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ダイヤ運転と東急新横浜線
おはようございます。
昨年となる2023年の10月、東急電車まつりにて東急新横浜線を中心としたダイヤ運転の出展を行いました。
出展準備において運行ダイヤ作成を担当する運びとなりましたため、本記事ではダイヤの策定過程を記録として残すことといたします。
はじめに〜路線設計と駅の選定〜
2023年3月の東急新横浜線開業、及び同年8月のQシート営業開始をうけ、再現範囲は東横線/目黒線/東急新横浜線及び一部直通各社線に決定。
ここからダイヤ運転に向けて、限られたスペースに路線の魅力を詰め込むため、駅の絞り込みを行います。
駅選定では会員所有のモジュールの他、路線を象徴する場所や運行上の拠点となる駅(退避駅/車両基地等)など、様々な条件から採用駅を決定します。
有志会員による実踏調査も実施され、展示の核となる新横浜駅は特に重点的に調査が行われました。
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ブース配置や所有するモジュールなどとの兼ね合いも考慮し、最終的に以下のように駅が選定されました。
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この他、ブース配置も決定されて駅間所要時間が確定。ダイヤの作成に必要な要素がおおむね揃いました。
ダイヤ策定
パターンダイヤの作成
ダイヤ策定を始めるにあたり、まずはパターンダイヤの作成を行いました。
これにより、日中時間帯ダイヤの方向性を確定させるとともに、車両運用数や所要時間の概要を確認します。
実際の東横線/目黒線では、日中30分ごとに同じ種別/系統の列車が設定されています。
60倍速のダイヤ運転上では4時間(=4分)サイクルとして、最終的に以下のようなダイヤが完成しました。
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東横線と目黒線の両線から直通のある、東急新横浜線内を基準にパターンを設定。
運行本数のバランスを考慮してみなとみらい線方面の急行を削減し、結果として種別ごとに行先の分かれた設計になりました。
東横線は自由が丘駅で緩急接続を実施。
ただし新横浜線直通列車の周辺では組み合わせが崩れるため、実物の30分サイクルで、下りは3回、上りは4回行われています。
こちらも落とし込み、下り急行のみ接続無しとしました。
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目黒線側では、三田線系統が相鉄線へ直通し南北線系統が新横浜で折り返す組み合わせが基本となっています。
当時の直通列車は日中全て急行のため、目黒線内は急行メインでの運行となりました。
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案ダイヤの作成
上記のパターンダイヤをもとに、一日通しの案ダイヤを作成します。
今回ははじめに、始発・最終列車及び時間の決まっている列車(今回はQシート)を固定。
その後、パターンダイヤを組み込みつつ各種制約への対応を行い、以下のダイヤが完成しました。
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<参考>種別について
オレンジ:特急
緑:通勤特急
赤/青/紫:急行(順に東横、目黒相鉄、目黒新横浜)※本番までに紫は青に統合
黒:各駅停車
水色:回送/試運転等
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いくつかキーポイントとなる要素があるので、順にご紹介します。
Qシートについて
Qシートの営業を行う列車は、渋谷1935発の193号から2135発の213号まで5本が運転されており、いずれも以下のような流れで運用されます。
(前略)
↓
下り元町・中華街行き急行
↓
座席転換 ロング⇒クロス@中華街
↓
上り渋谷行き急行
↓
Qシート運用(1〜2便)
↓
座席転換 クロス⇒ロング@中華街
↓
(中略)
↓
上り武蔵小杉行き急行
↓
元住吉検車区入庫
以下では渋谷1930発を基準にダイヤグラムに反映させてみました。
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上記の流れを全て実行する場合、模型時間でおよそ10時間かかってしまい、実演終了の25時にも収まりません。
翌日朝の運用とも相談し、最終的に武蔵小杉⇒渋谷⇒(Q)⇒元町・中華街のみを抜粋する形としました。
ダイヤ運転には労働基準法が適用されないため、基本的に20時間勤務でシフトが組まれています。
この運用は夕方出庫となるため勤務時間も短くなりますが、運転士の待機時間を減らすため朝ラッシュ帯の各駅停車を増発、昼入庫運用を設定しました。
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車両運行範囲について
7社局の直通運転による複雑なネットワークが見所の新横浜線界隈ですが、その広大さがダイヤ運転では制約の一つとして現れます。
各会社ごとの車両の直通範囲(定期列車)はかなり複雑なため、簡単に図に表してみました。
![](https://assets.st-note.com/img/1704897682609-cEhm69C80k.png?width=1200)
このため、例えば 元町・中華街→和光市方面→相鉄方面 のような運用を組んでしまうと、東急車以外は充当できない行路となってしまいます。
他社車両の使用機会を確保するため、系統ごとに分離して設定を行いました。
