liminal;marginal;eternalへの批判から見た作品に触れる際の姿勢に関して
liminal;marginal;eternal (以下lmeと呼称する)に関するお気持ちがめちゃくちゃ流れてきます。個人的には他の人がどう感じるかは人それぞれだし、文句言ってる分には「そうなんだ」としか思わないんですが、そのあとに無料にしたほうがいい、金を返せ、これを賞賛している人間は○○(悪口)などという言葉が続いてる人間は「ちょっとどうかしているなぁ」と思います。
lmeを観ていない外野や、単純なアンチの戯言は"一旦"無視するとして、lmeを観た人の中からこういった声が少なからず上がっているのも事実です。
これはlmeに限ったことではないのですが、そもそも作品を嗜むという行為そのものへの姿勢に必要なものが欠けている人が多いのかなと思ったので、今回記事を書いて言語化を図ろうと思いました。長い記事になると思いますが、暇で何も有用な知識を得られないことに耐性がある方はよろしければお付き合いください。無料なので。
1. lmeに臨む際の個人的な姿勢および前提
正式名称は283 Production LIVE Performance [liminal;marginal;eternal]。
このタイトルが発表された瞬間に、コミュの地続きである可能性が非常に高いとは感じていました。
その時の理由としては公演名の頭がいつもと違う283Pro名義ということしかありませんでしたが、のちのコミュ(12月実装の冬が灯る先、SHHisのSTEP)実装(タイミング含む)やCDのシークレットトラック、アイマスExpo、事前配信などで9割がたそうだろうなと思っていました。
ちなみに発表されてからライブの日まで、周りには「これ地続きですよ!コミュ!」と言ってたのですが信じてくれた人は殆ど居ませんでした。
あとは「開催発表時にこの演出しておいてこれで何も起こらず4公演ただ同じものを流されたら困る(信頼してるため)」みたいなツイートをしたらDMで「演出を馬鹿にするな」みたいな罵詈雑言が飛んできました。怖すぎる。
当時はこの開催発表の演出の評価はライブがどういうものかによるとしてましたが、今となってはよかったと評価しています。
現地申し込むか~…担当だけが観ればいいってものでもなさそうだし(コミュなため)と思って会場とキャパ見て絶望した記憶があります。
結局会場とキャパが理由で現地を諦めたため、自分はすべて配信で観ました。たらればになりますが、良い席で観れるなら現地に居たかったです。自分は幸いあの会場で変な席を引いたことがないですが、席によっては半分くらい見えないことも知ってるので…。
事前準備として自分が行ったことはイベコミュ(越境含む)と上記ユニットに所属するアイドルの公開されているWING〜STEP、実装されているカードで持っているもの全部、ジムシャニをとりあえず読んだり読み直したりしました。地続きの可能性がある時点でSHHisおよびコメティックのコミュをなるべく観ないと演出の意図が分からなくなる可能性があると判断したからです。
2. 実際lmeにはどう臨めば良かった?
これに答えを作るのは少々ナンセンスな気もしますが、個人的なお勧めとしては
・演出から求められているロールプレイをする
・複数の視点を持つ
この2点になります。これはlmeだけに限らず、どのライブにも応用できるんじゃないかなと考えています。
・演出から求められているロールプレイをする
演者と客という関係性を基準とします。大まかな言い方は好きではないのですが、アニメやゲームが原作として存在していないライブ…バンドやアーティストのライブはこの基準に沿えば大丈夫なものが殆どだと思います。
では基準からずれて、演出からロールプレイを求められているライブとして何があるか…敢えてここではアイマス全般を挙げます。
僕が今アイマスの中で一番熱を注いでるのは確実にシャニマスだと思いますが、アイマスそのものへの入りは2011年のアニメ『THE IDOLM@STER』です。
アイマスというジャンルは極めて特殊で、様々なロールプレイを求めてくる作品だなというのを13年とちょっと触れていてより強く感じています。
一番多く求められるロールプレイは、やはりプロデューサーだと思います。基本的にアイマスに触れる際には、これでいいと思います。ただ、時々演出からプロデューサーとしてのロールプレイを求められていないときがあります。では、具体的にどういうときに違うと判断すればいいのでしょうか。
まあライブタイトルとかも参考にはなるのですが、最もたしかなのは『アイドルがあなたを何と呼んだかに沿うこと』だと思います。
