医療格差の素因数分解とインフラの影響 かかりつけ医と高度医療機関の役割分担
医療格差の素因数分解とインフラの影響
昔に比べ、医療情報のIT共有や物資のインフラも整っているので、大掛かりな検査・手術以外であれば、高度医療センターに近い医療は行いやすくなっていると思います。
後は個人やチームの努力と、自施設の限界を理解したうえでの戦略設定だと思います。
今は大手医療機関も検査・手術機器の減価償却や人件費の圧縮に追われてますから、小規模施設もやり方次第で大手以上の医療サービスを提供できるとは思います。
そういう意味で、かかりつけ医療というのも、より難治性の疾患を対象にしたものは想定できますし、どこで安定した生活を送るかの中に、子供の教育環境や病院やその連携の質なんかが重要になってくるかもしれません。
医師も自分の子供の安全や教育は悩みのタネで、医療格差問題は世代をまたがる生活格差になっていきます。
現実的には地方の病院が駅に近接し、地方の患者は介護タクシーの減額や社会的入院の要件緩和などが出来れば、医師にも患者にも折り合いがつくと思いますが、既存の施設の移転などには高額の資金が必要なために、市町村によっては揉めるでしょう。
揉めるのが嫌で、待てない患者が多いから、東京に人が集まる側面はあると思います。
医療格差の是正には様々なハードルがありますが、丁寧に問題を考えることで、ある程度の妥協のポイントに繋がってくるのではと思います。
かかりつけ医と高度医療機関の役割分担
補足します。
かかりつけ医推進のシナリオが一般的な開業医の能力を超えれば逆効果で、大病院信仰に拍車をかけてしまうでしょう。
画像診断レポートの放置など大病院の縦割り行政の事故のニュースもりますが、全科統合の知識の運用と患者説明は困難があって、だからこそ、専門分化も進んでいるわけですが、チームプレーの構造をよく考えてやる必要があります。
ニュースにもならない開業医の見逃しや放置もあることでしょう。
中規模以上の医療施設(地域によっては難治性疾患のかかりつけ医のチーフ)や人間ドッグで、難治性疾患や救急疾患素因のスクリーニングをやったうえでのかかりつけ医療の推進が都心部では現実的ですが、地方のインフラや産業の状況によっては改善していく必要もあります。
その当たり前のことを踏まえた適切な理解と運用への道筋が医師にも患者にも幸福な未来をもたらします。
最近は大病院や大学が医療モールと組んで町おこしをしています。
時間が勝負の救急疾患や大規模な検査によるスクリーニングのバックアップがあってこそ、かかりつけ医が輝くわけですし、コメディカルや宗教家やその他の手助けを借りた方が、重症患者家族との折り合いはつくでしょう。
一方で、資本力がなくても、問題の構造を理解し、市町村や病院間の連携を推進すれば、本文のような不満を感じる患者家族は減っていくのではないかと思います。