【伊豆ぽたでサイクリング「芸術に思い馳せ…9月の伊豆高原でアートとカフェ巡り」】SURUGA Cycle Journal Vol.83
伊豆急行さんとの共同企画「伊豆ぽたでサイクリング」。
レンタサイクル「伊豆ぽた」に乗って、伊豆急沿線サイクリングの魅力スポットを巡り、ご紹介していきます。
7回目は伊豆高原のアートとカフェをテーマに、芸術に触れながら素敵スポット開拓に出掛けましょう!
今回の旅のスタート地点は「伊豆高原駅」。
見事な秋晴れに恵まれ、ポタリング日和となりました。この駅にレンタサイクル「伊豆ぽた」のステーションがあり、自転車を借りてポタリングを楽しめます。
電車旅を楽しんだ後、自転車で気ままに街中を散策するのにぴったり!
伊豆高原駅は大きなガラス張りの建物が特徴。室内の改札口は昼間は自然光で優しい雰囲気です。レンガ調のモダンな雰囲気がおしゃれですよね。
今回のナビゲーターは伊豆急行の木田さん(左)春田さん(右)のおふたりです。
伊豆高原は特に桜で有名な印象かもしれません。秋の伊豆高原で芸術を感じるスポットの数々を訪ねてみましょう。さぁ、それでは出発です。
まずは一碧湖(いっぺきこ)のほとりにある「池田20世紀美術館」さんにやって来ました。
人間をテーマにした20世紀の絵画、彫刻作品を約1400点収蔵しており、ピカソやダリ、ルノワールなど、著名なアーティストの作品が多数集まっています。
まずご注目いただきたいのが、美術館の外観。彫刻家の井上武吉氏の設計で、日本で初めてのステンレススチール張りなのだそうです。美術館が開館したのは1975年ですが、今見ても近未来の雰囲気が感じられます。
館内もホールのような作りや、サンルーム風のスペースなど、展示作品によって展示室もテイストがさまざま。作品を追いかけながら雰囲気を楽しむことができます。
常設展示とは別に、3か月に1回の特別企画展もありますので、ぜひ実際に足を運んでみてくださいね。
また、出入口付近にはふたつの石像があり、近くにある一碧湖の「赤牛」伝説を表した作品です。右の赤牛は自然の暴威の象徴、左の人はこの暴威を鎮めて自然との共存を祈る心を表します。
ミュージアムショップではこんな可愛いお土産に出会いました。
ムンクの「叫び」がモチーフになったキャンディ。カラフルでかわいい!
次にやってきたのは小室山。
この小室山公園は、4~5月頃には40種類・10万本のつつじが咲き誇る「つつじ園」が必見の場所。
今回は小室山の山頂を目指します。リフトに乗ると5分程度で山頂まで行くことができます。
1人乗りのかわいいリフト!落ちないように気をつけて。
のんびりと登るリフトから思う存分景色を楽しんでいるうちに、頂上に到着です。
頂上には広場やデッキなど、山頂からの景色を楽しむためのスポット「小室山リッジウォーク“MISORA”」さんがあります。2021年4月にできたばかりで、多くの人が訪れていました。
360度大パノラマの壮大な景色、まるで天空の広場に降り立ったよう。
奥にある展望デッキはこのロケーション!海の蒼と空の青の境目まで一望できます。あまりの気持ちよさにいつまでも眺めていたくなってしまう…そんなゆっくりとした時間が流れている気がしてきます。
そして、リフトの発着所の隣には「小室神社」があります。
時は元禄、大地震発生による津波・火災などで大きな被害を受けたことから、様々な厄災から人々を守り、復興を見守る神として奉祭されています。
伊豆ぽたの成功を祈って、お参りさせていただきました。絵馬はまん丸でつつじが描かれていて可愛らしいですね。
さて、お楽しみがもうひとつ。「Cafe・321」さんに行ってみましょう。小室山の標高が321mであることからこのお名前がついているらしいですよ。
魅力はなんと言ってもこの景色を見ながらのブレイクタイム。
天空のカフェと言っても過言ではない眺めでしょう?