もしアイドルがあなたのことをファンと呼んだなら、ファンになりきる方が賢明です。実際答えを作るのはナンセンスとしましたが、ここを無視しているのに作品が伝えようとしていることを正しく受け取ろうとするのは少々傲慢だと思います。言い方を変えると、無視するのなら、作品を正しく受け取れない覚悟をしないと作品に対して不誠実だと思います。
lmeやRe:FLAMEを例として挙げるならば、アイドルたちは公演中に客席および配信を観ている人間に一度もプロデューサーと呼び掛けておらず、ファンやみんなと呼び掛けていると思います。であるならば、その呼びかけに応じて振舞うのが賢明だと思います。
・複数の視点を持つ
上の応用です。またlmeを例に挙げます。
ロールプレイをするとはいえ、普段自分はプロデューサーとして接しているからファンとして知りえない知識を得てしまっているのがノイズになるという方もいると思います。自分がそれに該当します。
これが万人の根本的な解決になるか分かりませんが、自分がやるのが複数の視点を持つことです。
ファンとしてロールプレイをしながら、プロデューサーの視点をステージの裏に配置し、神の視点で全てを俯瞰する…みたいなことを自分はしています。
これに関しては自然にできる人もいれば、練習しないとできないと思うのですが、出来ると便利だと思うのでたくさんの作品に触れて練習してみることをお勧めします。
3.作品に触れること
ここまで読んで「そんなたくさんの知識と高度な技術を求められなければならないの?こっちは金を払ってるのに?」とか「受け取るための技術が無ければ作品を正しく受け取れないのはこちらの責任なの?」と思うかもしれませんが、解答としては「はい」が正しいと思いますし、実際そこに関しての裁量はこちらが決めることではなく、作品を作る側が決めることだと思います。
商業的な視点で見てそれが正しいかどうかも、客であるこちらが決めることではないと思いますが、商業だから一生新規や準備・技術が不足している人間に配慮した作品を作り続けなくちゃならないというルールはないと思います。
今回のライブを称賛している人間がゼロならまだ上記の言い分に対して議論の余地があると思いますが、少なくとも現地に赴いた人や、実際に配信を観た人からは決して少なくない賞賛が上がってると思います。僕もその一人です。
どの作品、どの媒体でもそうですが「他人は好きだと言っているが自分は嫌いだ」というものに対しては「自分には合わなかった」というある種の諦めをし、そっと去るのが正しいと思います。法に背いているわけじゃないのなら、返金対応や無料にしろという声を上げる、楽しんでいる人間に向かってつまらなかったと叫ぶ行為は恥ずべきものだと思った方がいいです。
作品を摂取するにあたってどこかへ向かうという行動をし、全体にかかるコストを支払うも、得るものが不明瞭な作品というものが、この世界には一定数あります。ライブや映画、漫画や小説もそれに該当する気がします。
対価を払って作品に触れるという経験が浅い自覚がある人へのアドバイスなのですが、もし自分に合わなかったとき感情をどう制御するか。これは覚えておいて損はないと思います。
万人に受ける作品は絶対に存在しません。どれだけ高い金を支払おうが、どれだけ苦労してその場所に赴こうが、どれだけの人がレビューで賞賛していようが、あなたがそれを嫌いだと思う可能性は必ずあります。
作品に触れることは生きる上で必要なことではありませんし、中にはその可能性を理解したうえで「そのリスクを背負うくらいなら作品に触れる行為自体全部やめようかな」と思う人も一定数居ると思います。実際見てきました。リスク回避の方法の一つとして、正しいと思います。
それほど作品に触れるという行為はそもそものハードルが高く、経験を積むにはあまりにも高いコストを支払わなければならないものだと思います。
4.以上を踏まえたうえでの個人的な反論・返信
ここからはあまり読む必要がないかもしれませんが、個人的にそれはどうなんだろうと思った意見に対して、一問一答形式での回答を連ねようと思います。
・不幸な思いをする人間がいる作品は存在として正しいの?
→正しいと思います。どんな作品にも一定数不幸な思いを抱える人間は存在します。
・4公演が続きものっていうのは如何なものか。そんな金と暇が全員にあるわけじゃない。
→lmeだけじゃなく、他にもそういった作品はあります。続きものだと思っていた人も少なくなかったですし、配信だってあるから全部観るのは不可能じゃないです。金と暇は頑張ってください。頑張って今回用意した人間が、今回は報われるべきだと思います。
・ストーリーなら何をやってもいいのか?
