牧之原ポタリングvol.3「牧之原ロケ地めぐり」 2019 Oct.29 SURUGA Cycle Journal Vol.45
「牧ポタ」。
のんびりマイペースに牧之原市のきれいなところを自転車で巡り、6か月間SNSとWebでご紹介していきます。第3回目となる今回も、牧之原市在住の「走るイラストレーター」岩本陽子さんにナビゲーターをお願いし、さらに、まきのはら産業・地域活性化センターのシティプロモーターである中山さんと牧之原市役所観光課の水嶋さん、さらにはオブザーバーとして観光課長兼静岡まきのはらフィルムコミッション代表の八木さんにもご同行いただき、数多くあるロケ地をデイトナポタリングバイクDE01で巡りました。
それでは、岩本陽子さんのレポートです。
静岡県牧之原市は、白い砂浜と青い海、おまけに日本一の日照時間の長さを自負しているだけあって、映画やテレビドラマ、CMなどの撮影にはもってこいの地だ。と、どこから聞きつけたのかこの地には撮影で使用された多くのロケ地が点在している。涼風吹くようになった夏の終わり、ロケ地巡りのポタリングに出掛けた。
出発地点となる「牧之原市役所相良庁舎」1階ロビーのショーケースを覗き込むと、撮影で使用されたたくさんの台本が展示されていた。
ロケ地に多く使用されている背景には、「静岡まきのはらフィルムコミッション」(以下FC)という団体が大きく関係している。FCは、映画・テレビ・PV・CMなど、ロケーション撮影の誘致や撮影がスムーズに行なえるよう地域の情報提供や許可の手続き、エキストラ手配をサポートする団体だ。撮影協力をすることにより、ロケに伴う直接経済効果に加え、舞台となった地域が放映により全国・世界にアピールでき、観光振興や地域振興に寄与すると考えている。彼らの20年近い手厚いサポートがあってこそ、この台本の量になったのだろう。
ショーケースの中でも一番目を引いたのは、「男のシンクロ!?」のキャッチフレーズが話題になったあの映画の台本である。言わずと知れたあの名作は、なんと牧之原でも撮影が行なわれていたのだ。ロケ地はここから近いとのこと。さっそく相棒のDE01に乗って行ってみよう。
牧之原市役所相良庁舎より自転車で10分ほど走ると辿り着いた「小堤山(こづつみやま)公園」。名前の通り山になっていて、入口から続くスロープを頼りに小山を上りきると展望台に到着するのだが、そこからは街並みと駿河湾を一望することができる。
映画では、ここを訪れた主人公とヒロインが、遠くで燃え盛る火事現場を発見するという重要なシーンで使用された場所だ。つい先日、火事現場シーンの方向で地元民による花火大会が行なわれたのだが、その時もきっとここからならよく見えただろう。
公園内でのロケ地が実はもう1か所あることを教えてもらい、急遽見に行くことに。
ここの公園は展望台だけでなくジャングルジムや芝生広場にグラウンドも設備されるほどの広さで、その芝生広場でもロケが行なわれていたそうだ。
女子高生たちがラクロスを練習するシーンで、当時デビューして間もない頃の有名女優が初々しい演技を披露していたと、もう一人の同行者である八木観光課長が懐かしそうに解説してくれた。
そんな場所で、私たちは日向ぼっこをしてみる。
「小堤山公園」から国道150号線を西に進んで約6km、「地頭方(じとうがた)海浜公園」へ辿り着く。広場の奥手に丘陵があり、展望台へと続く道がまっすぐ伸びている。相棒のDE01だったら急な坂道でも軽々と走行できるのが心強い。展望台に辿り着くと360度駿河湾を見渡すことができた。
ここは某戦争サスペンス映画の有名ロケ地。海上に実物大のイージス艦セットを建てて撮影していたそう。撮影当時は季節柄ちょうど大型台風の接近に遭遇し、なんとセットの砲弾が風で吹き飛ぶといった珍エピソードもあったそうだ。
天気が良ければ伊豆半島や富士山は正面に見えただろう。
「地頭方海浜公園」から移動することおよそ3km、大正5年創業の老舗製茶問屋「小栗農園」へ到着した。お店に入るとすでに馥郁(ふくいく)としたお茶の香りが店内いっぱいに漂っている。お茶のサーバーが置いてあり試飲できるのだが、なんとこのサーバーごと撮影現場へ持っていき、撮影期間中の皆さんの喉を潤す役目を果たしているのだ。実績は先述の男子シンクロ映画撮影時からなので、実に15年以上!その信頼を買ってか、有名俳優さんがお土産を購入したり自身のブログに紹介してくれることもしばしば。確かに目を引くようなお茶のパッケージは、思わず手に取りたくなる。
「小栗農園」を後にし、「地頭方海浜公園」を相良方面に戻ること約8km。「さがらサンビーチ」に到着した。ここは某炭酸飲料メーカーのCMが撮影されたことで有名な海岸である。真っ白な砂浜にある半円形の小さな階段に腰をかけ、海を見つめながら炭酸飲料で乾いた喉を潤す。波の音と炭酸の弾ける音のハーモニーが心地よい…。思わずうっとりしてしまうスポットだ。
「さがらサンビーチ」から約10km北上し、片浜地区の「堺港」までやって来た。ここの灯台は2015年に公開されたオール牧之原ロケの某青春映画の中で、「恋愛成就の灯台」として使用されたのだとか。ここは現在立入禁止の看板が出て近づくことができないので、遠くから眺めてみる。はるか遠くの青い海が白亜の灯台を一層引き立て、映画のストーリーが浮かんでくるようだ。
