ずんだもんの催眠音声の曲を作ったらずんだもんの声優ご本人がカバーしてくれた話
お疲れ様です。
山本と申します。
先日、「催眠音声の曲を作って応募したら東北ずん子公式のTVアニメの挿入歌として採用された話」についてnote記事を書きました。
簡単にまとめると、東北ずん子公式がTVアニメに使用する挿入曲の公募を行っており、ダメ元で催眠音声をテーマにしたずんだもんボーカルの曲「あまあま催眠リミックス」を送ってみたところ何故か採用され、地上波放送までされてしまったという話です(どういうこと?)。
これだけでも訳が分からないのですが、何とこの「あまあま催眠リミックス」を、ずんだもんの声優である伊藤ゆいな氏が歌ってくれました。
そんなことあります?
恐れ多いとかそういうレベルじゃありません。自分が作った曲を伊藤ゆいな氏に歌って頂けるなんて、まさしく全ずんだもんボカロPの夢と言えるでしょう。このような僥倖をボカロP歴半年の自分がいたずらに享受していいものなのか、プレッシャーが重く肩にのしかかります。
一体なぜこんなことになってしまったのか。
という訳で今回は、「ずんだもんの催眠音声の曲を作ったらずんだもんの声優ご本人がカバーしてくれた話」について書き綴っていきたいと思います。
事の経緯
きっかけは1月初旬。
ずんだもんの公式ラジオ番組「ずんだもんのずんパラじお」様のTwitterアカウントからDMを頂きました。
「ずんパラじお」とは、ずんだもんとその声優である伊藤ゆいな氏がパーソナリティを務めるラジオ番組です。
キャラクターとそのキャラの中の人の掛け合いをリアルタイムで見ることができるのはおそらくこの番組だけでしょう(ずんだもんの声は担当の人がリアルタイムで手打ち入力を行っています。2期からはボイスチェンジャーを使って担当者の声をずんだもんに変えてお喋りしてるっぽいです)。
そしてDMの内容についてですが、なんと「あまあま催眠リミックス」をずんだもんの声優である伊藤ゆいなさん本人にアフレコしてもらうというもの。そして、録音したデータを送るのでミックス作業をお願いしたいという依頼でした。
えっ…?あの曲をプロの声優が…?
青天の霹靂でした。
話によると、あまあま催眠リミックスの地上波放送の際にずんパラじおでもこの曲が話題に挙がったらしく、プロデューサーの方が「それじゃあ吹き替え版を作ろう」ということになったらしいです。フットワークが軽すぎる。
そもそも、あの曲はアフレコしてもらうことを想定して作っていません。ぶっちゃけずんだもんのささやきボイス機能を使いたかっただけです。パートは無駄に4つに分かれているし、寿司ネタを連呼するパートは息継ぎの箇所が無いのでまともに歌おうとするとまず酸欠になります。あまあま催眠リミックスが本人歌唱に耐えうるポテンシャルを持っているのか、私には分かりませんでした。
催眠音声という触れづらいテーマによる伊藤ゆいな氏本人のイメージダウンも懸念されるなか、果たして伊藤ゆいな氏が本当にこんな曲を歌ってくれるのか、当時の私は半信半疑でした。実際、この企画がお流れになったとしても驚きはなかったと思います。
そしてこれは本当に個人的な話なのですが、私は編曲依頼やミックス依頼なるものを受けた経験がありません。もしこの話を受ければ、これが初めての依頼になります。ものすごくプレッシャーです。
…と、不安要素を挙げるとキリがない状況でした。しかしながらそれらの不安要素を差し引いても、公式からお仕事を頂くというのはクリエイターにとって何よりも貴重な機会です。無駄にするのはあまりにももったいない。私は「是非やらせてください!」と返信を送りました。
そしてその日から待つこと3週間、ついにその瞬間は訪れました。
伊藤ゆいな氏の音声データ、届く
レコーディングが無事終了し、私の元に伊藤ゆいな氏がカバーしたあまあま催眠リミックスの音声データが届きました。
わざわざ4つのパートを4回に分けて、しかもそれぞれのパートを2テイク録っており、合計で8つのwavファイルが送られてきました(レコーディング本当にお疲れ様です)。
レコーディングには、ずんだもんボカロP界の現人神ことなみぐる氏が立ち会っていた模様。この日は「ずんだパーリナイ」と「あまあま催眠リミックス」の2本録りだったようです。
とりあえず聴いてみます。
うおお!!!ずんだもんだ!!!
