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診療小話518 #医療システムと現場対応の歪み #虐待児 #ヨミドクター #法医学 #画像診断

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20171101-OYTET50027/?catname=column_watashi-no-iken#comment-50079

11月20日読売新聞朝刊に法医学医師による虐待や怪我の分析の記事がありました。
小児科医と違う視点を提供し、追加検査やその後の対応へ関与するというものです。
CTやMRIによる過去の出来事の推定の作業は放射線科医とも重なるところがあります。
死亡時画像診断なんかも有名書籍になりましたが、医療サイドでも行政サイドでも問題があり、待遇の問題と絡んで人気のない分野です。
予算があまりつかない、人間や社会の闇に深く関わる分野だからですね。
監察医制度の縮小もニュースになります。

虐待児の問題なんかもややこしくて、体罰と暴力はどこから線引きなのか、専門家でも線引きや程度問題の判断は困難でしょう。
経済的な問題も絡みます。

子供にとって自立できるまでは問題のある両親や家族のもとにいた方が良いのか、そういう部分の判断まで考えるとデリケートです。

実際、医学部でもその手の問題は大きいです。
問題児の親がもっと問題とかよくあります。
親や親の経済力や権力の影響は大きいものです。

重大事件への前兆であれば怖いと思いつつも、虐待の可能性の指摘は本人の生活への悪影響も考えられ、勇気のいることです。
また、問題のある保護者に逆恨みされるケースもあります。
そういう意味では、診断も対応もチームの方が良いでしょう。
事実を指摘する能力と、様々な人間と上手に対応する能力は別物です。

本文とかけ離れた話にも見えますが、結局、「誰かに問題が発生して、それを生での診察と画像データの解析処理をして民間やや行政のサービスとして提供するか」という意味では相似です。

そういうシステムは、意外と大学医局の専門医制度の縦割り行政や横割り行政とぶつかることもあって進まない分野でもあります。
問題は現場よりも上流の方にある場合が多々あるということです。

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