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L'Arc-en-Ciel LIVE 2025 hyde BIRTHDAY CELEBRATION -hyde誕生祭-DAY2
ライブ本編・セットリスト
(※すべては個人的な体験に基づく,主観的な感想です。
不正確・不適切な表現や誤りもあると思いますが、ご了承ください)
オープニング、目にヴェールのかかった白いドレスの女性が階段を上っていく。
『希望』っていう絵画(ジョージ・フレデリック・ワッツ)の女性を思い出したし、横たわって流れていくところでは花葬のシングルの水死体みたいなジャケットを思い出した。
その女性の表皮が剥がれ落ちるようなイメージのあとに、氷の向こうにhyde。氷(ガラス?)に額を打ちつけて氷を割ったら、上半身半裸のhydeが獣のような唸り声をあげて出てくるという映像
(初日,まさかそのままの姿で登場するのではと少し期待してしまった…。)
最近、肌色をケチケチしない方針なの,すごく好きです。
1.DRINK IT DOWN
オープニング映像が消えて,メンバーがスクリーンに映し出された瞬間,はぃどちゃん、また二次元になってた。
……文章が混乱しているな。
紛うことなき三次元なのだが、顔面の作画がファイナルファンタジーだった。
はぃどちゃんは、いくつになったら見た目年齢28歳・作画ファイナルファンタジーなのをやめるん?
髪型も髪色も顔面もファイナルファンタジーじゃん。
もうあの顔面、二十数年観てるのに、いまだに目を疑うレベルで美しすぎて、マジで目を疑った。
しかも,お衣装が天才。
初日,はぃどちゃんが背中を見せた瞬間に「!?!!!???」
ってなったけど、ドーム55,000人が同じ反応だったんだろうなと思うとウケる。
そして歌声だが,一曲目からキレッキレだった。
音響も、初日に比べて格段にバランスが良くて聴きやすかった。
昨日はヴォーカルが楽器に埋もれる瞬間がたびたびあって、声の質感を想像力で補わないといけないような、ちょっとだけフラストレーションがあったけれど、今日はちゃんと声の質感まで伝わった。
中低音の深い響き,丁寧な語尾のビブラート,素晴らしい。
かと思えば「逝く前につかめるか」が色香たっぷりの浅い響き、からの「力を〜oh」の圧。
最初からテンションMAXだった。
2.XXX
ここで再び、はぃどちゃんのお衣装の天才ぶりについて語りたい。
前面から見たらハイネックロングスリーヴの、なんなら神父さんのキャソックみたいな聖職者めいたお洋服なのに、背中が開いてて編上げなのだ。
そのキャソック風ショートコートを素肌に着ているのだ。天才。
グローブがまた、なぜか右手にだけ、抉れたような革のショートグローブ。左手はなし。何その危ういアンバランス。天才。
小物使いまで天才なのどちらのスタイリスト様ですか。
永遠にそういう方向で,はぃどちゃんのスタイリングお願いします。
その禁欲的な聖職者めいたお衣装で、XXXだ。
違法だった。
たびたび左手を自分のうなじから、胸から脇腹へ手を沿わせ,身体をくねらせていた。
しかも、背中の編上げ大好評なことをお知りになったのでしょうか。やたらと後ろ向きになって背中を見せつけてくる。
その度に大歓喜する我々。
声量とか声の余裕でいうと、そんなに余裕はないのかも、と感じたけれど、その少し余裕のなさそうなところさえもエロスに変換されていた。
3.CHASE
CHASE大好きなんだけど、どうしよう、何も思い出せない…
どうでしたっけ?
この後のfateからが凄まじすぎた。
4.fate
わたし、知ってた。今のはぃどちゃんが本気でfate歌ったらヤバいって知ってた。
今ひとつ集中力を欠いて見えた初日とは別物だった。
暴力的なまでの感動を浴びせられるのみだった。
はぃどを表現するのに、はぃどを以てしかできない自分の表現力が残念すぎるんだけど、今日のfateは黑ミサTOKYOのThe cape of stormsのようだった。
少し悲しげな、でも高みから冷然と運命を眺めるようなあの眼差し。
わたし、あの眼を黑ミサTOKYOのThe cape of stormsでも見ました!