声優本人のカバーだから当然っちゃ当然なのですが、やっぱりまごう事なきずんだもんでした。ちなみに、ささやき声なので原曲の音声との違いが分かりづらいですが、聴き比べてみると確かに違います。伊藤ゆいな版の方が声がフワフワしてるというか、リラックスみが強いです。催眠効果もかなり期待できそう。
また、プロの声優に「ゼロ♡」とか「ざぁこ♡」とか「マグロ♡サーモン♡ネギトロ♡はまち♡」とか言わせちゃってることに今更ながら罪悪感を感じずにはいられませんでした。レコーディングしてる時どういう感情だったんだろう。現場が気まずくなってたら本当に申し訳ない。
というわけで、ひとしきり聴いたところでミックスに取り掛かります。
主な作業は、吹き替え音声と元音声のセリフのズレを一箇所ずつ修正するというものでした。素材の味を活かす場合はあまりセリフのタイミングに手を加えるべきではないですが、今回の場合は聞きやすさを重視しました。この手の作業は音MADを作っていた頃に散々やったので、わりとスムーズに進みました。
また、あまあま催眠リミックスは立体音響の曲なのでパートごとにパンを右に振ったり左に振ったりします。作業中に伊藤ゆいな氏の声が右から左からひっきりなしに聴こえてくるので脳がバグりそうになります。ご褒美すぎる。
その後、イイ感じにエフェクトをかけて完成。作業期間はおおむね3日間ほどでした。歌声の場合はピッチやフォルマントの調整などでさらに作業量が増える可能性が高いですが、今回はささやき声なのが功を奏しました。
完成品を改めて聴いてみると、プロの声優のささやき声が四方八方から聴こえてくるのはやっぱりカオスです。しかしそれ以上に、この曲を伊藤ゆいな氏に歌っていただけたこと、そして多くの人の創作によって支えられているずんずんプロジェクトというコンテンツに自分が触れることができたのは本当に幸運だったんだな、ということを再認識して胸に熱いものが込み上げてきました。
という訳でさっそく納品。
納品完了
ギガファイルで完成品とオフボーカル素材を送ったところ、無事OKを頂きました。とりあえず一安心。
すると、担当者の方から思いがけない一言が。
「今月に秋葉原でずんパラじおの公開収録イベントがあるのですが、物販であまあま催眠リミックスのCDを販売しても大丈夫でしょうか?」
なんと、唐突に決定するCDデビュー。
「あと、よければイベントに無料でご招待いたしますが、どうでしょうか?」
そしてイベントへの招待。
もちろん「行きます」と即答しました。
という訳で、とんとん拍子にCDの販売とイベントへの参戦が決定しました。
CDは、「ずんだパーリナイ」「あまあま催眠リミックス」の2種類が各1,000円で販売されるとのこと。あろうことか、私の曲がなみぐるさんの代表曲と肩を並べています。あまりに荷が重すぎる。
そしてこのCD、当初はこのイベントでの限定販売でしたが、現在は東北ずん子公式オンラインショップで購入することができます。これは地方民からするとありがたい。
今この記事を読んでいる方は、是非ずんだパーリナイのCDだけでも買っていって下さい。歌唱難易度の高いこの曲を伊藤ゆいな氏が見事に歌い上げています。すごい。聴く価値大いにアリ。あまあま催眠リミックスはお金に余裕があればお願いします。買ってくれた方は本当にありがとうございます。
また、今回招待されたずんパラじおの公開収録イベント「ずんパラじお〜バレンタインスペシャル生配信だよ全員(みんな)集合!」ですが、これはマジで凄かったです。
私はラジオの公開収録とか初めてだったんですが、1時間半ノンストップで楽しめました。イベント内容については後日別の記事にまとめる予定です。
とにもかくにも、催眠音声が縁で公式のイベントにここまで関わることができたのはなんというか、人生何が起こるかつくづく分からないものです。ここまで公式と二次創作者との距離が近いコンテンツというのもそうそう無いと思います。恐ろしやずんずんプロジェクト。
おわりに
最後に「ずんパラじお」についてですが、なんとこの番組のエンディングテーマとして「あまあま催眠リミックス」が正式に採用されました。
ちなみにオープニングテーマは「ずんだパーリナイ」。どちらも伊藤ゆいな氏の本人歌唱バージョンです。
ずんパラじおは、11回の放送を経てつい先日第2期が始まったばかりです。第2期からは月1回放送になる代わりに、収録放送から生放送になり放送時間も90分に大幅拡大。パワーアップを遂げています。
色んなゲストもバンバン呼ぶらしい(直近の第2回ではなみぐるさんがゲスト出演しています)ので、是非聴いてみてはいかがでしょうか。エンディングに催眠音声が流れるラジオ番組なんてそうそう無いはずです。
ちなみに、あまあま催眠リミックス以外にもいろいろな曲を投稿する予定なので、良ければチャンネル登録とかして頂けると本当に嬉しいです。
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