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没頭した"長期人狼"の回顧録
「人狼ゲーム」と言えば、一度は耳にしたり実際にプレイしたことがある人も多いと思う。
2025年現在では少し下火のような気もするが、約10年前には人狼ゲームを扱ったテレビ番組が地上波放送されるなど、ごく一部の人向けのニッチなゲームというよりは、誰でもカジュアルに楽しめるパーティーゲームのような存在だ。
そんな人狼ゲームには種類が多々あるが、その中に"長期人狼"というジャンルが存在する。
この記事では私が長年没頭した"長期人狼"について過去ログを振り返りながら当時の記憶を回顧しつつ、思い出を語り尽くしたいと思う。
1.導入編
そもそも"長期人狼"とは何なのかについて。
ざっくり言えば、人狼世界での1日=現実世界の1日として進行され、オンライン(文字だけのやり取り)で1週間ほどかけて行われる人狼ゲームである。
参加人数や発言回数など、それぞれのゲーム(人狼世界では「村」と呼ぶ)でそれぞれの設定がありバリエーションは無数に存在するが、まずは長期人狼の祖国である「人狼BBS」をベースに話を進める。(現在は停止中、過去ログは閲覧可能)
人狼BBS(G国)では参加者の上限が16人と決まっており、各プレイヤーは1日あたり20回(上限200字)発言できる。
つまり1日に最大4,000字発言し、最大56,000字(4,000×自分とダミーを除く14人分)を読むことになる。
加えて役職が人狼になると仲間同士の会話もあるため、更に増える。
経過につれて生存者(及び文量)は減るものの、最後まで生き残ることになればその生活を1週間続ける必要があり、少なくとも1日2〜3時間はゲームに割く時間がないと十分には楽しみきれない(個人差あり)という、一般的な感覚で言えば中々にハードなゲームである。
(長期人狼のプレイヤーにはこれを悠々とこなす活字強者が数多く存在している。)
2.回顧編(前編) 1戦目〜14戦目
そんな“長期人狼“というゲームを始めて知ったのは、2013年だった。
そもそも人狼ゲームに色々なジャンルがあること自体を知らなかったが、たまたまサイトに辿り着き、軽い気持ちで過去村のログを読んだ。
読んでみるとそれがまるで1つの推理小説のように思えて、夢中になってログを読み漁ったことを覚えている。
そこからいくつか過去ログを読んでルールや用語をざっくり把握し、初めて参加者として入村したのが人狼BBSのG923村(2013年5月)だった。
1つの村はプレイヤーが10人以上集まらないと開始されないのだが、当時は毎日村が更新されるレベルでプレイヤー人口がおり、割とスムーズに入村できた記憶がある。
村の中身自体はあまり覚えていないが、特に何もできずに終わったのだと思う。活躍はできなかったが、ルールや慣習を守ってプレイという面では問題なくできそうだと安心できた。
その次に入ったG938村と、10戦目に入ったG1026村は、"長期人狼の魔力“に取り憑かれるターニングポイントになった。
非対面かつ知らない人同士が疑い合うという性質上、ギスギスした空気になることも多分にある。この2つの村はそんな空気もありつつ、終了後に再戦企画が何度も立ち上がる程には"参加者が充実した感情を持った村"だったように思う。
G938村は、村人として参加して人狼に殴り負けた。というよりは、疑いに反発してがむしゃらに戦った気になった(人狼のサンドバッグになった)村だった。
この先何度か再戦することになるkakuraisさんの人狼に遊んでもらった形だったが、村全体の熱い雰囲気や村にガッツリ参加できた感覚が楽しかったのだと思う。
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ゲルトはダミーキャラなので呑気な発言をしている
G1026村は占い師として参加し、盤面や組合せの妙もあって初めて自分が勝利に貢献した気持ちになれた村だった。
この村が初参加だったasteroidさんとの出会いを契機に人狼BBS以外の国で行われる企画村や再戦村に参加するなど更に熱中していくことになるが、この辺りからプレイヤー同士の交流という楽しさを感じ始めたように思う。