#黑ミサTOKYOの円盤化を諦めない
はぃどちゃんのヴォーカリストとしての素晴らしい点は多々あれど、もしかして最も素晴らしい点は,物語の語り部としての表現力なのでは、と思ったりする。
過去のfateはもう少し、物語よりも歌声の出し方に意識が行ってた気がするのですよね。
「今 しじまを切り裂き
今 奴らに降り立つ あぁ」
の「今」とか。前は、声の響きの美しさを全面に出している感じだった。
今回は、声の出し方はもっと自然で、衒いがなく、でも全体としては格段にドラマチックだった。
あの歌と表情を通して、雪の降る、凍るツンドラの情景が見えるようだった。
5.花葬
2日目、最高峰に素晴らしかった曲の一つが花葬。
過去最高、最高峰中の最高峰の花葬だった。
圧倒されて世界に溺れた。
いや、溺れたというより、沈められた、って感覚だった。赤い水底に沈められて、深すぎて、もう水面は見えなかった。
これは完全に個人的な見解なのですけれど、ついに来た! 花葬が開花した! って思った。
個人的に過去数年、ずっと密かに求めてた花葬だった。
話はわたしの八つ当たり的な不満から入る。
レントゲンツアーがあまりにも最高に素晴らしかったあの年、そのままラルクの30thツアーが始まった。
レントゲンの歌が素晴らしすぎたがゆえに、あの頃から密かに、はぃどちゃん、ラルクの時はどうしてこういうパァーンとした歌なんだろう? レントゲンと違いすぎる…っていう疑問が沸き始めた。
その疑問というか不満は、UNDERGROUNDという過去最高のツアーで見事に消え去ったのだけれども(UNDERGROUND最高だった〜夢のようだった〜)。
ただ、花葬については、30thツアー以来聴けてないから、歌としては美しい、歌い上げる歌としては十分に至高の領域ではあるが、黑ミサやレントゲンの歌を知ってしまうとなんだか物足りない……こんなもんじゃねぇだろ……もっと…もっとしゅっごいのがあるはずよわかんないけど……って思ってた。
(※世間ではこれを妄想と呼ぶ)
一方で、花葬は違うのかもしれないなぁ〜とも思った。
花葬はそもそも、fateとか禁愛みたいな物語とちょっと違う。
禁愛やいばらが壮大な叙事詩でドラマなら、花葬は純粋に『詩』って感じだ。
だとすると、歌い上げるやつで正解なのかもしれん…
なんか…なぁんかもう一化けあり得る気がするんだけど…
という妄想に基づく、半信半疑の期待を抱えていたわけです。
妄想だったけれど、ドーム2日目、その夢は叶った。
瞳開けたまま 腐食してゆく身体
鮮やかに失われる この意識だけを残して
春を待てずに
信じられないくらい,深い深い憑依。
芝居がかった要素は何もなく,ただ当たり前のように,当事者として物語を紡ぐ歌だった。
はぃどが虚無の瞳で,意識だけを残して消えていく…死んで腐敗していく身体を見つめているのがわかったし,「春を待てずに」に悲しみなのか、無念さなのか、滲む物語があった。
2日目の歌で、この曲は、ABメロは「物語」としての歌であり、サビはその死んだ人に捧げる「祈り」=まさに餞(はなむけ)としての歌なんだ、って初めて気づいた。
(※ 気づいたとか言ってるけど、100%個人の解釈です。
でもはぃどちゃんの歌が最高潮にすごい時って、いつも「あ、そういう物語だったんだ」って気づかされる。そのくらい、あまりにも鮮烈に立ち昇るイメージがある。
たとえばレントゲン札幌のsecret lettersとか! ……この話始めるとあと2000字必要なのでやめます)
そしてその、死者に向けた餞であるサビよ…
身体と声が一体になって、物語を、世界を紡ぐ。
感じ方の問題ではあると思うけれど、以前の花葬の舞踊的な身振り手振りとは全然別次元に感じた。
全身で、祈りを捧げるような歌だった。
世界観に溺れた。
あとこれ1998年から100万回繰り返してきたけど、「ばらばらに散らばる花びら」「闇に浮かぶ花」と花のイメージを連ね、「闇に浮かぶ花」と「せめてもの餞(はなむけ)」の韻を踏んでるの天才詩人すぎる。
ああ…どうして今回2daysですか……
このままあと10回花葬を聴きたかった。。。
たぶんめっちゃ凄いことになる。
変幻自在で幽玄で夢幻の花葬が現れたはずなのに…
35thで花葬やるよね! お願いします! お願いします!
