【伊豆ぽたでサイクリング「伊豆ぽたに乗って下田めぐり!神秘の龍宮窟へ」】 SURUGA Cycle Journal Vol. 107
伊豆急行さんとの共同企画「伊豆ぽたでサイクリング」。レンタサイクル「伊豆ぽた」に乗って、伊豆急沿線の素敵なスポットを巡り、ご紹介していきます。
初夏の下田にやって来ました!今回は神秘の龍宮窟をはじめ、自転車で行ける下田巡りスポットをご紹介します。
今回のナビゲーターは伊豆急行の春田さん(右)と伊豆急オモシロ駅長の齊藤さん(左)のおふたりです。齊藤さんは『伊豆半島ジオパーク冒険団駅長』、伊豆半島ジオパークにとてもお詳しい方なのです。駅長さん帽子&タスキ&オレンジ色がトレードマーク!
伊豆の地の成り立ちを物語るスポットが点在する下田の秘密を解き明かしましょう。
相棒の自転車はレンタサイクル「伊豆ぽた」。電動アシスト付きで、坂道もスイスイです。
ギアは3段階、アシストはワンタッチで切り替えOKなので、操作はとても簡単。下田のようなアップダウンが多めのルートでは、「伊豆ぽた」の電動アシストが大活躍します。
「伊豆急下田駅」から自転車を走らせること30分、最初は「龍宮窟」にやって来ました。
まずは洞窟の下へ。
龍宮窟は上から見るとハート型に見えるのでハートスポットとして有名なのですが、下から見上げてみると偶然にも洞窟の輪郭もハート型にみえます。
こんな感じ。
ここは数百万年前、かつての海底火山の噴出物が地表に姿を現したもの。それが波によって削られて、今の形になりました。
壁の地層部分は溶岩石・火山灰など、部分によって形成する岩石の種類が違うため色が違うんですって。風雨で洞窟自体が削られたり、波の具合で洞窟内が砂場になったり岩場になったりするので、短い年月でも結構変化があるそうです。
しかし齊藤さんによると「朽ちていくのもジオパーク」。龍宮窟の今の姿は、計り知れない時間と自然の力で創りあげられたものであり、現在も変化し続けています。
さて、2つ目のハートスポットに行ってみましょう。階段と細い坂道ですので足元にはお気を付けて。支えあれば憂いなし、入口で杖が借りられました。
途中で石段を発見しました。今は通れませんが、この上にある「龍宮神社(龍王社)」の参道だった石段です。これは伊豆で切り出された「伊豆石」なのだそうです。「伊豆石」とは伊豆半島で産出する火山岩で、龍宮窟で取れる「伊豆石」はで火山灰が積もってできた凝灰岩(ぎょうかいがん)といわれるものです。
「龍宮神社」の傍には海が見える展望台があります。天気がいいと伊豆諸島がくっきり見通せるんですって。
本当に伊豆の海は美しい…「海の碧」と「空の青」が違う色なんだと強く感じますよ。ぜひ実際に見にいらしてくださいね。何度見ても素晴らしい景色なんです。
もう少し奥に進んでいくと、龍宮窟を上から見下ろす展望スポットがあります。
龍宮窟は海底火山の噴出物が地表に隆起し、波によって弱い地層が削られてできた海食洞(かいしょくどう)です。こうして上からハート型に見えるのは、侵食によって洞窟ができた後、天井が落ちて今の姿になったからなのだそうです。ハートの上の尖った部分は固い地層であるため、侵食されずに残ったらしく、この形になったのも奇跡のようですね。
歩いている途中でなんとカニに遭遇。
さらに進んでいくと、「田牛(とうじ)サンドスキー場」があります!岩場に突如砂山が現れるのが不思議な感じ。
「田牛サンドスキー場」もジオパークのひとつ。砂が強風で吹き上げられ、いつも約30度の傾斜を保っているんです。多くのソリ遊びなどを楽しまれる人が一年中訪れます。
さわやか~
のぼってみると結構な高さ!おふたりが豆粒のように…
ソリがなくても、軽快なステップで砂山をかけおりるのも楽しいですよ。
それでは、さらに岩場の方へ進んでいきましょう。ここは以前「伊豆石」の石丁場(いしちょうば:石を割ったり加工したりした場所)だったところで、石を切り出した四角い穴が見えます。
結構高いところにあるんですよ。どうやって切り出したのでしょう…。
「田牛サンドスキー場」の隣には白い砂浜のビーチが続きます。こちらは「田牛海水浴場」です。
下田のビーチの中で最も南にあり、実は穴場スポットなのだとか。比較的空いていることが多く、水が綺麗であることからファミリー層に人気のビーチなんです。この透明度、下田の海に魅せられます。
続いて、田牛海水浴場から徒歩3分のところにあるのが「田牛青少年海の家」です。
なんだか少し懐かしさを感じる建物ですね。
こちらは元小学校の建物で、昭和41年に閉校になった後、かつて学生達の合宿施設として使用されていました。
黒板や廊下など、小学校の趣が残っていますね。現在宿泊はできませんが、体験学習などで子どもたちが集まります。平屋木造の貴重な建物として受け継がれています。
さて、続いては「田牛海水浴場」から自転車で1分のところにある「長谷寺(ちょうこくじ)」に行ってみましょう。
本尊の阿弥陀如来像は、なんと元国宝。現在は法改正により国指定の重要文化財に指定されています。
普段からこのように、中に入って参拝することができるそうです。国宝級の仏像をこんなに間近に見られる機会なんて滅多にありません!
