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本シリーズでは、群馬県桐生市にあるジャカード織物を制作している機屋・須裁株式会社が、ジャカード織生地が出来るまでの工程をご紹介しています。バックナンバー(vol.1~7)の記事も末尾にリンク掲載していますので、是非ご覧ください。
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皆さん、こんにちは。「ジャカード織生地が出来るまで」のこのシリーズ、全工程をご紹介するのにだいぶ時間を要しましたが、今回がなんと最終回になります!
最終回は、前回ご紹介した、織物を実際に織る工程である「工程⑦:製織(せいしょく)」のあと、出荷されるまでのお話です。
織物が織り上がればあとは梱包して出荷するだけでしょ?、と思われるかもしれませんが、織機で織り上がった反物がそのままの状態で出荷されることは、ほぼありません。必ずと言っていいほど、「整理(せいり)」や「加工」の工程を辿ります。
織機で織り上がったばかりの生地は「生機(きばた)」と言います。生機は、織りやすいように糸に糊が付いている状態だったり、熱による縮みがかかる前なので、生地の状態が均一ではなく、そのまま裁断・縫製すると加熱やちょっとした圧力などで生地が歪み、生地の目が崩れたりしてしまいます。
そういったことがないよう、熱を加えて生機の糸を落ち着かせ、生地全体を安定させて、幅を揃えたり品質を整える工程のことを「整理」と言います。ただ、お客様によっては整い過ぎない雰囲気にしたい場合など、出したい風合いや表情によっては整理をしないで「生機」のまま納品する場合もありますが、これは極めて稀です。
「先染め」の場合は、生地を織る前に糸の状態で染色をするのですが、生地を織ってから色を染める「後染め」の場合は、基本的には「整理」の工程に入る前に染色工場で生地を染めます。「後染め」で生地を染めると当然、生地が濡れるのですが、完全に乾かしてから整理する場合と、乾かさずに整理する場合があります。こういった工程の順番や方法は全て、最終的にどのような生地として仕上げたいかによって、その時々で判断します。
実はこの「整理」も「加工」の基本的な方法の1つで、生地全体の9割くらいは、生機の状態のあと「整理」を行い、その後その他の「加工」の工程に進みます。生地によって、1種類だけ加工を施す場合もあれば、多いと5~6種類くらいの加工を施す場合もあります。
「整理」も含め、加工には主に以下のような種類があります。
【動画(※音が出ます)】
後染め機ののぞき窓を覗くと、
水に浸かった生地が流れていく様子が見えます。
【動画(※音が出ます)】
ワッシャー機から生地を取り出しているところ。
何気なくやっているように見えるワッシャー機への生地の出し入れですが、
職人さんの技があって、生地の仕上がりに大きく影響します。
【動画(※音が出ます)】
切りたい糸に切れ目を入れた後は、それを風圧で吸い上げて糸を立たせることで、糸の長さを揃えてカットしていきます。
ジャカード織生地の制作工程で、「加工」は最後の繊細な仕上げであり、生地の最終的な表情を作る部分になるので、とても気を使います。
丹精込めて育てた娘に嫁入りの際に施してあげるお化粧、のような感覚でしょうか。
大量生産型の産地であれば、これらの多種多様な加工をすべて一貫工程でできる会社もあるのですが、当社のある桐生の場合は、1社に全ての設備が揃っているということはなく、沢山の工場がそれぞれの加工工程を分業して行っています。
このため、最終的な生地の仕上がりをイメージし、その手順を指示できる旗振り役を当社のような機屋が行う必要があります。沢山の工場を移動しながらこれを行うのは至難の業ですが、一方でまた、桐生の産地としての強みでもあり、お客様からすると、個別に各工程の指示を出さずとも、たらい回しにならずにお任せ頂けるので、信頼感にも繋がっていると感じています。
反物の検品が終わり、巻きあがったら、いよいよ梱包して出荷となります。しかし自信を持って出荷した後も、いつ傷の指摘が出て返品されてしまうかと安心はできない状況は続き、半年くらいはドキドキする日々です。
これが、ジャカード織物制作の一連の工程となります。ご紹介してきたように、制作工程には沢山の職人がそれぞれの専門技術で携わり、丹精込めて1枚のジャカード織物を仕上げていきます。
沢山の人に支えられて成長した娘を嫁に出すときのように、沢山の工程を経て仕上がったジャカード織物を出荷するのはなんとも感慨深く、また嬉しくも手離れしてしまう寂しい気持ちにもなります。
心を込めて織りあげたジャカード織生地が、どうか皆様の手元に届いて喜ばれていますように、と祈るばかりです。
「ジャカード織生地が出来るまで」を、最終話までお読みいただき、誠にありがとうございました!
これからもジャカード織物やジャカード織の現場で日々起こっているあれやこれやを発信していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします!
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【ジャカード織生地が出来るまで】 バックナンバー(vol.1~vol.7)
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※本noteで掲載している記事は、SUSAI(須裁株式会社)公式ウェブサイトでも発信しています。是非こちらもご覧ください。
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