6.浸食
はぃどちゃんの磨き抜かれた、万華鏡のような表現力が爆発してた。
この歌で、この歌詞で、なんなら少し甘さを感じるほどの「ひらひら…浮かぶ ちょうちょは捕まえられ はりつけ…られ…てたね」て歌うのヤバすぎん?
甘さと怖さを、なめらかさとザラつきを、やわらかな儚さと破壊的な衝動を、自由自在に操る。
しかもこのとき、右の額にうっすら青白い静脈が浮いてて、ビジュアルまでも曲にぴったりだった…
絶句して、呆然と見つめることしかできなかった。
7.EVERLASTING
個人的に、アルバム入りしてない新曲の中で、EVERLASTINGがツアーやライブで主砲を担ってるの、めっちゃL'Arc-en-Ciel。めっちゃ最高と思ってる。
新しいアルバムに,kenちゃんの他の曲があるかわからないけど,今ある中では新アルバムベスト好き曲になることは必定ですね。
(※注:まだ何も発表されていない)
イントロの壮大さと、深遠さと、重み。
特に2日目は音響も最高で、何重にも重なる音のヴェールに包まれるみたいだった。
その降り注ぐ音を、降り注ぐ雨を、全身で受け止めるみたいに両腕を広げて、目を閉じて、天を仰ぐはぃど。
歌がなくても,もうその姿だけで,表現者として圧倒的だった。
声が余裕たっぷりではないところを、逆に表現の強みにしてたように思う。
サビの「止まない雨に 止まない君」は、声に包み込まれる感じというより、何か、雨粒が落下とともに描く細長い線のようだった。
そして『will』を被せたところな!!!!
死んだ。
なにあのwill。よすぎて倒れた。
8.forbidden lover
EVERLASTINGまでで、もう魂抜けかけてて、半分屍になってた。
次、なんだっけ…ゼェゼェ…もうムリ…てなってた。
そこへ無情にも禁愛のドラムが始まってしまう。
マジでもうムリ…情緒キャパオーバー…て思った。
まず2日目、あの巨大スクリーンの使い方が天才でしたね。
そうなのよ! イメージ映像的なものではなくて、我々は歌うはぃどちゃんが見たいの。はぃどの目を通して情景を見て、声を通じて世界を感じたいの。
(当方ハイヲタですので、演奏するラルクの間違いだろ!というご指摘には伏してお詫び申し上げます。眼球に自動はぃど追跡装置が装備されているため、どうしてもはぃどしか目に入らないんです…)
初日はメインスクリーンが炎だけのタイミングがかなり長くあったけど、2日目は炎の奥にメンバーが映る仕様になっていた。
あんな仕様で,炎に包まれたはぃどちゃんに
「叫ぶ 神の名を」
なんて歌われたら、火炙りになる殉教者に見えてもうダメ。演出が天才すぎた。
歌はもう全編が圧倒的すぎて、何も言えない。
この、ものの数分で、2時間40分の壮大な歴史映画みたいな物語を顕現するの何。まほう?
「強く抱いても 重なり合えぬ 色彩」はあれほどに切なく、「息をひそめ誓う 甘い恋の果ては」までは運命に翻弄される側の切実さをにじませているのに、急に「予期せぬ時の悪戯」で残酷な運命の語り部側になるのとか。その後のサビの壮大さとか。
もう劇的すぎる。
これが絵画とか彫刻だったらいいのに。
このあまりにも強くて美しい感動を,いつでも取り出して味わえたらいいのに。ライブとは,なんと儚い芸術表現なのか。
あと制御されるライトの演出も、禁愛は見事だったな。
最初のドラムが時を刻んでるときにはかがり火のような赤〜オレンジ、それが「あぁ、凍える暗い海へ」で海の青に変わってた。
9.接吻
禁愛で、情緒はボロッボロになった。
fateからずっと滝のような涙が止まらず、花葬で溺死し、EVERLASTINGで「うぅ…もうムリ…」てなったところに、無情にも禁愛が始まり、禁愛終わった段階で情緒は灼き切れ、おれは屍だった。
そこへだ。
この涙が止まらず,ボロボロのぐっしゃぐしゃの情緒のなかで,接吻のエロかっこいいギターが始まり、はぃどちゃんが歌い出す。
おもむろに首元からボタンをぶちぶち外していく。
屍、一瞬で蘇生した。
涙も一瞬で止まった。
すごい。
おれたちの情緒、制御されすぎている。
客の涙までも自在に操るの? 悪戯な支配者???
