珍・ニ叉の虹
台風10号は進路を大きく西へ変更した。
夜明け前、
激しい雨が降った。
またか。と思うようになった。
近年、夕立と言うよりはスコールのような雨が降るようになり、
今年はますます増えている。
盥をひっくり返したような、と言い表されてきたけれど、
今のは風呂桶が飛び上がったような降り方をする。
30分くらい降って、バケツを見ると3cmくらい溜まっている。
1時間雨量にしたら60㎜以上ということになる。
強い。
↓ 参考:気象庁【雨の強さと降り方】
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/amehyo.html
※
8月も下旬になると、日の出がだいぶ遅くなる。
5月6月は4時頃に起きていた飼い犬ウーゴくんと私も、
5時頃になってやっともぞもぞ動き出す。
今朝も目を覚ますとちょうど5時。
夜明け前の雨はウソのように外はシンとしている。
私は顔を洗って排便して歯を磨いて、
それから、足の裏の横アーチを補強するテーピングを
待てよ、
この静けさは、あやしい。
PCを開いてナウキャストを見る。
↓ 気象庁【雨雲の動き】
https://www.jma.go.jp/bosai/nowc/
案の定、南から赤い雲の塊が接近している。
1時間ほど巻き戻した所から再生して、移動の速度を見る。
どうやら、30分もしないうちに激しい雨がやって来そうだ。
《大前提》
飼い犬ウーゴくんは、一日に一回、朝だけ、近所のドッグランで、
排便をする。
だから、槍が降ろうがスコールが降ろうが、毎朝ドッグランに行かねばならない。
着替えながら、考えた。めまぐるしく考えながら、着替えた。
雨具を着込んで準備している間に雨雲はやって来る。
雨具を着ても、雨具の中で蒸れて大汗をかいてびしょ濡れになる。
そんなことなら。
適当に短パンを履いてメッシュのジャケットを着て、
ゴアテックスの帽子をかぶって、
免許証と車のキーと、ウンチを拾うための袋を持って、
犬に首輪とリードを着けて、玄関から飛び出る。
月極駐車場へ80メートル、ダッシュ。
周囲は畑なので、空が広い。
おお、西の空に虹。
途切れているが、虹が出ている。
二重。
いや、
そのずっと内側にも光の環が見える。
虹は、途切れとぎれではあるが、
なんせ日が昇りたてで低いので、
全体で240°くらい有りそうだ。
※
犬を助手席に乗せて、ほんの1㎞先のドッグランへ向かう。
ちょいと駐車して、車を降りて、走る。
冬は吹きっさらし、
夏は陽射しが厳しいと、
いっつも文句を言っているドッグランだ。
これまた空が広い。
南から雨が来るのが見える。
さほど低くない雲から、雨がレースのように垂れているのが見える。
そこに日が当たって、虹となっている。
雨雲が接近するにつれ、
虹の円環が繋がって見えてくる。
二重の虹である。
内側の虹は、内側の紫から赤へ。
外側は、赤から紫へ。
およ?
内側の虹が、さらに二重になっている。
なんじゃこりゃ?
途中から、虹が二本になっているのだ。
太い虹が、途中から細い二本の虹になっている。
二重の虹はよく見るけれど、
こんな形は初めて見た。
※
おそらく、
雨が手前と奥と、位置が違っていたのだろう。
私の視点から見ると、遠近の虹が隣り合わせで見えていた、
ということではないだろうか。
※
飼い犬ウーゴくんは、いつものようにすんなりとウンチを済ませてくれた。いいぞ。
すぐに帰ろう。
呼ぶと、手元まで来てくれた。いいぞ。
リードを繋ぐと、出口に向かってグイグイ進む。いいぞ。
車に向かって走り出す。
刹那、パラパラと降り始める。
ホラ来た!
車に駆け付けて扉を開けて犬が飛び乗って自分も飛び乗ってドアを閉めたその時、
ザーーーッ!と雨が勢いを増した。
わはは!セーフ!