村の進行中は匿名(どのプレイヤーが参加しているかはわからない)かつ緊迫感のある空気で進行することがほとんどだが、村が終わりエピローグに入ると、役職やプレイヤー名など全ての情報が明らかになり、緊張の緩和も相まって一気に宴会のような空気に突入する。
当時はプレイヤーの数がそこそこいたとは言え、過去に同村したプレイヤーと再会することは珍しくなかった。使うキャラクターごとに全然印象が違うプレイヤーがいたり、この感じ見たことある!と思うプレイヤーがいたり、再戦を機に過去の村を振り返って懐かしい気持ちになったりする。
この不思議な空気感こそが、長期人狼の魅力の1つだと思っている。
なお、ポジティブな感覚から印象に残っている村をあげているが、何もできずに負けた村や、戦犯になった村もそれなりにあったように記憶している。
3.回顧録(中編) 15戦目〜29戦目
そんな長期人狼の酸いも甘いもの経験しながら気が付けば歴10戦を超えていたが、村側として推理を当てたり狼側として村を騙したりという勝敗に影響するような動きはよくわかっていないまま、何となくの雰囲気でプレイする日が続いていた。
そんな頃に大きく影響を受けたのがG1093村と、その再戦村に当たる瓜科国1313村だった。
特に瓜科国1313村は人狼として初めて勝利した村であり、人狼サイドのブレインとしてチームを率いたluxxさんから人狼の立ち回りや考え方について様々なことを学んだ思い入れのある村だ。
この村に入るまで人狼役職で参加した村は4戦全敗とかなり苦手にしていたが、この村を境に3連勝することになる。
そんな状況で迎えたのがG1201村だ。
この村は「人狼BBSまとめサイト」と呼ばれる過去村の記録をまとめているサイト(現在は封鎖)において多くのおすすめ票を獲得した村で、読み物として面白い内容になっていると思う。
(この機に検索したところ、長期人狼のおすすめログとしてluxxさんに紹介していただいていた。下記に掲載)
以下ネタバレを含んでしまうため、もし内容が気になる方がいれば先にログを読んでいただければと思う。
ログを読み返すと、この村に入っていた時の感情を今でも思い出せてしまう。
絶望的な序盤、武器を手にした中盤、勝ちを確信した最終盤面からの、衝撃的な結末。
当時結果が出た時には素が出てランダム神を恨んでしまったが、振り返ると面白い結果になって良かったなと思う。
この村の敗北から、2つのことに気が付いた。
1つ目は、人狼という役職が気質的に不向きであること。人狼ゲームには村人サイドと人狼サイドのそれぞれに醍醐味があり、私は人を誘導して騙し切る快感(人狼サイド)よりも、推理で答えを導き出す快感(村人サイド)の方を求めているのかも、と感じてしまった。
実際にこの村においても村人たちを誘導して破滅に導くぞというよりは、人狼(特にLWと呼ばれる最後に生き残る人狼)として勝利してみたいという気持ちで戦っていたように思う。
2つ目は、人狼として勝つために私が武器にできるのは何かということ。この村で生き残れたのは「ライン切り」と呼ばれる要素が大きかった。ライン切りとは、人狼同士で疑い合うことでどちらかが人狼と判明した時に有利に持ち込む手法であるが、それを勝ちに繋がる要素に持っていくコツを掴んだような気がした。
最終盤面で戦ったkupfernickelさん(この村が初参加)とはこの先も何度か同村することになるが、kupfernickelさんやasteroidさんなど、自分よりも歴が浅くても実力のあるプレイヤーの存在を実感し、どこかスキルの伸び悩みのようなものを感じていた覚えがある。
3.回顧録(後編) 30戦目〜44戦目
この頃から人狼BBSではなく、クローンと呼ばれる別の長期人狼サイトでプレイすることが増えてきた。
当時(2014年)は人狼ゲームが世間的に認知される機会が増えたことで所謂“荒らし“のようなプレイヤーが増えてしまっていたことと、他国はptルール(発言制限がptで管理されるため、1発言に詰め込む必要がない)が採用されていたり、キャラクターチップが豊富だったりしたことから、少しずつ軸足を移していくことになった。
