#せん妄 の「治療」  傾向と対策

患者さんの治療環境に対する認知と行動の不適応。

言葉の定義はともかく、本文に挙げられている患者さんの状態はそういう状態ですね。
患者さん以外は皆「治療」に向けて、本人を拘束し、点滴やらなんやらチャレンジしている。

こういった状況は急性疾患後にICU(集中治療室)で起こることも多いですね。
ICU症候群という言葉もあります。
治療は鎮静剤の投与や身体拘束ですが、根本治療は病状と治療に対する本人の理解だと思います。
(患者さんの理解度や認知症との兼ね合いもあり、現行の治療が必ずしも否定できる訳でもありませんが。)

ところで、普段の生活から、間の記憶が飛んで、いきなり病室にいて、色んな管をつながれてたら、普通どう感じるでしょうか?
「夢の中にいる」「これはおかしい」と考えるのは極めて「正常」な判断だと思います。
一方で、検査結果や病気の意味を知っている医療従事者からすれば「異常」な判断です。
つまり、悪意なく双方の認知に食い違いがあるということです。

この認知のギャップを原疾患の治療と並行していくのが大変なのだと思いますが、まあ、最終的には予習と準備しかないと思います。

難しいことまで理解を求めると、汎用性が失われるので、「ある日突然病気になって、気が付いたら病室で点滴をつながれたりしているということもありうる」と本人や家族が知っていることです。
そうすれば、本文中のように、意見の激突の中で、本人が「精神疾患に準ずる」扱いで亡くなるようなことは防げたと思います。

本文の問題は、医療者と家族と本人の意思が衝突してしまったことにあります。
肺炎で亡くなる自由は本人にもあると思いますし、病状によっては治るかもしれないから点滴をしたいというのも間違いではないと思います。


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