牧之原ポタリングvol.6「走るイラストレーターとの幸せな出会い」 2020 Feb.7 SURUGA Cycle Journal Vol.50
「牧ポタ」。
のんびりマイペースに牧之原市のきれいなところを自転車で巡り、6か月間SNSとWebでご紹介していきます。今回、いよいよ最終回です。
牧ポタでは、毎月1回、計5回の街巡りを行いました。毎回テーマによってさまざまなナビゲーターさんに登場していただいていましたが、そのうち4回登場していただいたのが、「走るイラストレーター」岩本陽子さんです。そう、もう牧ポタの顔です。最終回の今回は、岩本さんのご紹介を通して牧之原市をより知っていただく機会にしたいと思います。岩本さんとの出会いは、牧之原市役所観光課の水嶋智子さんからの紹介でした。
2019年春、牧ポタの企画ミーティングをしていた時に、水嶋さんから見せていただいた「まきのはらサイクリングまっぷ」の表紙に描かれたキャラクターに目が止まりました。
キャラクターは牧之原茶のイメージキャラクターで、作者のイラストレーター岩本陽子さんは牧之原市出身、女性、サイクリストと聞き、「牧ポタのナビゲーターにぴったり」と思いました。さらに水嶋さんから、岩本さんの著書「自転車でめぐる静岡スケッチ帖」の話を聞き、がぜん岩本さんへの興味が湧きました。
その日のうちに岩本さんの著書を購入、読破しました。内容は、岩本さんご自身がサイクリングされたコースをイラストで紹介されています。ここ数年の自転車ブームで、スポーツバイクに乗る方が本当に増えました。ただ、本当の意味で自分に合った楽しみ方を見いだせていない方も多く、自転車から離れていってしまう方もいます。岩本さんの著書では、「ゆっくり、のんびり、だけど自転車ならではの発見がある小旅行」を、優しいタッチのイラストで紹介しています。ぜひ、あらゆるサイクリストに読んでもらいたい本です。きっと今までと違った自転車に対するモチベーションが湧いてくるでしょう。
アトリエと相良海岸
牧之原市にある岩本さんのアトリエからほど近い相良海岸は、岩本さんのお気に入りの場所です。「さがらサンビーチ」という名称で、きめの細かい白砂や黒松の防風林が保たれ、「白砂青松」の景観の良い砂浜として、静岡県立自然公園に指定されています。夏は海水浴場として賑わう美しいビーチです。特に岩本さんのお気に入りは、相良海岸から見る富士山。作品にもなっています。
岩本さんは仕事でも、牧之原市と深く関わっています。なんと言っても今回のきっかけになった牧之原茶のキャラクター「チャーフィン」の存在は大きいです。牧之原市のホームページに掲載されているチャーフィンのプロフィールをご紹介しましょう。
「チャーフィン」という名前は公募で決まりました。「お茶」と「サーフィン」の掛け合わせです。牧之原市といえば日本有数のお茶の産地です。温暖な気候と長い日照時間が良質なお茶の栽培に適しているため、市内には約2,160ヘクタールの茶園が広がっています。そして牧之原市の静波海岸と相良海岸はサーフィンスポットとしても有名で、2020年国際大会のサーフィン競技におけるアメリカチームと中国チームのホストタウンにもなっています。
街の愛されキャラ「チャーフィン」
市内を巡るとあちこちで見かけるチャーフィン。代表的なものは市のスクールバスです。
このバスは市内の小学生達が絵を描き、岩本さんがデザイン監修をしたもので、平日、子供達が楽しそうに乗っているのを、何度か市内で見かけました。温かみのあるほっこりしたデザインで、街の体温が伝わってきます。そして次は静波海岸。ビーチの御手洗いも岩本さんデザインです。
さらに大江配水池にも大作が。
市職員さんの名刺には、田沼意次侯バージョンで登場しています。
お茶の妖精が自転車にも乗り、田沼意次侯にも扮するなど、市民からの愛され度がわかります。まだまだあちこちで見ることができる「チャーフィン」。牧之原市に遊びに来たら、「チャーフィンを探せ!」をやっても楽しいかも、と思いました。
走るイラストレーター、自転車との出会い
