放射線の真実を隠す。それもまた医学
「ガンを予防する方法」などの、医者が書く俗書で、放射線を受けないこと、という訓示は決して含まれない。悪質としか言いようがない。読者は飲酒、喫煙をせず、運動して、よく睡眠をとればガンにならないと思いこむ。そして、その健康な志向から、病院や検診施設についでに通う。医療放射線は待ってましたとばかりに、彼の健康とは別次元のところからやってくる。肺のCTなど一度とられでもしたら、どれだけマスクを何重に重ねても失われた寿命はもどらない。
放射線は遺伝子の配列を変えてしまう。どんなに微量でも、事後、どんなに生活習慣に気を付けても、そのリスクは死ぬまで残り続ける。ソマティックな修正をジェネティックな規則が拒絶する、最好の見本が放射線である。タバコやアルコールは、放射線にはとうてい及ばない。
鍛えられた格闘家やスポーツ選手が突然ガンになる。大抵、医療放射線が関わっている。大したことのない持病のある若者がガンになる。持病検査のCT累積が関与している。毎年マンモグラフィーを受けていた人が乳ガンになり、胃透視を受けていた人が胃ガンになる。これなどはもはや命の詐欺である。
みんな受けなくてよい検査のせいで、せっかくの健康体にガン芽が埋め込まれているのだ。筋肉や若さや禁欲は、放射線の前ではおそらく無力だ。活性酸素を抑えるために、トマトを主食にしても無意味だろう。
しかし、放射線回避が、防ガンの絶対条件であることを社会は隠蔽する。それは言ってしまえば、医療放射線システムを固持するためである。それ以外には説明がつかない。そして放射線“聖化“は、医学の範疇に入るのである。つまり、医学は政治学としての側面を持つ。
放射線は多細胞生物にとって、この世でもっとも恐ろしいものである。そして今を生きる日本人にとって、医療放射線がそれである。
君は会社検診で、マンモグラフィーやバリウムのオプションはつけたか? そこにこそ、この社会の殺戮性が凝縮されている。運命の分かれめだ。嘘だと思うなら、数年後の未来の君に尋ねてみるといい。エックス線はガンマ線より生物にとって危険であることが、きっと理解されるだろう。被爆者より医爆者のほうが、寿命を大きく削減されていることが。