ユンガー、シュペングラー、エヴォラへ。
君たちに関心を抱いていたとき、俺は病気じゃなかったが、片や君たちは現代から病として疎んじられていた。それはきっと、この時代で最も健康な人たちが読むべき書物が、君たちが書いたものだからだろう。
「ストーム・オブ・スティール」「マン・アンド・テクニクス」「ライド・ザ・タイガー」を読めなかったのはしごく残念だ。
俺は病を得た。きっと死病だ。君たちを知った後ではいささか退屈だが、若い頃に熱読したキルケゴールを思い出してみる。確かちょうど彼の享年と同じ。運が良ければ近々死ぬかもね。目の前は、一気に死の暗闇で覆われてしまった。
君たちのことは、未来ある若者たちにまかせる。きっと意気軒昂な少壮が、上掲の良書を手に取って、未来と伝統を融合させる美挙をやってのけるだろう。自分の肉体は衰えないと信じきっていたこの間までの俺が、夢見ていたような。
無念だよ。生の哲学者である君たちも、死ぬ際にはそう思ったのか? 100強歳の大往生のユンガーも、50代で早世したシュペングラーも。しかし、せめてエヴォラの年くらいまでは生きたかったな。