室内の大きな窓からのんびり眺めるもよし、外に出ると突き出すような展望ブリッジや大きな木製デッキがありますから、フォトスポットとしても人気なのです。
人気メニューは“MISORA”ヨーグルトフラッペ。パステルカラーのブルーとオレンジが空を連想させます。
ストライプ模様のような、その名も「地層カフェラテ」もほどよい甘みの一品です。
ヨーロッパの雰囲気が漂うレンガ造りの建物が見えてきました。こちらが次のスポット、「伊豆高原ステンドグラス美術館」です。
英国の伝統ある1800年代中心のステンドグラスやランプが展示されており、静かで幻想的な雰囲気を感じます…。
「まるで宝石箱のような美術館」というコンセプトのとおり、どこを眺めてもキラキラとした空間が続いていて、時間を忘れてしまいそう。
2か所に礼拝堂があり、そちらで定期的に演奏されるオルゴールやパイプオルガンの音色を楽しむこともできます。
カフェテラスからは紺碧の海と空が一望できます。素晴らしいオーシャンビューを活かして、リゾートウェディングにも選ばれる場所なんですって。
五感で楽しめる、とても素敵な場所でした。
そろそろお腹がすいてきました。ランチは隠れ家のようなイタリアンレストランにまいりましょう。
やってきたのは「レガーロテッラ」さん。
テラステーブルからは海と、かわいいお庭が見えます。
いつもはヤギがいるらしいのですが、この日はお出かけしてしまったらしいです…
さてさて、お待ちかねのお料理です。
今回はパスタのコースをいただきました。
伊東宇佐美しらすを使ったオイルパスタ、伊東産アイランドルビートマトのスパゲティなど、この土地ならではの食材が使われたお料理もあり、伊豆高原を堪能できる味わいです。
デザートはマンゴーが添えられた濃厚なパンナコッタ。ランチョンマットや食器にもこだわりを感じます。
緑に囲まれてのおしゃれなランチ、心もお腹も満たされました。
次は、象牙と石の彫刻美術館「ジュエルピア」にやって来ました。
こちらでは、東洋で彫刻された象牙の美術作品が120点以上展示されています。ワシントン条約より前に日本にやってきた作品が集まっており、ここまでの数の作品が見られるのは大変貴重なんです。
目を疑うほど繊細な彫刻、中には親子三代にわたって完成された作品もありました。今にも動き出しそう…!長い時間をかけて命が吹き込まれた作品たちです。
こちらは翡翠(ひすい)の彫刻作品。細かい模様や鎖の飾りまで彫刻で表現していて驚くほど美しい…なんという高度な技術!全部翡翠でできているなんて信じられないほど繊細な作品をいくつも拝見することができました。
この壁一面の大きな作品は、大型彩石象嵌屏風(おおがたさいせきぞうがんびょうぶ)です。黒漆の板に1500種類を越える天然石を削り合わせて作られています。
こちらは『西遊記』が描かれた作品。
驚くべきことに、元々の天然の石の色を生かしていて、着色はしていません。だからこそ現代にまで作品が色褪せずに伝わっているのだと思うと、不思議な気持ちになります。過去の芸術、そしてこれらを生み出した技術に脱帽です…!
今度は、西洋のお屋敷のように華やかな「ニューヨークランプミュージアム&フラワーガーデン」さんに到着です。
こちらは、約120年前に作られたティファニーのテーブルランプやウィンドウパネルなどが展示されているほか、海辺のカフェや四季折々の花が咲きほこるガーデンなど、どことなく優雅な気持ちになるミュージアムです。
どこに目を向けてもきらきらした空間で、気持ちもうっとり…
色も形もさまざまなランプ作品に出会えますから、お気に入りを探してみるのもいいですね。
別館のカフェはオーシャンビューの絶景!潮風と波の音を感じながらのティータイムです。
優雅なひとときを過ごしに訪れてみてはいかがでしょうか…
園内はガーデンが広がり、花畑と海が一望できるスポットがあります。階段状になったこちらのガーデンではダリアやペチュニアなど、さまざまな季節のお花を楽しむことができました。
旅も終盤にさしかかりました。
今度は神聖な場所でパワーを貰うため、「神祇大社」にやって来ました。
八百万(やおよろず)の神々をお祀りしている大社であり、境内のあちこちに象形文字が刻まれた石があります。それぞれの石を踏むとご利益があると言われているのだとか…!