禁愛で信仰心に目覚め、炎で浄化されて、清らかな修道女のような心を手に入れたと思ったのに,一瞬で邪な心を取り戻してしまった…
その後、けんちゃん花道タイムではメインステージ下手の花道に寝ころんでいたはぃどちゃん。
立ち上がったら、コートが全面ご開帳ではないですか!
悲鳴あげて倒れた。
なに! なんのご褒美!?
倒れながら、絶叫してる某ースさんとか、某ゆさんの顔が走馬灯のように浮かんだ。
みんな! 開けましておめでとう!! 乾杯!!
お陰様ですみません、歌の記憶がまっっったくございません。
素晴らしいコンディションを維持されていて……ああ,お正月にお餅を食べすぎることもなかったのですね……ありがたい……って感謝の祈りを捧げた。
(お色直し、tetsuyaさんソロ)
10.in the air
この曲はちょっと余生タイムで…
空の映像のやわらかな色彩を背景に映るはぃどちゃんをボーッと眺めてた。
好きな曲なんです。大好きな曲なんですけど。
もう情緒のジェットコースターの限界だったのよ。
(mc)
今日は明るい曲とは言わなかった。上げてきますよ、という感じのmc 。metropolisやるんでしょう、そらアガりますよ!
11.the fourth avenue cafe
余生兼metropolisに備えて、灼き切れた情緒の回復を図っていたので、あまり記憶にありません。
たぶんライブ始まって以来、初めて、光る棒を振ったね。
12.metropolis
違法だった。
隣の天才が、この曲始まった途端にスチャッと双眼鏡構えていて,さすがだと思った。
ところが、この天才と同じレベルの天才が、公式カメラマンにもおられたのだ…。
はぃどちゃんのあの違法な動きを、あの数百平米はあろうという巨大スクリーンのすべてに映し出しておられて、なんかもう…
なんかもう……どうしたらいいの。
ありがとうございました。
動きも違法なら、歌もとても良かった。
甘いの。
XXXのような最初から発情期みたいなやつではなく、どちらかというと軽やかさもある。
しかしだからこそ、「今にも溢れそうな」以下の粘っこさが際立つというか。
最高だった。
13.get out from the shell
なめらかな中低音と、エッジの効いたロックな歌い方の変幻自在ぶりヤバい。
めっちゃいい。
この曲でようやく、少し情緒が回復して、ふつうのロックのライブのノリを取り戻した。楽しかった。
去年の羽田を思い出した。ライブハウス行きたくなった。
14.HONEY
もうHONEYすら好き。
15.いばらの涙
rayの中で花葬と並んで最も好きな曲がここに!
ただ,Aメロの破壊力はヤバいのだが、サビでギター入ると1%くらいだけど歌の破壊力が落ちるかなぁと思った。
この曲が禁愛並みの破壊力で来たら、命を落とすところだったので、これで良かったです。
16.shout at the devil
これもライブハウスで聴きたいなぁって思った。
っていうか,今書いてて気づいたんですけれど,この時点で16曲もやっていたのだね? あまりにも大大大好きな曲しかなくて,あまりにも素晴らしくて,体感時間が一瞬だった。
(転換)
前日と違って、スクリーンに王冠の映像が流れた。
そこへ「ウェーブが見たいなぁ」という文字が現れる。
前日、ウェーブとかないのかなぁって思ったけど、そもそも会場全体が暗いままで、どうにもならなかったんだよね。
前方から後方へ、下手から上手方向へと、同時多発的に波がやってきてカオスだった。おもしろかった。
17.真実と幻想と
kenちゃんギタートラブルで最初音が出ず。
はぃどちゃん、最初少し気にしてたけれど、そのまま歌い続けた。
その後のmcによると 「止めようかと思ったけれど、そういうのも乗り越えてきたなと思って」続けたらしい。
最初そんなことがあったにも関わらず、その後の入り込み方が素晴らしすぎた。
初日のあと、天才な友達が、「この歌ははぃどちゃんのお誕生日の歌なのだ。決意表明の歌なのだ」と熱く語っていた。
