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CMC(臨界ミセル濃度)測定

1.はじめに

表面張力は、ぬれ、浸透、起泡、乳化、さまざまな現象に深く関係する物性です。
これらの現象を制御するために、多種の界面活性剤から適切なものを選定し表面張力を調整します。
適切な使用量を把握するために、濃度依存性、とりわけ臨界ミセル濃度(CMC)を知ることが重要です。

2.臨界ミセル濃度(CMC)とは

界面活性剤溶液は濃度によってその性質が変化します(図1)。
界面活性剤それぞれで、多くの性質が飽和するする濃度があり、それを臨界ミセル濃度(CMC)と言います。

図1.界面活性剤溶液の性質と濃度依存性

表面張力もまた濃度によって変化しCMCで飽和するため、界面活性剤溶液の濃度依存測定を行うことで、CMCを把握することができます。

表面張力は、界面活性剤が液体の表面に吸着することにで低下します。
この吸着密度が高いほど表面張力はより低くなりますが、吸着が完全に密になったときの濃度がCMCであり、表面張力はそれ以上低下しなくなります(図2)。

図2.界面活性剤の吸着密度と表面張力

なお、表面に吸着できない界面活性剤は液体内部で集合体を作り、これをミセルと呼びます。ミセルは界面活性剤の種類、濃度、温度によって、さまざまな形を形成します。

3.CMC測定

ここで、「毛管上昇方式表面張力計, DG-1」による測定例を示します。

図3.ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)水溶液のCMC測定
横軸:CMC濃度(0.008mol/L)を×1とした倍数
SDS:288.38 g/mol

4.おわりに

界面活性剤は非常に多種多様に存在します。
界面活性剤の選定にともない、適切な使用濃度の決定のために表面張力の濃度依存測定を行うことが重要です。
さらに、表面張力は、その活性剤溶液の性質、機能性にも関係する重要な物性になります。

本稿で使用した「毛管上昇方式表面張力計, DG-1」は、ごく少量の液量で、高い再現性、繰り返し性の測定を提供します。

毛管上昇方式表面張力計, DG-1:

また、本稿で紹介した測定は、「デュヌイ法張力計, DRT-2」、「滴溶法ハンドヘルド型表面張力計, ADC-2」でも対応可能です。
装置それぞれの特徴と、用途に合わせてご検討ください。

デュヌイ法張力計, DRGT-2:

滴溶法ハンドヘルド型表面張力計, ADC-2:

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