【宮ぽた ep2《田園風景広がる「柚野地区」で、のんびり柚野ぽた》】 SURUGA Cycle Journal Vol.76
富士宮市さんとのロングランコラボ企画「宮ぽた」。E-BIKEのまち富士宮を、気ままにポタリングします。2回目の今回は、柚野(ゆの)地区へ行ってきました。
柚野は富士宮市の西部に位置し、今も美しい田園風景と芝川、そして自然豊かな景色の広がる街です。たしかに、どこを切り取っても自然の優しさが全面的に伝わってきます。そんな柚野の魅力をもっと知ってもらいたいとの想いから、最近おしゃれショップが増えてきているとか。今回の宮ぽたでいろいろ教えていただきたいと思います。
そして、その柚野を紹介してくれる富士宮市の職員さんは、渡邉さん(男性)と深澤さん(女性)のおふたりです。いやぁ、素敵なおふたりですね。ちょっとクールな笑顔で、柚野マップと一緒に映っていただきました。
今回は柚野地区を13kmほどの行程です。まずは行程全体をマップで見てみましょう。
芝川の中心に広がる田園風景の美しさに、ポタリング中は何度もペダルを止めてしまいました。各立ち寄りポイントの詳細は一カ所ずつご案内していきます。
では、スタート地点は「ホールアース自然学校」さん。ログハウス風の施設は周りの自然に溶け込んでいて良い感じです。
ホールアースさんではさまざまな自然体験プログラムを企画開催し、「人と自然と地域」をつなぐ活動を発信されています。子ども向けのキャンプ体験や、大人向けだと鹿革クラフト講習会といった少し珍しいものも。ここ富士山本校を中心に全国に拠点があるので、各地域ならではの体験にも参加してみたいですね。
また、富士宮市観光協会さんの運営するE-BIKEのレンタルスポットにもなっています。今回はオフロードタイプ、舗装されていないコースを走るのに最適な、丈夫でタイヤが太いタイプをお借りして出発したいと思います。
柚野は本当に自然豊かで、ちょっと走り始めただけで緑と水の美しさに癒されます。
また、芝川のすぐそばにはニホンミツバチの養蜂スポットがあり、他にも、進んでは立ち止まって寄り道したくなるような場所がいくつもありました。その景色をご堪能ください。
次に訪れたのは「大鹿窪(おおしかくぼ)遺跡」。そう、柚野には遺跡もあるのです。遺跡は赤い鳥居が目印の「福石神社」 や2011年にオープンした農業・農村活性化施設「大鹿館」の奥に位置します。
大鹿窪遺跡は、今から約1万5千年前にあたる縄文時代草創期の遺跡のひとつです。この時代より古い遺跡は国内に数多くありますが、定住集落跡の例としては日本最古級であるとされており、国指定史跡になっています。
現在遺跡は埋め戻されて、地表から1~2mほど下に埋まっているそうです。この地から、富士山を眺めながら当時の人々がどのような生活をしていたのか想像してみるのも良いかもしれません。
それにしても、富士山がキレイに見えます。
すぐ近くの「三澤(さんたく)寺」さんにも立ち寄りました。鎌倉時代に創建された日蓮宗のお寺で、江戸時代には紀州徳川家の祈祷所だったそうです。
境内に咲く四季折々の花も見応えがあり、訪れる人を楽しませてくれます。訪れた時は紫陽花が美しく咲いていました。本堂前にある蓮の開花も、今後楽しみです。
三澤寺さんの近くに民泊施設「minami no uchi」さんがあります。元々オーナーさんのご実家だったお宅をリフォームし、2018年から民泊施設として宿泊できるようになりました。
コンセプトは「日本の田舎の静かで豊かな生活を体験」できること。たとえば敷地内の畑での農業体験や柚野で採れた食材をメインにしたBBQをしたり、夏は庭に現れるホタルを鑑賞したり…。また、裏の樹に取り付けたハンモックやブランコでゆっくり過ごすのもいいですよね。田舎暮らし体験をしたくなったら、ぜひ柚野へ行ってみましょう。
柚野には、なんとクラフトビールの醸造所まであります。それが「フジヤマハンターズビール」さんの醸造所&テイスティングルームです。
材料となる大麦・ホップ・米などは柚野の地で収穫されたものをメインに、そして富士山の湧水を使用して完成したクラフトビールは、全部で6種類の味が楽しめます。缶のデザインも可愛く、お土産にと購入される方も多いそうです。
サイクリング中の場合は飲酒できないので、どうしても飲みたくなったらレンタルE-BIKE返却後に再度訪れるのをオススメします。
他にも人参ジュースやサイダーもあるので、それらを飲みながら柚野の美しい景色をのんびりと眺められるこちらのスポットで休憩してみませんか。