個人的には、この曲に散りばめられたオリエンタルで幻想的な情景が,少し本人の一人称からは遠い気もしていたので、その時にはすぐにピンとは来なかった。
でも、2日目の歌を聴いて、表情を見ていて思った。
この海とこの丘を 渡る風に言葉をのせる
それは私の証
真実と幻想と この目に映るすべてを
血が枯れ果てるまで 歌おう
うん、これはお誕生日の歌であり、決意表明の歌だ。
血が枯れ果てるまで、歌おう、というはぃどちゃんの歌だ。
実際にそういう想いがこもっていたからなのか、どうなのかはわからない。
けど、そう信じられるくらいには真に迫った歌だったし,そうなんだと信じたい。
そうだったら,これ以上嬉しいことはないから。
18.ALONE EN LA VIDA
別途記事にしたけれど、この曲前のMCからもうダメだった。
この2日間で、一番どうしようもなく胸に響いた曲を一曲だけ選ぶなら、ALONE EN LA VIDAになる。
この曲名,スペイン語かと思ったけれど,全体がスペイン語なわけではないようだ。
ALONEはスペイン語にはなく英語。
EN LA VIDAは英訳するならin the lifeとなりそう。
すべてスペイン語ではなくて,ALONEという語彙を残した理由は何なんだろう。この語彙にしかない,特有のニュアンスを残したかったのだろうか。
物理的な1人のOneではなく,孤独という意味合いのLonlinessやSolitudeでもない。
検索すると,この曲名の和訳を「孤独な人生」としているものを複数見かけたけれども,英語表記するなら「Alone in the life」。
直訳するなら,「人生に,一人」。
旅路にある一人の旅人の姿,がイメージとしてしっくりくるように思う。
遠く遥かな旅 それも一陣の通り風
人生を「旅」に喩えること自体は,それほど珍しい表現ではない。
でも,ここに「それも一陣の通り風」と宇宙的な,巨視的な視点が入るところがはぃどだなぁと思う。
人一人の人生を,あとに何も残さない「通り風」と表現するところに,仏教的な無常観も感じる。
そういえば,「刹那」という語は,仏教用語で「人を含む世の中のすべてが、その短い時間のなかで生死や物事も含めて千変万化していることを表現する言葉」らしいですね。
はぃどちゃんの歌詞や話す言葉の精錬度って,ほんとうにすごいと思う。
もともと物事の本質を捉える抽象的思考に優れていて,思考の次元が深いんだと思う。
私,別記事でも書いた通り,それなりに名著を読むし,法律家という仕事柄もあって,まあまあ言葉にはうるさいと思うんだ。
けれど,はぃどちゃんの歌詞って,ギリシャローマ時代から読み継がれてきたような哲学書と比べても遜色ないし,ときどきいわゆる名著を読んでいても「わぁ,これあの歌の歌詞にあった」ってことが書かれていたりする。
……この話,具体的に書き出すとあと5000字は必要なのでやめますね。
歌の話に戻ろう。
その刹那、郷愁 胸を焦がす
もう行くこともない あの風景
ここではぃどちゃんも感情が決壊しかけたような表情をしていて、黑ミサのmemoriesを思い出したな。
しかし歌は一切、崩れずに歌い切る。
この命はまだ 旅の途中 …and so I go
すごく印象的だったのが、この「…and so I go」の歌い方。
さりげない、ともすればそっけないくらいの、でもとてもきれいな「and so I go」だった。
ほんとうに、足跡ひとつ残さずに、そっと去るみたいな。
一陣の通り風が、すっと吹いていくみたいな。
2日目、この曲のあいだ、ほんとうに胸が痛くて苦しかった。
ほんとこんな経験初めてなんですけど、人間の体ってすごいね? 情緒に正直すぎるね?
マジで左の肺~胸の上くらいから攣りそうな痛みあって、心筋梗塞でも起こすんじゃないかと思った…
生き延びれて良かったです。。
わたしが心筋梗塞になったら、心マよりも腹筋をください。たぶん蘇生します(遺言)
19.雪の足跡
ガーン! 叙情詩ジャナイ!!
って思ったけど、歌が良すぎた。
黑ミサTOKYOですか? 今日黑ミサTOKYOだった?