「さがらサンビーチ」を後にして東方面へ約3km。国道沿いにある弁当屋「レインボー」に到着した。ここはロケ弁の御用達のお店のひとつである。店の扉を開けるとコンパクトなカウンターに美味しそうなお弁当がぎっしり。私もかつてサイクリングの際、小腹が空いて立ち寄ったことを思い出した。店主さんがおにぎり一個のオーダーにも関わらず笑顔で丁寧に作ってくださった味は忘れられない。ちなみに人気メニューは甘めの卵焼きだと八木観光課長が教えてくれた。
調達したお弁当を持って、どこで広げて食べようか。
ホカホカのお弁当を片手に「レインボー」から数分で「大鐘家(おおがねけ)」へ到着。ここは某幕末コメディ漫画が実写化された映画のワンシーンで、主人公が子供時代に通う「松下村塾」として使用されただけあり、風情のある雰囲気に思わず息を呑む。それもそのはずで、この建物が建造されたのは約300年前。母屋と長屋門は国の重要文化財に指定されている。
小堀遠州が手がけた中庭はこじんまりしているが、枯山水に蝉の鳴き声が滝のように響き思わず眺め入ってしまった。
「大鐘家」の敷地内の土産物屋さんで特別にお弁当を広げさせてもらった。
私が選んだのは「幕の内弁当」。蓋を開け、まず卵焼きと焼き鮭のボリュームに仰天する。その他人参やインゲンなど色とりどりの具材が食欲をそそる。ご飯も炊き込みと白飯どちらも入っていて大満足だ。ちなみに「大鐘家」敷地内にある蕎麦屋「門膳」は、店内の中庭を眺めながら蕎麦料理が楽しめ、年越し蕎麦にいたっては地元民だけでなく遠方からも食べに来るほど大人気の店だ。
「大鐘家」で空腹を満たし、さあ次はどこへ行こうか。そろそろ、本日一番の目玉ロケ地「榛原総合病院」に向かおうか。
東方面に足を延ばし約5km、「榛原総合病院」に到着した。ここは人気医療サスペンスドラマをはじめ、数々の医療系作品の撮影が行なわれている有名なロケ地だ。院内で車椅子に乗った俳優さんを見かけたり、病院の外看板が撮影用にガラリと名前を変えていたりと話題が絶えない病院である。
ところで私も以前こちらにお世話になった際、駐輪場で定期検診にやって来たロードバイクの男性と話したことがある。彼の外見は60代後半くらい。「自転車のおかげで病気なしだよ。ありがたいね」と笑顔を見せ走って行った。健康の秘訣は自転車に乗ることだろうか。
それならば、ここからはトレーニング気分で走ってみようか。約10km離れた古民家「奥の家」まで足を運んだ。
この庭で、某カップうどんCMの主人公と狐の出会いのシーンが撮影されたそうだ。外観は趣ある古民家とどこか懐かしい庭が広がり、そんな中、放し飼いの鶏が数羽出迎えてくれた。
古民家「奥の家」から「一幡神社」へハンドルを向け約4km。ここは2015年に公開されたオール牧之原ロケの某青春映画の撮影が行なわれた場所だ。階段を上ると鎮守の杜にひっそり佇む拝殿が顔をのぞかせる。静かな杜に囲まれたその空間は筆舌に尽くし難い風格だ。私は子供の頃よくこの境内で遊んでいたのだが、小学生になって絵画コンクール用に描いた境内の狛犬の絵が受賞して以来、ますます絵を描くことに打ち込んだ思い出が蘇る。
懐かしい思い出に別れを告げ、「一幡神社」から相良方面に向かい約7km。「cafedining TANUMA」にやって来た。ここもロケ弁の手配でお馴染みの店である。
店内の大きな窓からは「さがらサンビーチ」が一望できる。メニューも、評判のロコモコなどのハワイアンフードを中心にがっつり食べることができ、まさにサイクリストやサーファーにうってつけの店だ。
「cafedining TANUMA」からすぐの「相良シーサイドパーク」へ移動する。スロープを上り辿り着いた頂上は、某青春ドラマで使用された場所。棕櫚(しゅろ)の木が所々に植えてあり、この南国風な雰囲気は、たとえドラマでなくてもムードが高まりそうなデートにもってこいの場所だ。
今回は地元に暮らしていてもなかなか気付くことのできない牧之原市の良い所を、映画やドラマを通して再認識することができた。中でも子供の頃によく訪れた「一幡神社」は言わば自分のルーツとも言える場所。今回久々に参拝することができ、とても感慨深い自転車旅だった。
牧之原市役所 産業経済部 観光課
課長 兼 静岡まきのはらフィルムコミッション代表
八木 康仁さんから“ヒトコト”
牧之原市は、映画やドラマ、CMなどの撮影協力を、数多くしています。
最近では、アニメとのコラボを初めて行ない、全国から市内に来ていただきました。
牧ポタ第3弾でお伝えしました「ロケ地めぐり」は、おすすめです。
エキストラに参加しながら、牧之原市を周遊してみるのはどうでしょうか?
また、今年は、田沼意次侯生誕300年の記念の年として市をあげて様々なイベントを開催しています。
11月17日は、大名行列や100店舗以上の出店、意次侯にちなんだステージでのイベントなど記念イベントで盛りだくさん。
皆さん、ぜひ牧之原市へお越しください。
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