→いいと思います。別に珍しくもない展開だし、起きたことだけ見るならアイマス内だけでもいくらでもあります。
・美琴はそんなアイドルじゃない。そんな風に育ててきた覚えはない。
→プロデューサーというロールプレイを主にしたままな気がしますし、実際に僕たちはそこまで干渉できる存在でもありません。コミュ部分で見るとせいぜい3つの選択肢を時々選ぶ程度です。ロールプレイであることを忘れないでください。
仮にファンになって尚すべてを知った気なのならば、それはそれでいいと思います。怖いファンもいるものです。
あとこれは自戒なのですが、他の人の意見を見る感じだとこのあたりの理解にはP-SSR【SUGERLESS】が重要そうです。僕は読んでいません。後日セレチケなどで引き、読んで考察を進めようと思っています。
・読んでいたが演出の意図に気づけなかった
→こればかりはどうしようもないです。精進しましょう。僕も悔しい思いをすることはあります。その経験の積み重ねがきっと将来作品を摂取するうえで役に立ちます。絶対無駄じゃないです。
・逆に改善点はなかったのか?
→ゼロではないと思います。一つ挙げるならば、公演が終わった後にイベントの振り返りツイートをするくらいなら事前にしようよとは思いました。
・人為的なドラマに意味はあるのか?
→小説・映画・漫画などの作品すべてに言えます。答えは分かりませんが、それで感動する人はいます。
ライブでそれをやった意味…というのであれば、神の視点に寄り過ぎている気がします。ファンからしたらあれは偶発的なもののはずです。
xRライブだからという点で、765のMRライブと比較している方も居ましたが、あのライブの時アイドルはプロデューサーとこちらに呼び掛けていましたよね。(MRライブ懐かしいですよね、僕も行きました)
そこが大きな違いです。自分の立場を今一度把握して、それが人為的なものか偶発的なものか…見誤らないようにしていきたいところです。
・アイマスでやる必要があったか。アイマスはPとアイドルの物語であって、ファン視点のライブが本当に必要なのか。
→議論の余地があると思いますが、それはlme以外のいくつかの公演にも言えることです。最近だとRe:FLAMEもファン視点のライブとして扱っていいと思います。実際どうなんでしょうか…自分は現状どれも楽しめているのですが、もう少し様子を見て考察したいと思います。
シナリオでということならば、他にもファンが絡むものはいくらでもあるのでいいと思います。
・自分はアイマスの話全般が嫌いだが、金を払うのでライブで満足させてほしい。というかその義務がある。
→アイマス向いてないと思いますし、そんな義務はないです。
・新規に優しくない時点でよくない
→客側が決めることではないと思います。
・Pカップ上位なんだが~(以下あれこれ)
→Pカップ上位もグレフェス上位も凄いことだとは思いますが、今回に限ってはシナリオを読むことがライブへの理解に繋がったと思います。シナリオは読んだのでしょうか。記述がなかったため、分かりません。
自分もPカップやシャニソンの周年イベントは100位以内に入るようにしてますが、100位以内であればもらえる手紙や電話などは同じですから順位の差異は関係ないですし、あれらがライブの理解に繋がったことは今のところ特にないです。
・シナリオ履修のハードルが高い
→仰ることは分かるのですが、本当に必須なものを選んでいったらlmeの理解に必要なものはそう多くないと思います。12月実装の冬が灯る先を読んでいるかどうかだけでも大きく違うんじゃないでしょうか…。
・複数の視点を自分に都合よく切り替えて楽しめるのがアイマスだと思う
その上で、lmeのあの演出はファン視点でもプロデューサー視点でも神の視点でも面白いと思えない
→残念ながら向いてないのだと思います。終わり。…でもよかったんですが、理由の予測を挙げるとすれば視点の情報が混同されている可能性があります。
アイマスに置いてアイドルが不調になるシーンはいくつか存在しますが、その時の感覚を思い出した方が分かりやすい気がします。ファン目線、プロデューサー目線、神の視点でそれぞれ物語があったと思います。
演者が実際に立つライブにおける体調不良からの途中退場と比べる方がいますが、根本的に種類が違います。lmeを引き合いに出すなら、すべてのアイマスのアイドルが不調になりステージに立てなくなったシーンも引き合いに出すべきです。それらのどれもが特に好きじゃない場合は本当に向いていないだけだと思うので静かに立ち去りましょう。
・美琴Pの気持ち考えろ!みたいな意見・批判にはどういった見解を抱いていますか?