牧之原市に深く関わる岩本さん。自転車との出会いをお聞きすると、ルーツはフランスでした。
岩本さんが以前、フランスにプチ留学をした時に、パリのシャンゼリゼで見た自転車の車列に衝撃を受けたそうです。ツール・ド・フランス直前の民間自転車イベントだったようなのですが、100台以上の自転車が石畳を走る音と光景に圧倒されたそうです。当時自転車に乗り始めた弟さんから自転車の楽しさをよく聞かされていたことも重なり、帰国後、自転車の購入に至ったとのこと。10年以上経った今でも、同じ自転車に乗り続けています。
アーティストの感性
「自転車に乗ると、景色が次々と頭に飛び込んでくるんです。」「それがたまっちゃうと眠れなくなったりして」と言う岩本さん。その頭にたまった景色をスケッチ帖に描いて消化しているそうです。「写真は撮らないのですか?」と聞くと、「写真は見なくなるし、スマホも持っていないから」と。やはり常人とは違う感性が、あの鮮やかで温かい作品を生み出しているのだと思いました。岩本さんが自転車に乗る時は、カメラではなくスケッチセットを携行しています。
100円ショップで売っているメイク用パレットと、信玄餅の黒蜜容器、水筆ペン、スポイトが岩本さんのスケッチツールです。サイクルジャージの背中ポケットに入れて走るので、かなりユニークに軽量化が図られています。
サイクリング中に気に入った景色を見つけると、自転車を停めてしばし創作活動に浸るのが岩本さんのスタイル。とても素敵な楽しみ方だと思います。自転車って本来、そういう自由な乗り物なんですよね。
牧ポタのナビゲーターを務めていただいて
岩本さんは色々なことに興味を持って携わります。「なぜ?」「どうして?」といつも問いかけ、ご自身で感じた事は周りに発信するのです。そして周りからのリアクションも吸収し、ご自身の知識や楽しみを増幅していきます。周りの人も、岩本さんの問いかけと発信に刺激されるので、お互いに濃密な時間を重ねていくことができます。そのため牧ポタの撮影は毎回楽しみでした。
撮影中はいつも集中されていた岩本さん。作品の制作中はさらに集中力が上がるようです。アトリエに籠ると、描いて、寝て、描いての繰り返しになる時もあるそうです。
そしてアーティストとしてのバイタリティで、何でも形にしてしまう創造力は一般人にはないものでした。
また、思い切りの良さと明るいキャラで撮影を盛り上げ、水嶋さんとはすっかりいいコンビになっていました。
アーティストとしての展示会や講演活動
また、実に多彩な活動をしている岩本さん。イラストレーターとして原画展、スケッチ教室の開催や、地元のインフルエンサーとして移住セミナーのパネリスト、地元FM局の番組出演なども行っています。
いつかは牧之原のガイドサイクリングを
牧ポタで岩本さんと出会い、自転車の楽しみ方がまたひとつ増えました。いつもより少しスピードを落として、走る土地ともう少し向き合ってみると、新しい発見がきっとあります。時には止まって、腰をおろしてボーッとするのもいい。目を三角にして早く走ってる時より、多くの事を感じて知る事ができるでしょう。岩本さんご自身は、もっと牧之原市の歴史を勉強して、市内のガイドサイクリングをやってみたいそうです。その時は、アーティストの視点で切り取った牧之原市の魅力をぜひ見せてほしいと思います。
牧ポタを終えてヒトコト
牧之原市役所観光課 水嶋智子さん
牧ポタを通じて、色々な切り口から牧之原を巡り、すばらしい景色やおいしい食べ物、熱く優しい地元の方たちなど盛り沢山で紹介させていただきました。
牧之原市には、有名なお茶や海だけではなく、史跡やロケ地、隠れた名所・名店がたくさんあります。
SNSやd-laboの記事を通じて、少しでも多くの方が「牧之原市に行こうかな」と思っていただけたらうれしいです。ぜひ、牧ポタのようにサイクリングでゆっくり巡っていただき、お気に入りの場所を見つけてください。
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