G1201村での衝撃的な敗戦以降も健気に入村を続けており、1戦を挟んで6連勝した時期もあった。もちろん勝敗は個人のプレイで決まるものではなく、運よく勝ったり負けたりするものであるが、何となく自分のスタイルを確立し始めていたように思う。
そしてG1201村の敗戦を活かし、人狼として"勝利した"と1番実感を持てたのが、瓜科1443村だった。
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この村は人狼サイドのチームワークが優れており、それぞれが自分の役割を果たすことで村を騙し切って勝つという人狼の本懐を遂げたような村だった。
勝利の決め手になったのは、G1201村で培った"ライン切り"だった。人狼として共に潜伏していたパーシー(imoyuさん)と互いに疑い合うことで、一方が人狼なら一方が人間という論調を確立させることができた。
4人で迎えた最終日。
G1201村で負けてしまった最終日のような失敗を繰り返さず、逃げ切って辿り着いたエピローグでは本当にやり切った思いだったことを覚えている。
村人サイドもかなり強力だったが故に、その思いは一層だった。
この村がヤマとなり、その後は年間1,2戦程度の落ち着いたペースで入村することになった。少しずつ世間の人狼ブームも翳りを見せ始め、プレイヤー数増加の勢いも落ち着いていったように記憶している。
その後は推理で答えを導き出す楽しさを求め、2016〜2020年は月狼国を中心に細々と村人を中心に希望してプレイを続けていった。
5年間で7戦とコンスタントに入村することは叶わなかったものの、都度流行や文化を学び知識をアップデートして村に臨むのは、連戦していた頃とはまた違う楽しみ方だった。
直近を振り返ると、村人サイドで5連敗。
正直推理が上手くなったかと言えばなっていないのが現実で、結果にも結びついていないが、どこか以前よりも勝利に向かって広い視野で考えるようになってきたなと他人事のように思っている。
4.完結編
改めてこれまでの長期人狼の記録をまとめると、
入村回数は44回・勝利数は23回・勝率は52.2%という戦績だった。
(勝利を重視する所謂“ガチ村“のみを対象)
数字が示す通り、プレイヤーとしてはかなり平均的で凡庸な存在だったことがわかるが、そんな私でもMVP級の活躍をすることや戦犯になることもあるのが長期人狼の面白いところだと思う。
若干細かいところまで内訳を見ていくと、
村人サイドの勝率は56.3%・人狼サイドの勝率は41.7%
2013年の勝率は52.6%・2014年の勝率は62.5%・2015年以降の勝率は33.3%
と、少しブレるところもあるが、概ね五分五分で推移していた。
入村回数44回というのは歴100戦以上の強者もゴロゴロいる中では少ないように思えるが、1つの村が約1週間かかることを考慮すると、308日間村にいたことになる。
これに加えて見学者として参加した村や勝敗を重視しない村に参加したことも幾度かあることを踏まえると、ほぼ1年分参加していたことになり、とんでもない時間をこのゲームに注いでいることを実感した。
“注げた“という表現の方が正しいかもしれない。それほど人を虜にする奥深いゲームだと思う。
中には飽きたからやめたという人もいるかもしれないが、“一定の期間、毎日数時間を確保する“というハードルを超えることが難しくなり、少しずつ疎遠になってしまった人が多いのではないだろうか。
だからこそ短時間でカジュアルにできる種類の人狼ゲームにニーズがあるのだと思うが、これだけ時間をかけて行うからこそ生じる"独特の雰囲気・面白さ"がそこにあると思っている。
自分が参加した村の回顧を中心に記述してしまったため、肩透かし感を食らってしまった方もいるかもしれない。
そんな方もそうでない方も、長期人狼を愛するプレイヤーもそうでない方も、ここまでお読みいただきありがとうございました。
ここには書ききれていないお世話になったプレイヤーの方々や運営側の皆さま、全ての関係者に感謝を込めて。
※何名かプレイヤーさんの名前を出させていただいてますが、もし不都合あればお知らせください。削除します。