→感情的になる気持ちも分からなくはないのですが、一旦落ち着いてほしいです。どの点が不満かにもよるのですが、多く挙げられているのは担当が故意に体調不良にさせられた、出番が少なかったなどでしょうか…。
前者はやはりロールプレイの話というか、ファン目線で見るなら美琴が不調で倒れるという展開自体は偶然の産物ですし、神の視点で見て怒っているのなら他のアイドルが体調不良とかで倒れたシナリオにも怒るべきだと思います。もしそれらにも怒っているなら単純に向いていないと思うので静かに立ち去った方がいいと思います。
後者に関しては、ライブ目線かシナリオ目線かにもよりますが、どちらにせよある程度発生するものだと割り切った方がいいです。シャニのライブはまだ上手くやっている方だと思います。理由もなく1曲しか歌わない演者が居る他コンテンツもあります。シナリオ目線で言うならば出番多かった方だと思います。(そもそもライブ目線で見たときに抱く不満はファン目線からしか生まれないものが妥当だとは思いますが)
・一つの話の中で「アイドルが体調を崩す“前後の”“舞台裏の”様子」を描いてきたのがこれまでのアイマスなわけで、舞台上の空間と時間しか描けないlmeの形式でやる体調不良展開とはまるで違う
lmeのやり方は様々な視点で見ようにも目に映るのは「アイドルが1人減ったステージ」であって「アイドルが体調を崩すまでの時間と崩した後の時間」も「体調を崩しステージに立てなくなったアイドル」も見ることはできない
これまでのアイマスの体調不良展開とはそこが決定的に違う
→これは殆ど仰る通りだとも思いますが、見方の問題のような気もします。前後の前はゲームとlmeで、後もこれからゲームで描かれると思います。
lmeを『ライブの形を模したコミュ』という見方で見ているならわりかし地続き…例えるなら漫画の巻数やアニメの話数として捉えることができ、一つの話の中と認識できると思っていますが、それは結局後が描かれる前提の話です。今後のシナリオ…とりわけ美琴のpSSRあたりで触れてほしいとは思います。仮にゲーム内において今後lmeの展開に触れることがないなら、僕はlmeに対してかなり否定的になります。
…本当にそもそも論ですが、僕自身は完結が描かれた状態でリリースされないソーシャルゲームや漫画などのコンテンツ自体一つの話として扱っていいのか長年疑問に思っており、結論を出せる気もしないため話に存在する"ある程度の区切り"毎に妥協するというスタンスを現状取っています。そういう意味で見ても、やはりlmeを経て美琴がどう成長するかを美琴のpSSR、もしくはSHHisのコミュなのかは話の内容にもよりますが、次に…他の話を挟まず描いてほしいと思います。
以上です。他になんかあったら追記したいと思います。
※追記
コメントをいくつかいただいております。ありがとうございます。気付き次第返信をここに記載して、コメントにはいいねをしていく形にします。
5.lmeの演出・シナリオ部分以外の感想
演出やお話の感想はありとあらゆるカード、曲の考察を踏まえたうえでここが…と細かく語らなくちゃならないので気が向いたらとさせてください。長い文章を書くのは普通に疲れます。
じゃあ短い文で個人的に語れる範囲と言えば、おそらく映像演出、モデリングの動きなど絵作りの面…でしょうか。
実は僕はlmeの前に知り合いとそもそもxRライブってなんぞやという話をしていた際に、こういうことを言ってました。
「こういった形式のライブで今一番クオリティが高いものを出しているのは、個人的にはKAMITSUBAKI STUDIOのライブの演出を担当しているところだと思うんですよね~好みもあると思うんですが」(早口)(Youtubeで公開されているV.W.Pのライブ映像を見せながら)
lme途中の僕「なんかリリックデザインや映像演出に若干の既視感あるな…」
lmeが終わった後の僕「制作担当同じやんけ!!!!!!!!」
めちゃくちゃ興奮しました。そんなことある?????
マーーーーーージでありがとうございます。自分が信用してるクリエイター陣で、マジでニチャつきが止まらなかったです。アンケに今後も依頼してほしいと書こうと思います。
ありがとうございました。