インドアニメ市場:Crunchyrollの挑戦
インドのアニメ市場は、急速に成長しており、ますます重要性を増しています。2023年2月にローンチしたCrunchyroll India。今回はCrunchyroll IndiaのCEO、 Rahul Purini氏がインドメディアに語ったCrunchyroll Indiaの挑戦と戦略をまとめました。
市場規模と成長の可能性
インドは、アメリカに次ぐ世界第二位のアニメ市場になると考えています。特に、今後数年間のアニメカテゴリーの全世界成長の60%がインドによるものと期待されており、市場の拡大が予想されています。
Crunchyrollの戦略
世界最大のアニメ視聴サービスとして、インドでも主要プレイヤーのポジションを保っています。月額79〜99インドルピーの有料プランと無料プラン(広告表示型)に対応する多様なコンテンツを提供しています。
視聴者の人口統計と傾向
インドのアニメ視聴者はTire 1都市だけでなく、郊外・地方のTire 2、Tire 3都市にも広がっています。アニメは、子どもを含む幅広い層に人気ですが、Crunchyrollは主に16歳以上のZ世代、ミレニアル世代といった若者〜大人を対象にしています。視聴者の男女比は男性が60%、女性が40%です。
コンテンツのローカライズ
Crunchyrollは、インドの視聴者の関心を高めアクセスを増やすために、インドの市場ニーズにあったローカライズを重要視しています。そのため英語だけでなく、ヒンディー語やタミル語、テルグ語などのローカル言語への吹き替え作品も増加しつつあります。
また、視聴者のほとんどが60分以上の長時間にわたり作品を視聴しており、ヒンディー語吹き替え版は、英語吹き替え版よりも2.5倍も多く視聴されていることが判明しました。
アニメ人気の高まり
日本のアニメは、独自の物語りとビジュアルで特徴づけられ、インドの視聴者の間で注目されています。ストリーミングだけでなく、アニメ映画の人気も高まっています。
新海誠監督「すずめの戸締り」はインドで上映された日本の映画作品で最高の興行収入を収め、アニメ人気の向上に貢献するとともに、ビジネスとしても新たな可能性を開きました。
ストリーミング以外の領域へ
Crunchyrollは、ストリーミングを超えた包括的なエコシステムの構築を目指しています。映画、アパレル、商品、イベント、ゲームなどを含むさまざまな収益構造を構築すべく、ライセンスとマーチャンダイジングビジネスにも乗り出す予定です。
マーケティング戦略
ブランド価値を高めるために、Crunchyrollは人気俳優のRashmika MandanaとTiger Shroffをブランドアンバサダーに採用しました。これにより視聴者の関心を高め、Crunchyrollの本気度を伝えることができたと考えています。
また、Rashmika Mandanaが2024年3月2日に東京のグランドプリンスホテル新高輪にて開催される「Crunchyroll アニメアワード 2024」に出席することが決まりました。
まとめ
インドのアニメ市場はアニメ人気の高まり、コンテンツのローカライズ、エンターテイメント業界内での戦略的パートナーシップに後押しされ、黎明期から成長期へと移行しつつあります。Crunchyrollの挑戦は、急成長するアニメ市場をさらに活性化し、ビジネスの拡大に向けた積極的なアプローチと言えそうです。