放浪・新大久保編【推し活リベンジ!07】
推し活を充実させるために池袋・秋葉原と、オタク御用達の街を放浪した私。
池袋では思ったより高価なアクリルフレームを入手、秋葉原では何の成果も得られなかった……と、時間と労力をかけた割に収穫が納得のいくものではなかった。
ふと、ここで2つの街の特徴に気づく。
「二次元やん……」
池袋・秋葉原はどちらかと言えばアニメ・漫画がメインだ。説明するまでもないが。
私の推しは三次元だ。次元が違うから、訪れたところでそもそも望む結果が得られるはずがない。
だとすると、三次元で推し活のメッカはどこだ?
答えは「新大久保」。
聞くところによると、韓流アイドル関連グッズがよりどりみどりらしい。
K-POPにハマってる知人から裏も取った。
あそこに行けば、推し活が充実する「何か」があるんじゃないか?
善は急げ、ということで仕事終わりに行ってみた。
その日は雨が降っていた。それにもかかわらず、JR新大久保駅の改札前を人が埋め尽くしている。
日本人の若者だけではない。アジア系の中年らしき人の姿もちらほら見受けられる。池袋のチャイナタウンでこういう場所の耐性は多少付けたつもりだったが、新大久保は多国籍を通り越してカオスだった。
用事がない時は、あまり近寄りたくない。何が起こるかわからないから。
東に向かい、大久保通りを歩く。
韓国料理、アイドル、美容グッズ、雑貨……あちらの文化に詳しくない自分は、どうすればいいのかわからない。とりあえずウィンドウショッピングを楽しみつつ、推し活に使えそうな物を探した。
韓流アイドルは、みんな顔が同じに見える。
昔、モーニング娘。の辻ちゃんと加護ちゃんを見分けられない親を責めたことがあったが、恐らく同じ現象が今自分の身に起きているらしい。これが老いか……いや、無関心が招く流行遅れか。
彼らを知るヒントがほしいと思ったが、説明文がほとんどハングル文字で読めない。まさか店員を呼んで「この人たちは何なんですか」と聞くわけにもいかない。
結局、店頭に並ぶアイドルたちが、誰一人としてどこの何者なのか明らかになることはなかった。
ただ、BTSとやらがまだまだ猛威を奮っているのはわかり、どの店に行っても彼らのグッズがあった。トレーディングカードのホルダーやデコグッズもあったが、ほとんどが彼らの顔がプリントされていたり、それ関連で諦めた。
もっと、こう……ニュートラルなものがほしい。キャラクターとか、特定のアイドルとか関係ないやつ。
そういえばサンリオでも推し活応援グッズを出していると聞いたが、キティちゃんとかシナモンロールとかそんなに好きではないし、以前も言ったが私の推しの色がわかっていないので、結局手を出さないまま今日(こんにち)に至っている。
推し活って、簡単なようで難しい。馬鹿みたいに楽しいようで、結構頭を使う。
できる範囲で、いかに自分が満足できるところに落とし込めるかが重要だと思い知らされた。
新大久保でも収穫はなかった。
ただ、街を歩いて推し活に対するヒントはもらえた。
例えば「理想の推しのグッズがないなら作ればいい」。
大通りから一本裏に入ると、オリジナルグッズを作ってくれる店がいくつか見つかった。スマートフォンケースやポーチなど、その種類は多岐にわたる。
著作権侵害の恐れがあるので、ネットの海で収集した推しの画像を使って何かを作ることは絶対やらないが、その発想いいな……と素直に感心した。
この「ないならつくればいい」が、後に超役に立つということを、この時はまだ知らなかった。