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知らない曲で踊る勇気

いままでTwitterなどのSNS上で「知らない曲では盛り上がれない」という旨の投稿をいくつか目にしました。これを見て、クラブシーンやDJ活動について改めて考えるきっかけになりました。特に、クラブ通い10年以上の熟練したお客さんにとって、音楽とダンスの関係性は非常に深いものだと思います。

ダンスと勇気と酒

まず、「知らない曲でダンスするにはある程度の勇気が必要」という意見には、多くの人が共感できるのではないでしょうか。馴染みのないビートや、初めて聞くメロディーに体を預けるのは、意外と難しいことです。だからこそ、お酒を飲んでリラックスすることで、知らない曲でも自然に盛り上がれる、という経験は誰しもが持っているでしょう。アルコールは一種のブースターであり、フロア全体が「知らない曲でも楽しもう!」という雰囲気に包まれる瞬間を引き出します。

DJへの信頼

しかし、勇気だけではなく「このDJなら体を委ねても大丈夫」という信頼感が、踊り手にとっては重要だと感じています。この信頼感は、一夜限りのパフォーマンスだけで生まれるものではありません。普段からのDJプレイのクオリティや、クラブ会場内での振る舞いが大きく影響します。たとえば、DJが過度なナンパをしていたり、SNSで根拠なく一部の音楽や界隈を糾弾するような不用意な発言をしていると、その人への信頼が揺らいでしまい、結果的にフロアで体を預けることが難しくなるかもしれません。逆に、日常的に一貫した行動をとり、フロアに対して敬意を持って接しているDJには、自然と信頼が集まりやすくなるでしょう。

クラブとライブの違い

一方で、「知っている曲でだけ盛り上がる状態」が続くと、クラブイベントがアーティストライブのような雰囲気に近づいてしまうこともあります。ライブはアーティストの創造性を享受し、その楽曲に共感して盛り上がる場ですが、クラブは本来、もっと自由で予測不能な空間であるべきだと思っています。アーティストライブとクラブイベントの違いは、そこにあるべき「即興性」や「発見」の要素にあるはずです。

クラブはグルーヴを楽しむ場所

私たちがクラブに求めるものは何でしょうか?クラブという場所は、参加者の知識や経験に左右されず、誰でもその場の「ノリ」を楽しめる公平な空間であってほしい、と語る関係者を何人も見てきました。多くの人はそう願っていると思います。クラブは、アーティストや曲に依存せず、その場に集まる人々が、一つの大きなグルーヴを作り出す空間だと私は感じています。フロアにいる全員が、その瞬間を楽しみ、一体感を味わうための場所であってほしい。だからこそ、私は自分のDJとしての活動を通じて、この考え方を大切にしたいと思っています。

自分がしなければならないこと

私が今後目指していきたいのは、参加者が曲の知識に囚われず、どんな楽曲が流れてもフロア全体が盛り上がれるような環境を作ることです。もちろん、クラブシーンには様々なスタイルがあり、それぞれの楽しみ方があることは理解しています。しかし、私にとってクラブとは、既存の枠組みにとらわれない自由な空間であり続けるべきです。だからこそ、フロアを見守り、参加者がリラックスしてダンスできるように、より一層普段からのプレイスタイルや態度に注意を払っていきます。

空間づくりに繋がるSNSの言動

また、SNS上での言動も重要です。現在のクラブシーンは、SNSを通じて多くの人々に情報が拡散されます。そこで発言や行動に一貫性がないと、フロアでの信頼を失うことにもつながりかねません。DJとして、SNS上でもオフラインでも、リスナーやフロアにいる全員に対してリスペクトを持つことが、知らない曲でも楽しめる空間作りの第一歩だと信じています。

これからも、クラブという場所が誰にとってもオープンで、自由な表現ができる場であるように、私はDJとしての役割を果たしていきたいと思います。未知の楽曲に出会い、それに体を委ね、共に盛り上がることができる場を作るために、日々のプレイや行動を磨いていきます。

今週末のDJは…

仙台Shangri-laで開催される、BLINKERにてDJ
いたします。
「ハードコア界隈のDJが160BPM以下の楽曲で演奏する」という趣旨の催しです。
得意とする場じゃないような所のほうが、気を抜かず繊細にプレイするDJの姿勢をお客さんは見ている!と思ってDJしております。
ちなみに私は大得意です。
ぜひ遊びに来てください!


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