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Twitterスペーストークライブ「AIアートは芸術と認められるか?」ゲストオーサー:西条美咲さん②

AIが作り出した『真珠の耳飾りの少女』をモチーフにした作品が美術館に展示され議論に

画像:@tobeamuse

(伊藤)そんな美術に詳しい西条さんは「AIアートは芸術と認められるか?」というイシューの設定をしていただきました。そこで、そのイシューを設定しようと思った背景や目的、バックグラウンドについてお聞きしたいと思います。

(西条)私は昔から海外一人旅に行くのがすごく好きなんです。今度はフランドル地方に行って、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクあたりを巡って、そのあたりの画家の作品をたくさん見たいなぁと思っていたところ、コロナ禍になってしまって。
 
実は今年、オランダのアムステルダム美術館で過去最大のフェルメール展が、ちょうど6月4日まで開催されています。フェルメールの作品って現存するものが35点ぐらいあるのですが、そのうち28点集まるということで、すごいなぁと思って記事をたくさん読んでいたんです。すると、『真珠の耳飾りの少女』に関する情報を目にしました。

『真珠の耳飾りの少女』は元々マウリッツハイス美術館にあるのですが、今回の企画展のためにオランダのアムステルダム美術館が借りたんですね。
 
そこで、マウリッツハイス美術館では、その『真珠の耳飾りの少女』がもともと常設で展示してあったスペースに『真珠の耳飾りの少女』をテーマにした作品を世界から公募する企画をしたそうなんです。

すごくたくさんの作品が寄せられたんですが、蓋を開けてみると、AIが作った作品が入選して美術館に飾られることになったんです。そのことに対して、芸術家の方たちから「それはちょっと違うんじゃないか」という抗議が起こったということでニュースになっていて、私もとても興味を持ちました。
 
(伊藤)そうですよね。そのAI作品の『真珠の耳飾りの少女』は、Surfvoteのイシューの中にも写真が載っています。世界的にも規模の大きい美術館でAIアートが採用されているということは、これからこういった流れが出てくる可能性があるんでしょうか。
 
(西条)そうですね。過去にアメリカでも、美術コンテストでAIの作品が入賞、選ばれたということで問題にもなったんです。けれども、そのときは審査員の方々がAI作品だということを知らずに選んだということで、審査結果に変わりがないとなったんですけども。
 
今回はイベント的なもので選んだという風に美術館の方はおっしゃっています。芸術かどうかという問題よりも【見た目的におもしろいか】【『真珠の耳飾りの少女』をモチーフにどれだけ関わりをもって作品を作っているか】というところに焦点を当てて楽しめる企画ということで決めたということなんです。
 
ところが、とても大きな問題になった。やっぱり芸術家の方たちはすごい時間と自分の考えを持って一つの作品を制作されて応募されているんですね。その中で、パッとAI作品というのが出てくると、やっぱり芸術家としてやってこられた方たちにとってはちょっと受け入れられない方もいらっしゃるのかなという風に感じました。



AIアートの著作権は誰にあるのか

(伊藤)AIは他の人の作品からも学習して作品を作っているので、実際にそれの元になっているものって誰が描いたものなのか特定することが難しいと思うので。やっぱり著作権周りだったり、ソフトを開発した人とか、そこに携わっている人とかっていう、権利にまつわる問題もあるので、すごく難しいテーマですよね。
 
(西条)過去にSurfvoteさんの編集部のイシューで、AIアートの著作権の問題についても取り上げられているものも拝見したんですけども、そこで選ばれた回答はとても私も参考になりました。

(伊藤)「自分の作品をAIのアルゴリズムに提供するかどうかの選択権をアーティストに与えるべき」の回答が50.8%で一番多かったご意見ですね。

(西条)まだそういった法律とかがないがために、今はその作品がどこから参考にされたか、また、どういう作品が混じっているのかがわからないので、著作権の問題が出てくるのかなと思うんですけども、はじめからアーティスト自身が選べるという選択肢があれば、そこは解決するのかなと私もこれを見ていて思いました。

「別枠としてAIアートという分野で区別するべき」の回答が一番に

(伊藤)この「AIアートが芸術と認められるか?」という西条さんに立てていただいたイシューは、現時点(2023年5月28日)で結果が「従来のアート作品とは別枠として、AIアートという分野で区別するべきである」が35.4%で一番多い結果になっています。

(西条)そうですね。はじめに投票が始まったときは、けっこう「認められる」というご意見が多くて、私自身が予想していたのと違ったのでとてもびっくりしたんです。でも、やはり制作に携わっているアーティストさんと、普段そこまで美術鑑賞とかをする機会がない方のご意見は全然違うのかなぁと思いました。

(伊藤)そうですよね。Surfvoteだといろんな分野について興味のあるユーザーさんがいらっしゃいますので、本当に幅広い視点で意見を頂くことができるというのはすごくいいところかなぁというふうに私も思っています。

(西条)そうですね。私もやっぱり自分が制作したりとかとても美術に関心を持っているので、意見が偏っているという部分も自分の中にあるのかなぁと思っていて。なので、みなさんの意見を見て、あぁこういう考え方もあるんだってとても楽しかったです。

(伊藤)ありがとうございます。そうですね、「AIが芸術として認められる」というのが27.7%で2番目に多い意見になっています。この投票は5月31日23時59分まで投票を募集しておりますので、まだまだ意見が逆転したりする可能性もあるかもしれないんですけども、みなさんの自由な意見をお伺いしたいと思います。

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(前後のインタビューは下記リンクからご覧ください)


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