病院の診察室は、まさしく命のやりとりの場

 君がもし、ひどい体調不良で意識朦朧としていて、「1ヶ月前に腹部CTは受けました」という言葉すら述べられない状態だったら、後は医師の性格が、君の将来寿命を決める。良き医師は念を押して君のCt履歴を強く確認するだろう。そうでない医師は、そそくさとCT撮像をオーダーしてしまうかもしれない。
 診察室へ赴いて救われる確率は、殺される確率と、どちらが高いだろうか。もとより放射線検査にかぎらず、あらゆる検査オーダーに患者の生き死にはかかっている。医療事故にしろ、薬の処方箋にしろそうだ。君が診察室に入ったら、対峙者は味方なのか敵なのか、まだ分からない危うい存在であることを、重々みずからに言い聞かせた方がいいだろう。

いいなと思ったら応援しよう!