振られた話#1 ひとり燃ゆ
昨日、短い恋が終わった
またひとりで勝手に盛り上がっていただけだったように思う
その人とは去年の冬に出会った
会ってすぐ意気投合、数日後には2人で食事へ
お店に入り向い合ってマスクを取る…それまではマスクをつけた顔しか知らなかったから、服を脱ぐような、そんな恥ずかしさを覚えた
彼が「この歳まで独身だからもう結婚はいいかな」って話を一番はじめにしてきた
なんだかものすごく言いづらそうにしているから、独身であることが恥ずかしいのだろうかと感じた私は、フォローするように「それは私も同じだ」って言った
きっと色んな邪推をされてきただろうし
ただ、私の同意には続きがあって、
そうはいってもそれはネガティブな自分の言葉であって、本当は空気のように一緒にいられて心が落ち着く人とパートナーになりたいって思おうと努力してるんだってこと
そこまで言うことができなかった弱い私
彼はマスクを取った私の顔を見て、付き合うのも願い下げだよって思ったのか
付き合うことはOKだけど君の努力次第だよ、だったのか
今となれば闇の中
彼との時間は本当にあっという間に過ぎた
ただ、楽しかった
声がすき、とっても穏やかに話す
知的で優しい人
そうそう、マスク取って初めて顔を見たとき、不思議な感覚があった
彼の顔の右側、口角あたりをぼんやり見てたら、あ、"この人は私と同じだ"って感じたんだよね
もう時も止まったように私の心の声だけが頭に響いてた
何が一緒なのかはその時分からなくて、でも心の奥の肝心なところが一緒なんだってなんとなく感じた
それからコロナ自粛もあり、連絡は途切れ途切れになった
つづく。