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20枚シナリオ『紙のゆくえ』
シナリオセンター。
20枚シナリオ、ペラ20枚(200字詰め原稿用紙20枚)
課題:葬式
登場人物
戸羽祐二(42)会社員
戸羽美紀(40)祐二の妻
戸羽正人(18)祐二の息子
戸羽裕一(45)戸羽の兄
戸羽奈津子(42)裕一の妻
戸羽文也(17)裕一の息子
竹内由紀恵(38)戸羽の妹
竹内浩平(39)由紀恵の旦那
戸羽麗子(70)戸羽の母
親戚
シナリオ
○お弁当屋とば・駐車場(夜)
戸羽祐二(42)は煙草に火をつける。
煙草を吸い込み、深く息を吐く。
竹内浩平(39)が手を振りながら近づく。
竹内「いたいた、兄さん。美紀さんが探していましたよ」
戸羽「あー、まあこれ吸ったらな」
竹内「また怒られますよ。煙草なら家で吸えばいいじゃないですか」
戸羽「いやー、煙草見るとおふくろが泣くから」
竹内「ああ、なるほど」
竹内は顎をさする。
戸羽は短くなった煙草を携帯灰皿に捨てて新しい煙草を吸う。
竹内「お義父さんは酒もたばこも好きでしたものね」
戸羽「はあ、だからなんだろうけどなあ」
戸羽は煙草を深く吸う。
竹内は隣に座り込む。
戸羽「あんなに医者に止めろって言われてたのになあ」
竹内「全然止めなかったらしいですね」
戸羽「兄貴も困っていたよ。まあ俺も人のこと言えないけどな」
戸羽は短くなった煙草を携帯灰皿に捨てて新しい煙草を吸う
竹内はポケットから封筒を取り出す。
竹内「あ、そうだ。これ」
戸羽「なに?」
竹内「お義母さんからです」
戸羽は封筒の中身をみる。
数十枚の宝くじ券が入っている。
戸羽「ああ、宝くじね。どうせ外れてるだろ」
竹内「いやいや分かりませんよ。当たっているかも。発表が明日なんですよ」
戸羽「ああ、明日なのか。ははは、ロマンある遺産だな」
竹内「まあ、300円くらいは当たるでしょう」
戸羽は頭をかく。
戸羽「まあ、確かに。こんだけあるんだ。いくつか当たったら正人と文也にやるか」
戸羽は煙草を深く吸って吐く。
戸羽「しかし、酒に煙草にギャンブルか。他は弁当ばっかりだったなあ」
竹内「そういえば、弁当屋はどうするんですかね?」
戸羽「ああ、明後日にはやるって話らしい。暫くは美紀も手伝うっていってたしな」
竹内「すみません。うちが遠くてなにも」
戸羽「いやいや、いいよ。急だったし」
戸羽は短くなった煙草を携帯灰皿に捨てて新しい煙草を吸う
○葬儀場・式場入口(朝)
戸羽美紀(40)は来る人に頭を下げる。
戸羽も頭を下げて、案内をする。
戸羽「美紀、ちょっと煙草吸ってくる」
美紀「ええ?もお、早く戻ってきてね」
戸羽は手を振って歩き出す。
美紀は腕を組んで戸羽を見る。
○葬儀場・喫煙所(朝)
戸羽は煙草を吸う。
親戚「おお、こんな所にいたのか」
戸羽「え、ああ、どうも」
戸羽は頭をかき、会釈をする。
親戚「いやー。急だったね。麗子ちゃん大丈夫?」
戸羽「はは、結構ショックみたいで泣いてますよ」
親戚「そうか、そうか」
戸羽はちらりと相手をみて、短くなった煙草を捨てる。
新しい煙草に火をつけて吸う。
ポケットから宝くじの入った封筒を取り出す。
スマホを触りながら券を見る。
親戚「ああ、どう?当たってる?」
戸羽「いやー、あ!300円」
親戚「ははは、そんなもんか」
戸羽はスマホと券を見る。
めくる手をぴたりと止める。
戸羽はじっとスマホと券を見る。
戸羽「あー、俺はこれで」
親戚「おー後でな」
戸羽は長かった煙草をもみ消して足早に去る。
○葬儀場・駐車場裏(朝)
戸羽はしゃがみ込み、スマホと券を
取り出してじっと見る。
戸羽「まじ?」
戸羽はその場をうろつく。
戸羽「いや、うーん。いや」