阿弥陀如来像は平安時代の制作で、海から漂着したという伝説があるそうです。当時は火山噴火が盛んで、それらを鎮めるために仏像が多く作られていたそうで、そのために伊豆には多くの仏像が安置されているのだそうです。
天井や襖の上の部分に施された絵の美しさにも心惹かれますね。
戻る途中、かわいらしいハート型のバス停を発見しました。さすがハートスポット・龍宮窟。こんな所でもハートを見つけました。
下田と言えば美しい海。今度もその美しさにふさわしいビーチにやって来ました。
「吉佐美大浜海水浴場」は770mもの雄大な浜で、家族連れからサーファーまで幅広い人気があるビーチです。外国人の方も多く訪れるのだそうです。
国道から離れていてとても静かなので、浜辺でのんびりしたり読書をしたりと、思い思いの過ごし方で楽しめます。
さて、続いては「大賀茂川ボードウォーク」です。
吉佐美大浜に流れ込む大賀茂川の河口付近に位置するボードウォーク(木の板張りによる遊歩道)は、通称「はまぼうロード」と呼ばれています。
周囲には約500株ものはまぼうが自生しています。7~8月には黄色い花が咲いて見ごろを迎えます。
沼地ではアシハラガニを見つけることができました。
そろそろお腹が空いてくる頃…ログハウスのような素敵なお店にやって来ました。こちらは「薬膳Cafeくこの実」さんです。
太陽の光で明るい素敵なウッドテラス!今日はこちらの席でランチにしましょう。
いただくのは「本日の健康ランチ」。疲労回復など、体の調子を整える働きを考慮した野菜中心のプレートは彩りも豊かでとっても綺麗!
この日は梅雨に向けての食養生がテーマの健康ランチです。
デザートや特製「元気茶」など、隅々まで体をいたわる食事を堪能できました。
さらに、オーナーさんが吉佐美大浜で見つけてきたという貝殻を「お土産にどうぞ!」と言ってくださいました。
室内も木のぬくもり溢れる素敵な雰囲気。明るいオーナーさんの人柄と体に優しいお食事で心も満たされました。
伊豆急下田駅へ戻る道すがら、木製の鳥居が目立つ「吉佐美八幡神社」に立ち寄りました。
車道の脇に突然現れる神社ですが、一歩足を踏み入れると、苔むした石畳や緑に囲まれた境内に静けさを感じます。
ちなみにこちらは、2月の伊豆ぽたで訪れた「若宮神社」の御祭神と繋がりのある神社です。
こちらには御神木とは別に、国の天然記念物に指定されている「イスノキ」があります。
この木の実のようなものは、実はイスノキの葉が変形したもの。虫が寄生することによって木の実のように異常発育するんですって!
虫が出たあとに穴が空いていて、笛のように吹いて遊ぶこともできます。
さて、今回の伊豆ぽたの締めくくりは「佛谷山宝徳院(ぶっこくさんほうとくいん)」にやって来ました。
こちらは岩山の中に参道があるという、珍しい寺院なのです。
六観音と江戸中期の十六羅漢像、金毘羅堂(こんぴらどう)の参拝に行けるということで、伊豆ぽたパーティもさっそく!…と登り始めて5分後の様子がこちら。
おっと…もしや山登り?山に作られた階段を上ったり下りたりしていくと、参道のところどころに石仏を見つけることができます。
本当に足元には気をつけてくださいね。
苦労の甲斐もあって、上の方に来るとこの眺め!
ようやく金毘羅堂に到着!木で造られた鳥居が素敵です。
向こう側には下田の海も見えますね。岩山の中は時折涼しい風が吹いて、空気が変わるような雰囲気があり、神秘的なパワーを感じました。
なお、金毘羅堂までの参道には、入られる前に寺院へ一声おかけくださいね。
お疲れさまでした!無事、伊豆急下田駅に戻ってきました。
最後は「伊豆ぽたSTATION下田」の前でフィナーレ!今回の伊豆ぽたは初夏の下田巡り。自然の神秘が作り出した「龍宮窟」やアクティビティスポット、下田の美しい海を存分に堪能できるコースでした。勾配がある下田の地でもパワフルに走れる「伊豆ぽた」でぜひ伊豆観光を楽しみにいらしてください。
それでは次回の伊豆ぽたもお楽しみに~!