Pot-pourri『変わらないもの、変わっていくもの』を観たよ!
昨日は、Pot-pourriの久しぶりのワンマンライブ『変わらないもの、変わっていくもの』を観てきました!すごすぎたので、初めてライブレポなるものを書いてみます。
Pot-pourriに関する概略的な説明は一筋縄ではいかないが、ひとまずsawawoさん(アコギ,vo)、シバサキさん(ba)、TAROさん(dr)、液晶さん(Effects)によって構成されるバンドである、と言える。ライブタイトルの『変わらないもの、変わっていくもの』は新曲『Y』の歌詞にも現れるもので、既存のジャンル名では説明しきれないような音楽でありながら、一度ライブに行ってしまえばとにかく踊れて、サービス精神もたっぷりな素敵なバンドです。↓
ワンマンってのはめでたいので、ベース2本を使ってin profileを演奏しました。最終的には体を鍛えてワンスくんを持ち上げたりしようと思います。
— シバサキ (@Talbogoyf) August 25, 2024
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多くのバンドや表現がそうではあるが、中でもPot-pourriは特に、ライブに行くのと行かないとでは体験が全く違う。それは単に「やっぱ生音だといいよね」みたいなレベルを超えて、その都度、自身の曲を再解釈して、違うスタイルでのパフォーマンスを見せてくれるから。アレンジや曲構成のレベル、身体的なパフォーマンスでもそうだし、歌詞もその都度の伝えたいものになっている気がする。まさに『変わらないもの、変わっていくもの』だ...……
印象的だったのは「Astra」の歌詞が少し変わっていたこと。
なが れぼし
おっこちた
ねがい ごとひっかけて
おっこちた
の「ねがいごと」が「ねがい」に変わっていて、個人が流れ星に託すものとしての「願い事」、あるいは「願い」もろとも落ちていく、というより、もっと大きな「願い」を引っ掛けながら流れ星が落ちていくかのような歌詞に変わっていた。演奏も、原曲での「ひっそりと閉じた部屋の中で広大な宇宙に想いを馳せる」ようなアレンジから、もっとスケールの大きい爆踊りナンバーになっていた気がする。
こんなことをゴチャゴチャ考えなくてもカッコいい&踊れるキャッチーさがPot-pourriの凄さなんだけれども、もうちょっと続けさせてほしい。
以前、コロナ禍でのとある企画で、sawawoさんによる音楽についてのラジオを拝聴する機会があった。漠然とした、おすすめの音楽を流そうくらいの企画だった気がするが、そこで語られたのはsawawoさんの音楽論だったような気もする。Neu!や空間現代をはじめとした様々なバンドの楽曲を紹介しながら、人間によるビートと機械による再現、その否定の中で改めて注目される身体性、再現と否定、再解釈や融合の歴史が語られていた。当時は【人間-機械の音楽/ビート】って面白い切り口だなぁくらいに思っていたけれど、今回のライブは、まさにその歴史に対するPot-pourriなりの回答だったように思う。
なぜ突然こんな話をし始めたかというと、昨日のkankitsuは、その歴史的な問いに対する、感動的なまでの回答だったかのように思えるからだ。kankitsuは2019年リリースの『Classic』に収録されているが、それ以前から演奏されている定番ナンバーで、定番とはいうものの、ライブごとに形を変えつづけている楽曲である。アンコール一発目での初披露曲「Suidream」のあと、満を持してはじまったそれはまさに圧巻だった。3人によって刻まれる身体的なフレーズの繰り返し。その隙間を徐々に埋めていく液晶氏によるノイズは、次第に抽象度合いを高めていく。音というよりも、最早エネルギー。巨大な力の衝突、拮抗、飽和、そして静寂。文字通りの静寂。に次いで、徐々に立ち上がる新しい秩序、今までのリズムもBPMもなくなったかのような混沌(即興?)、液晶さんのコントローラーが最前列の観客に委ねられる瞬間すらも訪れたが、いつの間にか全てが共存し、そして最後に、大団円としか表現しようのない祝祭。そんな数分間だった。
ここまで書いて、観ていない人には何を言っているのかわかりません、という感じだろうが、昨日のkankitsuは、国産みの神話が、今、目の前で行われているかのような圧倒的な光景だった。そしてそれは、紛れもない人間讃歌だった。なぜなら、ここで注意したいのは、我々の生活を規定する技術や環境がそうであるように、液晶さんが発するノイズの多くは、演奏中に入力された3人の身体の発露である音を加工、増幅したものであることだ。ライブタイトル『変わらないもの、変わっていくもの』にあるように、変わっていく我々を取り巻く環境、我々が発し、増幅してしまうものによって構成される社会と、その中での変わらないもの、人間と、その身体。どちらが良いでも悪いでもなく、それらが拮抗の果てに、共存し、そして祝祭が訪れるという様を描いてくれたのではないかと思う。
そして最後に演奏されたのは「Dressed in Black」。「黒い服」という表現は「Silkworm」にも現れるが、改めてこの曲名というのは感慨深い。なぜなら、フロントマンのSawawo氏はLUNA SEAからの影響を公言しており、LUNA SEAの黒服限定公演に足を運んだり、大阪城ホール公演のパーカーを着てステージにたったり、集合写真で🖖のポーズ(SUGIZOさんへのリスペクトと思われる)姿が確認されている。そういった影響元へのリスペクトと意思表示が最後に現れたのではないか。
....…ちょっと個人的な読みに引き付けすぎた気もするけれども、全く見当ハズレではないような気もする。いずれにせよ、Pot-pourriのライブは、こんなこと考えずに踊れる楽しさもあるので、是非足を運んでみてね!各種サブスクでも聴けるよ^^
ライブフライヤーは草薙さん🦋
🦋銅版画をライブフライヤーに採用いただきました🦋
— 草薙薫 (@mtst109) July 22, 2024
4月の個展イベントでお世話になった、ポプリ @potpourrijpn さんのワンマン!
記念すべきライブに関われて幸甚が溢れます…
学生時代からのっそり追っいかけていたフェイバリットバンドです、8/24落合だよ!!どデカく楽しみ!!皆行こう!!!! https://t.co/MEZX2dZJiO pic.twitter.com/EMqdq2U1nc
2024.08.24.(Sat)
— Pot-pourri(ポプリ) (@potpourrijpn) August 25, 2024
Pot-pourri one-man live
変わらないもの、変わっていくもの
Setlist
Cerulean
Comic
In Profile
Silkworm
Paradis※
Astra
Vertigo
Revolver
Berceuse
Diary
Papillon
Y
En.
Suidream※
Kankitsu
Dressed in Black※
(※: 未音源化曲)
ありがとうございました!