また、ダイヤ運転中に様々な車両をご覧いただけるよう、全社最低1往復を条件に運用が組まれています。
和光市/白金高輪での車両交換、始発終電時間帯のみの運用など、限られた時間を最大限利用して様々な車両を運用しました。
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ダイヤ完成まで
秋時期のためダイヤ改正がなく目立った修正点も見られませんでしたが、もう少しやるべきことがあります。
・運行番号
案ダイヤでは会社を区別するための仮番号として設定していたため、実際のルールに従って再度数字を変更していきます。
東上線/三田線直通は奇数、西武線/南北線直通は偶数の運番が与えられるほか、東横車/副都心車は8両編成が小さな数になる規則を表現しました。
合わせて、設定上のものとして行先を設定。
全列車が和光市行/白金高輪行だと味気ないので、運行される時間帯に合わせて複数設定しました。
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・相鉄線内運用
イベントにに合わせて東急線に力を入れた今回の展示ですが、相鉄線内にも横浜、西谷、海老名の3駅が設定されています。
相鉄横浜駅を活用するため、線内完結の普通列車を設定しました。
直通列車の走行しない横浜⇄西谷間のローカルを中心に、早朝深夜帯は海老名まで乗り入れを行います。
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東急ダイヤ上に表記されるため、運行番号は960に設定。
東急60Kとの混同を防ぐため、900番台を相鉄車10両と解釈したオリジナルの運番です。
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・臨時列車
ダイヤにまだ少し余裕があったため、回ごとに不定期で走行する臨時列車の設定を行いました。
74Kは東急線内の検測を行う運用で、7500系「TOQ i」によって運行されます。
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夜間には新横浜線へ乗り入れての検測も実施しました。
その他、東横線内の試運転列車や奥沢⇄元住吉間の送り込み回送等が設定されています。
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ダイヤ概要
以上の作業をもって、本番で使用するダイヤが確定しました。
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・複々線区間
レイアウト上の武蔵小杉〜日吉間は複々線となっており、列車密度が最も高くなる区間です。
武蔵小杉駅では両線の全種別が停車し対面乗り換えが可能なため、同時発着を多数実施。
旅客利便性が確保されました。
嬉しいですね。
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朝ラッシュ帯には通勤特急と急行の並走も発生。
実演でも横並びで元住吉駅を通過していく様子をご覧いただきました。
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・朝ラッシュダイヤ
朝時間帯は通勤特急の運行の他、特に上り列車の速達性を重視したダイヤが組まれています。
東急新横浜線が開業した2023年からは、目黒線奥沢駅での追い越しが本格的に設定され、両線ともに日中+1回の追い越しが行われるようになりました。
ダイヤ運転でも祐天寺駅、奥沢駅での上り優等退避を設定して需要に応えています。
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・東横車の運用範囲
5050系10両編成は(Qシート関連運用を除いて)和光市〜相鉄線内の運用となっていますが、始発終電付近のみ相鉄横浜駅へ乗り入れを行わせました。
平日ダイヤではほぼ実施されない運用ですが、線路容量の都合で設定しています。
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留置場所は西谷駅に設定。
時間の都合上元々は横浜留置でしたが、相鉄線内運用の追加に伴い変更しました。
合わせて実際の運用にも則するようになっています(東急車はかしわ台と西谷に留置)。
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・出発式
開業初日には新横浜駅の一番列車で出発式が行われました。
記念ラッピング編成が充当されお祝いムードの中、240運行は所定東急車である(=車両変更)点にも注意を向ける必要があります。
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始発列車をすぐに白金高輪に入庫させるダイヤにすることで、240運行と634運行の初期配置を入れ替えたのち、240で入庫した21000系を634折返しのタイミングで回収できるようにしました。
車両変更を上り2本に抑えることで、管理を簡潔にしています。
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おわりに
半ば記録のような形となりましたが、自分なりのダイヤ作成についてまとめてみました。
2年目に差し掛かる新横浜線界隈が今後どのように運行されていくのか、楽しみにしつつ見守っていこうと思います。
最後に少々余談です。
限定公開の東急電車まつりにて開催された本イベントですが、再現範囲をやや相鉄側に寄せた形でお届けできる運びとなりました。
全体公開イベントとなりますので、「新横浜線 ダイヤ運転」等で続報をお待ちいただればと思います。
それではこのあたりで。