すぐ近くの「Farmer's Kitchen どってん家」さんは、自家栽培の小麦や地元野菜を使用したパン、焼き菓子が人気のお店です。
卵、乳製品、白砂糖は使用せず、できるだけ自然に作られた素材のものを使用していて、どのパンも優しい味に仕上がっています。
その味に魅了されたリピーターさんは多く、撮影の合間もひっきりなしにお客さんが来ていました。種類によっては午前中に売り切れてしまうこともあるのでご注意を。
次のスポットへ向かう途中、「遠藤昭次商店」さんで昔懐かしいスポットを発見。
以前はガソリンスタンドでしたが、今はコンビニとして柚野住民の生活を支えています。ガソリンスタンドの頃の面影が今でも残っているので、なんだかノスタルジックな雰囲気を感じられそうです。
そろそろランチの時間です。お好み焼き屋の「和(かず)」さんにやって来ました。こちらではお好み焼きはもちろん、焼きそばやしぐれ焼きが楽しめます。店内に入ると、ソースの香ばしい良い匂いが漂っていました。
ところで「しぐれ焼き」ってご存知でしょうか?それはお好み焼きに富士宮焼きそばの麺が入ったメニューなんです。広島風のお好み焼きやモダン焼きに似ていますが、富士宮焼きそばを使用している所、そして仕上げに鰯の削り粉をかけて食べる所は富士宮ならではですよね。ボリューム満点で大満足でした。
次に訪れた「富士錦酒造」さんは300年以上も続く、静岡県では最も歴史のある蔵元です。
富士山の伏流水をふんだんに使用した酒造りは11月から3月までの冬季のみ、南部杜氏(なんぶとうじ)が製造しています。酒造りのほか、原料に使用する米作りも自らの手で行っているそうです。
(以下、富士錦酒造HPより
富士錦酒造では、岩手県から来た杜氏さんと蔵人(くろうど)さんたちが酒造りをしています。岩手県からの杜氏さんは「南部杜氏」と呼ばれ、越後杜氏、丹波杜氏と並ぶ三大杜氏のひとつで、かつての南部藩、現在の岩手県が本拠地です。)
富士錦はもちろん、女性や日本酒の苦手な方向けのブルーベリー酒も人気のようです。富士宮市内には酒蔵や醸造所に水の製造工場など、水がキレイだからこそ造れる美味しいものがたくさんあります。富士山の伏流水による酒造りができるのも、富士宮ならではですね。
次のスポットへの通り道、芝川のほとりでこんな癒しスポットに巡り会いました。ハルジオンなど野花が咲き誇る花畑を通って楽しみ、さらに川のせせらぎや遠くの連なる山々との景観を楽しむ、柚野の自然の美しさに癒されました。
なお、雲に隠れていなければ、富士山ビュースポットでもあります。
水がキレイな富士宮では鱒(マス)の養殖も盛んで、とくにニジマス養鱒(ようそん)業界においては日本一の生産量を誇るそうです。その中でも「くぬぎ養鱒場」さんは、抗生物質やワクチン等の薬を一切使用することなく富士山麓の清らかな水と独自の手法でこだわりの「くぬぎ鱒」というブランドのニジマスを育てています。
生食でも安心して食べられ、その旨み成分(粗脂肪含有量)は、県の正式な調査をして非常に高い数値が確認されているとお聞きしました。感覚的だけではなく、科学的にもその美味しさは証明されているんですね。
また、養鱒場の一部は釣り堀としても開放していて、その場で塩焼きなども食べられますよ。
最後のスポットは「縁側茶房ゆのゆの」さん。一軒家を改築したカフェで、「バイシクルピット」登録店でもあります。
バイシクルピットとは、サイクリストのための休憩所として静岡県内で登録認定されているお店を指します。空気入れなども利用できるようになっています。要するに、サイクリストウエルカムなスポットなのです。
▼バイシクルピット
https://hellonavi.jp/cycling/route/fuji-izu/bicycle-pit.html
カフェは坂の途中にあるため景観も良く、特に縁側席からのぞむ富士山は裾野までキレイに見られるのが最大のポイント。そのため基本は富士山が雲に隠れることなく見られる日にしか開けないようにしていて営業日は不定休なのだとか。訪れる人に美味しいコーヒーとスイーツだけでなく「富士山を見ながら」楽しんでほしいという店主さんの願いが込められています。
この日はあいにく雲が富士山をすっぽりと隠してしまったので、別日に撮影された写真も一緒にお楽しみください。
店主さんお手製のホワイトチョコチーズテリーヌとコーヒーをじっくり味わい、まったりと過ごしたのでした。
宮ぽた柚野めぐりは以上となります。想像以上に素敵スポットが満載でした。
次回もお楽しみに!
広報ふじのみや 2021年10月号より