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渋谷スクランブル交差点

東京にいた頃、渋谷スクランブル交差点近くのスタバからよく人混みを眺めていた。
次から次へと人が行き交って、上から見ていると面白いくらい。
そこから景色を眺め、コーヒーを飲んで、本を読む。そう時間が好きだった。


初めて東京で友達と待ち合わせたのは真夏の渋谷ハチ公前だった。
田舎者の僕にしてみたら、そこは常にお祭り状態。その熱気に圧倒された。

その時にハチ公前の大型ビジョンに流れていた「奥田民生のイージューライダーのPV」。
初めての東京で感じたあの都会の空気感、高揚感は今でも忘れられない。


その後、渋谷駅も毎日の通勤で使うようになり、慣れれば日常。
何とも思わなくはなっていった。
そうして、徐々に都会での生活にも慣れていったんだろう。


結局約10年の東京生活だったが、最後の頃は、帰省から東京へ帰ると安心し、山手線のホームに流れる音楽を聴くとほっとするようになっていた。


東京のお気に入りの場所、渋谷スクランブル交差点近くのスタバ。
上から交差点を見下ろせる作りになっていた。
そこから、団子のように固まって、歩いていく人たちを見ているのが飽きなくていつまでも見ていた。

人、人、人。

何でこんなに人がいるんだろう。
みんな何を目的に、何のためにこうして動いているんだろう。
そんな考えてもどうしようも無いことをつらつらと考えていた。

何だかその間は時間が止まったみたいに感じられて、都会の喧騒を外から眺めることが出来た。


あれだけたくさんの人があの場所にはいた。
おそらく、長時間眺めていれば、視界に入ってくる人の数は何百、下手すると何千。
そんなにたくさんの人が行き交うのに、実際に出会うのはほんの一握り。
都会にいるとそのことをよく感じる。
視界に入る人の数と実際に出会える人の数の差が大きすぎる。
だから余計に出会いという意味の大きさを感じる。

すれ違うか出会うか。

この別れ目に何があるのだろう。

もしかして、あの電車に乗り遅れていなかったら、ただすれ違っていたかもしれない。
もし、あの時、たまたま隣になることがなかったら、出会うことは無かった。


そんな出会いを誰もが経験しているのだと思う。
そんな出会い、目に見えない糸を渋谷スクランブル交差点で感じてたのかも知れない。

僕にとっては、そういった物思いにふける時間が必要で、だから暇を見つけてはその場所に行っていたんだなと思う。

都会の静と動。

このコントラストも東京の魅力の一つだ。


でも、やっぱり初めて降り立った東京の夜、渋谷の夜はワクワクしたなあと思い出す。

「♪眠らない体を すべてを欲しがる欲望を~」

まさに東京の動が出迎えてくれたあの夏。

いつまでも懐かしく思い出す。