コンサートも終盤に差し掛かって、盛り上がりもピークだった頃、ふとその同僚を見ると、涙を流していました。

「やっぱり、音楽の力はすごい」

初めてコンサートに行った同じ静岡で自分の原点を思い出しました。

「何のために東京に行ったんだっけ?」「東京で音楽をやり切ったのか?」

そんなことを自分に問いかける機会になりました。

その後、この2001年を持ってこの会社を退職。
2002年からまた音楽と向き合い始めました。
それから、再度曲作り、ライブ活動、やれることをやりました。

人生にもしはないけど、もし、あのまま会社員をしていたら、今、どんなだったろう?と時々思います。まだ東京にいたのかな?

でもあのコンサートで自分の原点に帰り、その後、悔いのない東京生活を送ることが出来たと思っています。


さあ、最後は三度目のコンサート。
それは2009年冬。この当時既に田舎の島根にUターン。
介護の仕事で再スタートを始めた年でした。
そして、この年は運命の出会い。妻との出会いの年でした。
妻とは職場で出会いました。
僕が初めて働いた介護施設で既にベテランとして働いていた彼女。
新人の僕への教育係的なポジションで、彼女から仕事を習うこともありました。

三度目のミスチルコンサートは同じくミスチル好きだった姉と姉の彼氏と一緒に大阪の京セラドームに行きました。

超満員のドーム。ミスチル好きのパワーが充満する会場。
たくさんのエネルギーを感じながらコンサートは続きました。

そのコンサートの最中、僕の中にある確信が降りてきます。

「彼女(今の妻)のことが好きだ。帰ったらその想いを伝えないと」

音楽はすごいですね!自分の想いに気づかされ、また人生が動き始めます。

そのコンサートの後、もう既に彼女とのデートを想定して服をたくさん買い込んでいる自分がいました。(笑)
まだ、うまく行くとわかったわけでも無いのに。

島根に帰ったら、彼女に告白!
想いが届き、付き合いを始めました。

そして2011年結婚。今に至ります。

初めて出会ったミスチル
初めて感じた衝動、夢
初めて感じた恋心
初めて感じた挫折、悔しさ
初めて感じた敗北


そのどれもは既にミスチルの歌の中に描かれていて、振り返るとその追体験をしたようでした。
でも、やっぱりミスチルに出会ってよかった。
僕を見たことの無い世界に連れてきてくれました。

きっと、僕と同じような想いをミスチルに抱いている人はたくさんいると思います。
それぞれの中に生きているミスチル。
やっぱりすごいバンドですね。


四度目のミスチルはあるのか、ないのか?

平穏な生活に大きな刺激はちょっと困る気はするけど、それはまだ誰にもわかりません。
誰も知ることの無い明日です。
でも、終わりなき旅は続きます。
たくさんのメロディと共に。


いつの日もこの胸に流れているメロディ
軽やかに緩やかに心を伝うよ
陽の当たる坂道を昇るその前に
またどこかで会えるといいな
イノセントワールド
(mr.children innocent worldより)