心の内省日記5〜治療1〜
平日の朝。子供たちを保育園に送り、家に帰る。3月下旬だが朝晩はまだ肌寒い。ラフな格好でポケットに手を入れて身を縮めて歩く。薬物治療を開始して2週間ほど。体が軽くなったことを実感する。今まで体が重く鉛を背負ってるかのようだった。疲れがすごく溜まっていたことにもようやく気付く。誰もいない静かな家に戻る。布団に潜りこむ。通院の時間まで一眠りする。
抗うつ剤と睡眠導入剤で治療を開始、少量から徐々に増量する方針であることを主治医から言われた。薬を飲み始めた頃は体がものすごくだるく、起きているのが辛かった。何も考えずに寝るように言われ、そんなことができるかと思っていたが、ずっと布団の中でじっとしていたかった。
午前中は寝て、お昼に起きる。食欲もほとんどなくなり、お昼ごはんは朝ごはんの少しの残りもの。電子レンジで温め直そうとするが、床に落としてしまい食べるのを諦める。また布団に入り、横になる。何もできなくなっている自分が嫌になっていた。
いつもであれば仕事から帰ってくる時間。既に寝る準備を済ませ、寝る前の薬を飲む。眠くはなるが、抗うつ薬の副作用のためじっとしていられず、なかなか眠りにつけない。毎晩ストレスが溜まっていく。精神状態はより悪くなっていた。だが主治医による治療に頼るしかなかった。
「薬増量しましょう。それから少し頭を使うことはじめても良いですよ。」治療が順調に進んでいることを告げられた。少し前向きになれた。病院を出ると青空が目にはいる。日が出て暖かい。桜の木につぼみができている。家に帰る途中、本屋が目に入る。本でも読もうかな。家にも買って読んでなかった本がいくつかあったような。ゆっくり読みたい本を選ぼう。そう思いながら、本屋に入った。