紙の支配からデジタルが抜け出すためには、書き手が全ての素性をさらす必要がある
紙の既得権益によって出版事業は成立するのであり、才能や面白さでその業界が成立しているわけではない。しかし、デジタル文学やアートは、すでに紙の内容を全面において凌駕しつつあり、それはAI創作からも明らかである。
あとは書き手が匿名性を振り捨てる勇気を持てるかどうかである。デジタルがますます拡充し、人間知能と人工知能が混在するなかでこそ、インターネットの長年の課題であり、呪いであり、アンチモラルの源泉であった匿名性が解決されねばならない。そのとき、優れた才覚を持つ人は既得権益に対峙し得る正当な創作世界を、デジタルの中に打ち込むことができるだろう。