2024.9.15 七回忌
この日は祖父の七回忌だった。
私の祖父とは、生前、多くの言葉を交わせた訳では無い。
無いのだけれど、口数が少ないながらも、幼い私にとって優しく、安心して一緒に居られる存在だった。
唯一と言っていい、祖父からの言葉で私の胸に残っている言葉は、社会人になり、ブラックな塾講師を辞め、IT業界へと移る時に、大学生の時に学んだ英語と、ITの技術で社会に役立つ人材にきっとなれると言ってくれた事だ。
当時の私はブラックな環境から早く抜け出す事と、自分の時間がようやく増やせそうだ、とそんな事ばかり考えていたから、当時はその言葉が深く刺さらなかった。
それが時間が経ち、祖父が無くなった時に、その言葉を思い出し、前回の転職の時、転職エージェントからは英語の軸なんて何も提案されなかった中、自分でいくつか英語を使う機会のある企業を探していた中、現職と出会えた。
確かに今は非常に苦しい場面を迎えているけれど、働く環境としてはとてもやり甲斐もあると感じている。社会の中で生きていく上で、自分の能力を活かせる場面が多ければ多いほど良い。確かにホコリは被ってしまっていたけれど、大学時代に学んだ英語を今、こうやって社会の中で役立てる場面が持てているのは、祖父の言葉のおかげである事は間違いない。
時折、実家に帰って祖父の写真を見る度に、自分への短くも的確な指針を示してくれた言葉をかけてくれた事を心から感謝している。
精神的に幼かった私は、祖父の生前にもっといろんな話を聞くべきだったのに、身近な存在を頼ろうとしなかった。優秀な技術者だった祖父ほど、私は社会の中で活躍できていないけれど、少しでも祖父のかけてくれた言葉を現実に出来るよう、日々を丁寧に生きたいと思う。
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