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視察レポート〈三条市 まちやま〉

こんにちは、すさきのすづくり編集部です。
須崎市の新しい図書館等複合施設の運営を考えるために、このプロジェクトでは全国の先進事例に学んで須崎流のあり方を模索しています。

2024年2月20日(火)、楠瀬市長とプロジェクトメンバー計14人で新潟県三条市の図書館等複合施設「まちやま」へ視察調査へ行きました。当日は三条市の滝沢市長もご対応くださいました。

写真:贈答品を持って撮影に応じる2人
滝沢市長(左)と楠瀬市長(右)

ものづくりのまちの図書館等複合施設

「まちやま」は、図書館機能を核に、鍛冶ミュージアム、科学教育センター、屋外ひろばが一体となった複合施設です。2022年7月のオープンから1年半で、来館者数100万人を突破した人気の施設です。開館前の時間帯から屋外ひろばで遊ぶ子どもたちや、勉強をして過ごす学生で賑わっているそうです。

写真:吹き抜けの階段を登る人たちの後ろ姿
建物内外に木材を使用した建築は隈研吾氏によるもの
写真:1階のフロアマップ。フロアには木材、部屋には鉄の素材が使われています
館内サインにも木材と鉄が使われています

1階には鍛冶ミュージアムがあり、施設利用者が気軽に三条の鍛冶産業について学び、触れることができます。「まちやま道具箱」のコーナーでは、三条市で生まれた刃物や工具を図書館カードで借りられるのがユニークです。「まちやま」に隣接する三条鍛冶道場では鍛治体験ができ、学びを深められます。

写真:落ち着いた照明の中にガラスケースが並んだ空間
「ものづくりのまち三条」を伝える鍛冶ミュージアム
写真:「まちやま道具箱」と書かれた壁に、ハサミやニッパーなどの道具の形をしたカードが並んでいます
借りたい道具のカードをカウンターで交換する仕組み

吹き抜けのある建物の構造から、開館当初は「音がうるさい」というクレームもあったそうです。しかし、まちなかににぎわいを創出するという施設のコンセプトや、フロアごとの役割を説明することで、にぎやかさと静けさの共存が徐々に利用者に浸透していきました。図書館の一角では時間帯によって飲食可能なスペースをつくり、中高生にも喜ばれているそうです。

写真:4段の本棚が並んだ空間
図書館の一般開架
写真:メガネの女性がパーテーションの説明をしています
パーテーションで区切って飲食可能エリアをつくります
写真:三角柱のPOPスタンド
館内ルールのサインは、さりげなくシンプルに

まちなか交流広場「ステージえんがわ」

「まちやま」の敷地内には、イベント会場として多目的に使用できる「ステージえんがわ」があります。まちなかの交流施設として2016年にオープンし、「まちやま」整備の際に一体化されました。

「ステージえんがわ」入口の壁にはさまざまなイベントの予定が並んだ掲示板があり、施設が活用されている様子が感じられます。建物の中央部にはテイクアウトメニューを中心に提供する「三条スパイス研究所」があり、わたしたちもお昼にスパイスカレーをいただきました。

写真:ステージえんがわの施設案内板
多世代が自由に出入りできる屋根のついた広場
写真:えんがわカレンダー。カード型のイベント予定が壁に並んでいます
手書きのイベントカレンダー
写真:ディスプレイケースの並んだカウンターの奥で人が働いています
三条スパイス研究所のキッチンカウンター
写真:モップとスコップとそり
ステージの端で出番を待つ雪かきセット

NPOと図書館運営企業による共同運営

「まちやま」は、NPO法人えんがわと株式会社ヴィアックスの2団体から成る共同事業体「ツクール・ド・さんじょう」が指定管理者になっています。にぎわい創出にはNPO法人えんがわのノウハウを、図書館業務には株式会社ヴィアックスのノウハウを活かしています。2団体は週に1度の打ち合わせを行うなど、頻繁にコミュニケーションをとって信頼関係を築いているそうです。

写真:手を広げて話をする男性
NPO法人えんがわの長野さん

「まちやま」の建設地には、かつて三条小学校がありました。NPO法人えんがわの理事長を務める長野さんは三条小学校出身で、当初は小学校がなくなることに反感を抱いたそうです。「まちやま」に先駆けて開館した「ステージえんがわ」の運営を通して地域の方々と交流するなかで、まちなかに三条らしいにぎわいが生まれていきました。長野さんから語られる三条の歴史や「まちやま」が地域に果たす役割はとても魅力的で、その土地に暮らす人が愛着をもって運営に関われることの大切さが感じられました。

写真:建物の木のファサードを裏から見上げたところ

蔵書点検の休館中にも関わらず、あたたかく迎えてくださった「まちやま」のみなさん、そして滝沢市長、ありがとうございました!