( #黑ミサTOKYOの円盤化を諦めない )
柔らかくて、暖かくて、わたしは雪が暖かいなんて詩的なことを感じられない感性の持ち主だけれど、この声を聴いている瞬間だけは、雪が暖かいことを信じられるような気がした。
この曲の持つ、聖なる讃歌のような雰囲気、ほんとうに好き。
20.YOU GOTTA RUN
実はMステで一回聴いただけで予習皆無だったんですけれど(だって心が忙しかったの! LAST SONGとかsocial virusとかトコシエで心いっぱいいっぱいだったの!)
かっこいい曲ですねこれ。
しかも,ライブが終わってはや数日,仕事してるときとかに脳内に流れて来る割合めっちゃ高い。さすがtetsuyaメロの脳内支配力。
21.Caress of vinus
懸命に,明るい曲で、ライフを回復しようとしていました。
22.RSG
かつて、これほどRSGに対して、うんRSGでいいよ、ってホッとしたことはない。
最近、LINKで涙出る身体になってしまったもので。
もう涙枯れ果ててたので。
23.あなた
涙枯れ果てたと思ってたのに,まだ涙出た。止まらなかった。
この歌詞を、観客がそれぞれの想いをのせてラルクに対して歌い、はぃどちゃんが一人一人の観客に対して「胸にいつの日にも輝くあなたがいるから」って歌うの、感動的すぎた。
客側がサビの合唱を繰り返している時のはぃどちゃん,初日は跪いて聴いていたけれど,2日目は花道先のサブステに寝転がって、イヤモニを外して聴いていた。
その横顔がスクリーンに映って、もうわたしは歌おうとしても声も出なかったけれど(というか、思い出しただけでまた涙止まらなくなるんですけどどうしたらいい)、今何を想っているのかなって思ってた。
その答えを、最後のステージを去る間際に教えてくれたけれど、わたしにはその言葉をこのタイミングで与えられたことが、神様からのギフトみたいな体験だった。
最後のあなたは、いつもは皆さんに向かって歌ってるんですけど、今日は贅沢にもみんなの…5万人以上の人に歌ってもらって、
自分は生きてて良いんだ、存在して喜んでもらえるんだなと、思えました。
でも、最後のサビは、僕も、みんなに…、あなたに、あなた達一人一人に向けて、生まれてきてくれてありがとう、という気持ちで歌いました。
今日は来てくれて、ありがとうございました。
感想・総括
hyde誕生祭というコンセプトにも関わらず,祝いに行った我々のほうが誕生を祝福され,抱えきれないくらいのギフトを与えられてしまった。
わずか3時間ほどの時間で,これほど心が美しさで満たされ,日常の心の埃が取り払われる体験を,他に知らない。
ライブはエンターテインメントでもあると思うけれど,UNDERGROUND以降のL'Arc-en-Ciel,むしろ総合芸術としての要素のほうが強いと思う。
そしてセトリが最高だった~。
はぃどちゃん,一昨年の黑ミサで「ラルクの本領はforbidden loverとかじゃないか」って言ってたけど,大賛成です。
暗くて,重くて,壮大な曲にわずかな光がある美しいセットリスト最高。もうずっとこの路線でいてほしい。
そして,はぃどちゃんの歌が強い……ほんとうに強い……
30年以上にわたって,というか,とくにここ数年,著しく右肩上がりに素晴らしくなる一方で,ほんとうに感謝しかない。
ふつう,これだけ長く続けてたら惰性になったりしませんか?
最近思うんだけれど,天才は1%の才能と99%の努力って,あれ嘘じゃないよ。
どれほど才能があっても,環境に恵まれていても,努力し続ける,継続することがどれほど難しいことか。
(※ なお当方,目も視野狭窄なら,耳も聴覚狭窄気味なので,kenちゃんの天才ギタリストぶりとか,tetsuyaさんのスーパーベーシストぶりとか,yukihiroさんのスーパーアキュレイトアンドロイドドラマーぶりについては,各々のオタクに論評をお任せします)
シングル3枚同時発売時代あたりのことをよく「全盛期」とかいうけど,個人的にはUNDERGROUND以降の今が全盛期だと強く主張したい。35周年楽しみ!
(35thコンセプトはUNDERGROUNDⅡを希望です)