戸羽はしゃがみ込む。
戸羽「このサイトが間違って?」
スマホの画面には一億の隣の数字と宝くじの券の数字と
同じ数字が並んでいる。
戸羽は頭を抱える。
戸羽「近くの宝くじ屋ってどこだ?」
戸羽はスマホを触る。
○葬儀場・受付(朝)
戸羽裕一(45)は机の横に立っている。
戸羽奈津子(42)は椅子に座り、名簿をつけている。
戸羽文也(17)は裕一の隣に立っている。
戸羽は落ち着くなく辺りを見ながら受付に近づく。
裕一「どうした?」
戸羽「あー、いや美紀は?」
奈津子「美紀さんならお義母さんと待合室にいますよ」
戸羽「あー、ありがとうございます」
戸羽は人にぶつかりそうになりながら受付を離れる。
文也「おじさんどうしたんだろ?」
裕一「さあ」
裕一は腕を組み、戸羽の後ろ姿を見る。
裕一「隠し事している時はいつもああなんだ。きっと黙って煙草でも吸いに行ったんだろう」
○葬儀場・廊下(朝)
竹内由紀恵(38)は手に荷物を持っている。
戸羽正人(18)は由紀恵から袋を受け取る。
戸羽は足早に二人に近づく。
戸羽「正人!母さんは?」
正人「え?部屋にいるよ」
正人は目の前の扉を見る。
由紀恵「ちょっと!兄さんどこ行っていたの?まださぼって煙草?」
戸羽は手を振る。
戸羽「あー、あー!悪かったよ。良いだろ煙草くらい」
由紀恵「そんな父さんみたいなこと言って!母さんが聞いたらまた泣くよ。絶対言わないでね」
戸羽「分かってる。分かってる」
由紀恵は戸羽を見る。
由紀恵「そんなに慌ててどうしたのよ」
戸羽「美紀に用があるんだよ。中にいるのか?」
由紀恵「まあ、そうだけど」
○葬儀場・待合室(朝)
戸羽麗子(70)は座っている。
美紀は手を握っている。
戸羽が扉を開ける。
戸羽「美紀!ちょっと」
美紀「え?」
麗子は顔を上げる。
麗子「慌ててどうしたの?」
戸羽「いや、あー家のことで確認したいことができて」
戸羽は廊下に向かって叫ぶ。
戸羽「正人!祖母ちゃんの相手してあげて」
戸羽は美紀に手招きをする。
戸羽「美紀ちょっと」
美紀はしぶしぶ立ち上がる。
戸羽と美紀は待合室を出ていく。
○葬儀場・廊下(朝)
戸羽は美紀の腕をつかむ。
美紀「ちょっとどうしたの?」
戸羽「いいからこっち来てくれ」
美紀「ほんと、なんなの?」
○葬儀場・駐車場裏(朝)
美紀「もう!もうすぐ式が始まるのになんなの?」
戸羽「いや、これを見て欲しいんだけど」
戸羽はスマホの画面と宝くじを一枚見せる。
美紀はスマホの画面をじっと見る。
美紀「当選番号?」
戸羽「ここ!ここ見てくれ」
戸羽はスマホの画面を指さす。
美紀はじっと画面と券の数字を見る。
美紀「いち」
戸羽は美紀の口を押える。
戸羽「しー!」
美紀「え?本当に?」
戸羽「まあ、このサイトが間違ってないなら」
美紀「え、え。お義父さんのよね?お義母さんに知らせないと」
戸羽「まって!」
戸羽は美紀の腕をつかむ。
戸羽「前も見間違いで外してたことあったし、ちゃんと確かめないとさ。なあ?」
美紀「ああ、まあそうね」
戸羽「だからこれを宝くじ屋で見てもらうと思ってるんだけど、式抜けてもいいか?」
美紀「ええ!何言ってんの?」
戸羽「車ですぐだから」
美紀「駄目よ!次男が式から抜けるなんて!」
To be continued…
感想
シナリオ作家養成講座の課題の1つです。
今後の展開が気になるように制作しました。
葬式という暗いイメージのあるものから、明るめのコメディでかつ不謹慎にならないように考えました。
先生からもそこは気にならないとは言ってもらえましたが、他の生徒さんも含めて聞いていて思ったのが、展開的にカットしても良さそうな描写が多かった気もしてきました。
実際の映像でのテンポ感は違うかもですが、文面だけでのテンポ感も必要だなと思いました。