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日本再生:序章 文化遺伝子「しかたない」対「しかたある」(0.4.~0.5.)


0.4.日本の文化遺伝子の問題点


日本の文化遺伝子は、個人の成長や社会の繁栄を実現する役割を果たしているでしょうか。また、人間の本性や環境に調和した社会システムを創り上げることに成功しているでしょうか。学校や企業、そして社会全体で、人々が創造的でやりがいのある活動に主体的に関わる仕組みを構築できているでしょうか。これらの問いについて、具体的に掘り下げて考えてみましょう。

高齢者と若者にとっての日本社会


高齢者に目を向けると、硬直的な定年退職制度が、働く意欲と能力を持つ高齢者から労働の機会を奪っているように思われます。他方で、高齢者の増加を理由に、公的年金制度が破綻の危機にあるとして支給額の削減が叫ばれています。これは非常に矛盾した社会制度ではないでしょうか。働きたい高齢者から働き税を納める機会を奪いながら、その結果として生じる財政難を年金制度の問題として自ら招き、混乱を拡大させているのです。

若者についてはどうでしょうか。日本社会は、社会から孤立し、生きづらさを感じている若者たちに、広い世界へ挑戦する機会を提供できているでしょうか。それどころか、学校でのいじめ、引きこもり、自殺といった問題が示すように、若者に「空気を読む」ことを求め、内向きな社会秩序を押し付けているのではないでしょうか。社会の中で自由に挑戦し成長する場を奪われ、閉塞感の中に閉じ込められている若者が少なくないように思われます。

さらに新卒一括採用や硬直的な労働市場が、若者から多くの転職やキャリア形成の機会を奪ってはいないでしょうか。また、学校での英語教育の失敗により、多くの若者が国際的な舞台で活躍する可能性を失っているのではないでしょうか。

こうした日本の社会制度は、結果として、高齢者だけでなく若者からも自由で多様な選択肢を奪う形で設計されているように思えてなりません。

女性にとっての日本社会


女性に目を向けると、日本の文化遺伝子は、女性に自己実現や社会貢献の機会を十分に与えているでしょうか。むしろ、現実には男尊女卑という偏見の中で、「女性だからこれをしてはいけない」といった制約を受け、窮屈な人生を強いられている女性が多いのではないでしょうか。

日本社会では、政治家や官僚、管理職、学者といった分野で女性の割合が極めて少ないのが実情です。これらの職業が特別に価値が高いとは限りませんが、社会的偏見が女性から職業選択の自由を奪っているのではないでしょうか。

さらに、日本の文化遺伝子は、女性にとって育児とキャリアを両立すること(健全なワークライフバランス)を困難にする社会制度を生み出しています。働く女性が直面する保育所不足は長年にわたり指摘されている問題ですが、未だに解決されていません。また、フランスのように婚外子を支援する充実した制度も存在しません。

日本社会の制度や構造自体が、女性の潜在能力を十分に活かす仕組みを欠いているのです。その背景には、男性を優位に置く偏見、つまり男尊女卑の文化遺伝子が根深く存在していることが挙げられます。

「しかたない」文化遺伝子による社会の停滞


日本の文化遺伝子は、人々が内発的に自律し、創造し、協力する仕組みを生み出せていません。さらに、人生に生きがいや希望を与え、善い人生を全うできる社会システムの構築にも失敗していると言えるでしょう。むしろ、人々に受け身で消極的な姿勢を植え付け、自律と創造、希望を奪い、不幸に陥れているように見えます。

日本人には、自分の人生を自由に選択する真の機会が与えられていないように思われます。学校では成績でランク付けされ、会社では「社畜」として扱われ、社会全体では義務を課され、「国家のために産めよ、働けよ」といった管理下に置かれています。

日本経済が長期停滞している根本的な原因には、人々から自律と創造、希望を奪う、社会秩序を最優先する硬直的な文化遺伝子が深く関わっているのではないでしょうか。

「しかたない」という言葉の背景にある文化遺伝子は、社会秩序の維持を最優先するあまり、日本人の自由な創造活動を抑え込み、政治や経済を不健全な停滞状態に陥れています。さらに、自由な発言を抑圧することで、不正が社会に広がりやすい環境を助長しています。

「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する」というアクトン卿の命題は、「しかたない」という文化遺伝子を持つ日本社会に特に当てはまるでしょう。日本企業では、さまざまなハラスメントが蔓延しやすい土壌があると言われています。その背景には、新卒一括採用による「先輩後輩」文化やピラミッド型組織から生まれる権力の上下関係があり、さらにその理不尽な現状に抵抗する意志を覆い隠す「しかたない」という文化遺伝子が存在しているのです。

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