創作1ー④『タイトル未定』 2022.12.19
こんな日はすぐに眠るのにかぎる。
そう思って三上は飯も食わずに寝てしまおうと思った。
六畳の部屋に机とベッド。
散らばった本が他を埋めている。
部屋の明かりを消してベッドに横たわると、
かすかに外の光の、こぼれた切れ端が三上の顔に指す。
かつて高村光太郎が
「東京には空がない」
と詠ったのを低い天井を見ながら思い出す。
徐々に微睡んでいった。
ふと目を開けると、薄いレースカーテンの向こうから
まだ街灯の光が見えた。
今何時だろう、と三上はベッドで一緒に寝ている時計を見る。
午前四時。
あれだけ早く眠ってしまったのだから、こんな時間に起きても仕方がないとのそのそ起き上がった。
腹が減っている。
ああ、そうだ。夜は何も食べてないんだっけと思い一畳にみたないキッチンに立った。
冷えている。
冷蔵庫の上にある封のあいた食パンをそのまま口に運んだ。
どうやら昨日の雨は上がっているようだ。
無音の中、過ぎた雨と傘を持っていなかった自分の姿を想像した。
大きなくしゃみが一つ。
軽い頭痛を覚えた。どことなく体が熱っぽく感じる。
風邪をひいてしまったのかと、食パンを食べ終えるともう一度ベッドへと戻った。