「女神とピアニスト」のはなし
こんにちは、なかのです。
この度「マンガイチ」8月期にていいね賞をいただきました。
昨年9月に初投稿でいいね賞をいただいて以来です。ちなみに今回は2度目の投稿で、初めて担当さんとつくった作品であります。
ここまで来るのにものすごく時間と労力がかかったので、「箸にも棒にもかからなかったら…」と不安でした。(いいね賞に選ばれると担当編集さんについていただけるのですが、すでに担当付きの人は必ず選ばれるというわけではないみたいです)
なので評価していただけてとても嬉しいです。アマギフ何につかおうかな〜
でもやっぱり入賞(佳作以上)に届かなかったのは悔しかったです。今までなら、一番下でもかすれば大喜び、講評もありがたく受け取る感じだったのですが、今回は初めて悔しさの方が勝りました。
じゃあ自信があったのかというと、まったくなかったんです…
「これどこが面白いんだろう…」と何度も思いました。
なのでショックはなかったのですが、あまり素直に喜べなかったというか、不思議な気持ちでした。
そして、サイトに載ってた編集部からの総評はかなり厳しいもののように捉えました。基礎基本がなってない、ってことかなぁ。遠いなぁ、と……
担当さんによると、「賞には入らなかったけど評価は悪くなかった」とのこと。こんど具体的なお話を聞かせていただけるそうです。
制作に関してはかなり遠回りしました。
2023年11月プロットが通る
12月 ネーム書くも全ボツ
1月 修行・シナリオの書き方を勉強
2月 プロット組み直してネームを描く
3月 打ち合わせで良い感触、3回直したのちペン入れへ
4月 異動して描く時間ないけどペン入れ
5月 締め切りに設定してたけどまったく間に合わず、自分のペースでやることに
6月 繁忙期で悶々とする
7月 夏休みで少し時間ができる
8月 大会遠征のホテルでも描く!盆明けに提出
締切間近まで、完成原稿の直しをして投稿
作画コストが高い場面が多い(グランドピアノ、教室など)のと、人生で初めての30頁オーバーってのもあって、めちゃくちゃ時間がかかりました。
だからか、出来上がって投稿したときに初めて寂しさすら覚えました。
今までは10ページ前後を数週間で仕上げてたので、寂しさより爽快感のほうが優ってたんだなぁ。
つらかったところ
①教室の背景(特に机)
しんどすぎて1ヶ月放置した。
1ヶ月後、全く終わってない背景に絶望した。あたりまえだ。
②グランドピアノ
特に7ページ目の鍵盤は担当さんから、「ピアノの描写に愛がある」的なコメントをいただいたのだが、私はヒステリックおかんにキレられ泣きながら練習したトラウマから、引っ越しを期にあっさりピアノをやめてしまったくらいには愛がないです。
7ページ以降、見開きページ以外のピアノは素材をトレース⇨加筆したもの。ほんとは全部自分で描きたかったが、無限に時間が溶けるので断念。
③終盤の見開き
初めて描いた。担当さんの提案。ノドに顔がかからないよう描くのが大変だった。あと何あのカメラアングル。
④楽譜
全部手書き。死!
なお、合唱曲は「Believe」のつもりで描いてました。
⑤見開きページの集中線
建築関係の仕事をしていたおじいちゃんの雲形定規(まさかの木製)を使いました。
⑥表紙
またもや軽率にフカンを使ってしまった。パースとは…
好きなところ
①校舎
影をハッキリ入れたらカッコよくなった気がする。窓に逆光になってる校舎が映ってるところと火災報知器と渡り廊下のトタン屋根が特に楽しかったです。
②イチョウの木
イチョウの葉っぱって意外と難しい。初めて観察した。
③シャーペンの芯が折れるシーン
実際に授業中、生徒にかましたしょーもない発言からきている。生徒からはなぜか「うまいこと言いましたね」と言われた。
④名高さんが別院に教室で声をかけるシーンの背景
6年2組のスローガンは秒で考えました。
吹き出しで隠れましたが、このクラスには掃除当番表が2つ貼られています。どんだけ掃除好きなんや。ただの作画ミスです。
⑤キャラクターの服装
なぜかメイン2人はほとんど変わらず、めちゃくちゃ着回しさせているのに、脇役は服装コロコロ変わってるという謎。
GUとかユニクロのお世話になりました。
⑥メインキャラのペン入れ
めためたリキ入れました。キラッキラになっちゃった。
その他こぼれ話
タイトルは熊谷幸子さんの曲からとりました。
かわいい曲です。
ネカフェでの原稿作業中、よくくまさちさんの作業BGMをお供にしてました。
最初(全ボツ前)から全く違う内容になったので、「関係ないし、タイトル変えたほうがいいですか?」と打ち合わせの電話で聞いたら「このままでいいと思いますよ」と言われたのでそのままにしました。
ちなみにTHE POSTMENの「the bag」もよく聞きました。良い曲。
「オーディションで2人を除いて誰も完奏しない」は小学校3年生のときの実体験です。
あんなにみんな意気揚々と「弾けます!」と挙手してたのに、私とあと1人を除いて誰も最後まで弾けずにフィニッシュしたことにショックを受けたのを覚えてます。
(楽譜を先生からもらってすぐ、4、5人の女子たちにドレミを書いてくれと楽譜を突き出され、快く引き受けたお人好し魚座女児のワイ)
結局完奏したけど、気後れしてもう1人完奏した子に譲ったんだよなぁ…という思い出。
あと、Xの相互さん達から「やっぱり楽器弾く時、自己陶酔しちゃうよね〜でも楽しくやってるのを見る方も楽しくなるよね」的なコメントをよくいただきました。
ほんとにそのとおりで。
これもまた私が大学生の頃、部活(音楽やってました)の先輩に「ナルシストのように弾け」と言われて反発しまくってたことが実際にありまして…
でも実際、「ノッて弾いている」ほうが見てる方も楽しいし、不思議と上達もするんですよね。
そんで楽しくなってくるんだよね。
そこまでいってやっと音楽=音を楽しむところまで到達するんだよなぁと思ったものです。
ネームがボツになり、もう一回プロットから組み直したときに、「この別院くんは自分のことだな」と思いました。
長く趣味で描いてたからわかってた気になってただけで、実際なんにも漫画のことなんてわかってなかったんだなと反省したのです。
自分のことを見つめ直したお話でした。
おわり。