また、ペットの形の絵馬があるのも特徴。愛犬と一緒にお参りもできるらしいです。
そして神社といえば、おみくじも醍醐味のひとつですね。こちらには金色のおみくじがありました。
境内に向かうまでの小道、本堂の脇にある横道など、あちこちで豊かな緑を感じることもでき、ご利益と癒しの力をいただきました。
次にやって来たのは「城ヶ崎海岸」。伊豆のジオパークのひとつです。
ジオパークとは、「地球・大地(ジオ:Geo)」と「公園(パーク:Park)」とを組み合わせた言葉で、「大地の公園」を意味します。地球(ジオ)を学び、丸ごと楽しむことができる場所を示し、2021年10月現在、日本のジオパークは44地域、その内9地域がユネスコ世界ジオパークに認定されているんですよ。
今回は海岸周辺のスポットと、「城ヶ崎つり橋」に行ってみましょう。
まず、こちらは門脇灯台。丸みを帯びた三角柱のような灯台です。
この灯台の裏側には城ヶ崎の国立公園があります。ゴツゴツの岩場ですので歩く時はご注意を!
約4000年前に大室山が噴火した時の溶岩でできた城ヶ崎海岸。辺り一面の赤茶色の岩は溶岩石なんですね。
湾岸の向こうから斜陽が差して素晴らしい眺めです…
どうよ、俺たちの夕日は!
ではいよいよつり橋に向かいましょう。
城ヶ崎つり橋は長さ48m、高さ23mの城ヶ崎のシンボル。下をのぞき込むと…打ち付けるような波の音。うわぁ、これはすごい迫力。
紺碧の伊豆の海、本当に綺麗で見惚れてしまいます。
つり橋をわたり切ると、東屋に向かう散歩道と、崖付近の岩場のゾーンに行くことができます。くれぐれも足元にはお気をつけて!
実は崖が結構高くて足がすくむんです…
崖が柱のような割れ方をしているのも溶岩でできているからです。「柱状節理(ちゅうじょうせつり)」と言って、溶岩が冷える時に体積が縮むことでこのような形になるのだそう。地球の神秘にも触れることができますね。
自然が作り出した絶景にたくさん出会うことができました。
それでは、いよいよ今回最後のスポットへまいりましょう。先程の城ヶ崎海つり橋から少し北上したところにあるのが「宇根(うね)展望台」です。
閑静な住宅街をぬけて、突如として現れたこの大岩。「産衣石(うぶぎいし)」と呼ばれる大きな石です。
名前の由来は源頼朝の時代まで遡ります。
源頼朝と伊東祐親(いとうすけちか:平家の武将)の三女である八重姫(やえひめ)の間の子どもを千鶴丸(ちづるまる)と言いましたが、この存在を隠そうとした祐親によって川に流されて殺められてしまいます。
千鶴丸の遺体が発見され、この石の上に安置し着物を乾かして葬られたことから、「産衣石」と呼ばれています。
可哀想な話ですが、現代になってもその逸話とこの場所が残っていることに歴史を感じることができます。
そして、さらに奥に進むと宇根展望台が見えてきました。
木製のデッキのような風合いで、しっかりと高さがありますから、城ヶ崎海岸を一望することができました。
9月の伊豆ぽたは、伊豆高原の様々な芸術に出会えるスポット、美しい海を眺める素敵なカフェなどをお送りしました。日常から抜け出して、ちょっと贅沢な伊豆の過ごし方。ぜひ堪能しにいらしてくださいね。
次回の伊豆ぽたもお楽しみに!
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