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ラボ見学(副作用の少ない抗がん剤)

「フキノトウから副作用の少ない抗がん・転移阻害剤の開発へ」を応援してみた

という記事を以前に書いた

クラウドファンディングで
上記のような、抗がん剤開発の研究費用を
募集していたので寄付してみた。

その特典として
研究室を見学できるというものがあり
参加することにした。

幸い自宅から
車で1時間ほどのところにある。

参加者の中には
北海道から来たという人もいて
ビックリした。 

ラボ見学

参加者は10名ほどであった。

最初に研究開発状況の説明が
スライドであり
次に施設見学。

ちょっとした実験など
させてもらったよ。

研究開発のウラ側

こういうのの
何が面白いって
報道などではわからない
ちょっとしたウラ側を
知ることができること。

いろいろ質問してみたので
それを要約してみよう。

Q1 なぜフキノトウ?

フキノトウには薬理作用があることは
知られていたが
抗がん作用については
調べられていなかったとのこと。

Q2 フキノトウに抗がん作用が見つかったのは運がよかったから?

自然界からの抗がん作用のある
植物を200種以上調べたそうだ。

だが、フキノトウから見つかったのは
もちろん、調べられていなかったこともあるが
運もある。

なぜなら、フキノトウの抗がん作用の成分
ペタシンは
フキノトウが生えている場所によって
ほとんど含まれていないこともあるから。

たまたま調べたフキノトウには
ペタシンが含まれていたということ。

もし含まれていないフキノトウを
調べていたら、未だに見つかっていなかったかも。

Q3 副作用が少なそうというのは?

もちろん動物実験の結果もあるが
作用機序がこれまでの
抗がん剤とは違うというのもある。

この作用機序が違う
とうところがミソで
幅広い種類のがんに
抗がん作用が認められる

また転移抑制効果も
高いとの結果である。

期待したい。

マウスの肺への転移モデル

Q4 最終的に人間に効果がある?

スパジはYou Tubeなどで
がん専門医が解説している
動画をよく見ている。

そこである臨床医が
このフキノトウの抗がん作用報道発表(1年前)見て

「こういうのは困るんだよね。
まだ人間に効くかどうかもわからないうちに
発表するから、みんなが期待する

でも、実際に薬として世に出るのは
1/1000とか1/10000の確率なんだよね。」

と。

意地悪く、このことも聞いてみた。
すると・・・

「その1/1000とか1/10000の確率というのは、
製薬会社が、素材を探すところからの
確率であって
今の段階ではそんな低い確率ではない」

とのこと。

もちろん、研究開発の当事者なので
相当な自信は持っているだろうが
期待はできそうだ。

Q5 この薬が世にでるまでの期間は?

もしうまくいったとていも
抗がん剤として世に出るには
10年とか、そのレベルの時間がかかる。

これは、単に研究開発に
それだけの時間がかかるということではなく
薬の承認制度もからみもあるとのこと。

特に日本は慎重らしい。
昔、薬害が問題になったこともあり
相当慎重にことを進めているようだ。

インドなどは承認まで早いとのこと。

ここで、日本の体制、考え方が
垣間見える。

もちろん安全性は大切であるが
そのおかげで、
長期間と膨大な費用がかかる。

国際競走にも負けることにもつながる。

スパジはテスラ車に乗っているが
これはもう相当実験的な車

自動運転など
ベータ版を実際の車で
車の所有者に試させている。

そのデータを集めて
さらに開発を進めているのだ。

実験を車の所有者にやらせているようなものだ。

日本では、そんなことできないだろうし
させないだろう。

アメリカ、中国は
攻めた開発をしていて
日本は守りの開発になってしまう。

国民性もあるだろうが
国の考え方もある。

残念ならが守りからは
独創的なものは生まれないし
遅いので負ける。

日本の凋落はこんなところにもあるのだろう
なんて、余分なことまで
考えてしまった。

Q6 どうしてクラファンをしようとした?

研究費用の捻出で
どうしてクラファンを利用しようとしたのだろうと
聞いてみた。

するとそこには物語があった。

このフキノトウからの抽出物が
副作用の少ない抗がん剤になるかも
という報道がされた時

ある人(患者)から
私に使ってもらえないか、と。

が、もちろんそんなことはできない。
まだまだ開発途上のものだし。

すると、その人は寄付をしたいという。

が、制度上
研究室、研究者に寄付はできず
大学に寄付をすることになる。

すると、この研究に
お金が回ってこない
(あるいは一部になる)

そんなことから
人づてにクラファンのことを聞いて
こちらで寄付を募ろうと思ったとのこと。

これなら
すべての寄付を
この研究費用として
使うことができる。

Q7 連携がうまくっているのは?

実は今回
抗がん剤の研究者とともに
化学合成の先生も参加していた。

というのは
フキノトウからの有効成分
ペタシンは
含有量が微量なのだ。

そして先にも書いたように
すべてのフキノトウに
含まれているわけではない。

フキノトウから
実験できる量を抽出するのは
至難の技なのだ。

ということから
ペタシンを化学合成
することを並行しておこなった。

ここには
薬学の化学合成の先生がいるので
その部分はそちらに任せた
ということ。

この連携がすごい。

これを別々にやろうとすると
なかなか進まない。

同じ校舎内にあるので
進みも早いのだ。

他にもここは、
市立岐阜薬科大学と
国立岐阜大学医学部が
廊下でつながっている。

連携しているのだ。

市立と国立が
廊下でつながっている?

それは面白い。

なんでも、
キャンパス移転の話が出た際に
この連携の話がもちあがったそうだ。

だから、医学部で
動物実験もできるし
薬学で、薬の合成もできる。

もちろんたぶん
臨床研究に進んだ際にも
隣にあるの大学付属大病院での
連携がしやすいだろう。

連携は大切だ。

縦割り、なわばり
なんてやってる場合じゃない。

ここは
素晴らしいところだと思った。

こういう連携は、
まだ少ないらしい。

Q8 研究以外で大変なことは?

どの世界も同じだが
研究開発だけを行うのではない。

たとえば特許関連では
ペタシンの特許は取得しているが
その近い成分の効果も調べているという。

つまり、よくにた成分に
その効果があった場合
そちらの特許をとられてしまう。

つまり研究成果の横取りができるわけ。

なので、よく似た成分についても
研究を進めて
おさえておかないといけないとのこと。

大変だ。

薬の承認に関するような
制度上の問題や特許の問題など
純粋な開発以外にも
やることがたくさんあるそうだ。

そういう障壁はなるべく取り除いて
早く研究開発に取り組めるといいな
とは思うが
それはどの世界も同じで
一筋縄ではいかないのだろう。

Q9 サプリでもう売っていますが?

ある人からの質問。

すでに、民間でフキノトウからのペタシン含有の
サプリメントが発売されているらしいとのこと。

先生もそれを知っていて
調べたそうだが
ペタシンは含有されていなかったとのこと。

報道を見て、商売になる!!
と思った輩がそういうことをする
ウソをついてまで。

ひどい世界だ。
安易なサプリに飛びつくのは
やめたほうがいい。

今後に期待

ということで
3時間ほどの見学会が終了した。

クラファンで寄付をした人には
今後の進行状況が
届くそうなので
期待して待ちたい。


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