私が書き続けたわけ
一筆から始まる絆:学級通信の目的ときっかけ
今年度教職人生12年目を迎えました。昨年度に引き続き、学びの多かった今年度。特に今年度は、インプットしたことを自分なりにやってみようと実践(アウトプット)を重ねた年になりました。
その中でも、今回は、夏休み明けから熱を入れ始めた学級通信の発行についてまとめようと思います。これは、『汗かけ恥かけ文を書け。』『BBQ型学級経営』などの著者である渡辺道治先生の学級通信の実践や、古舘良純先生の教育への情熱と学級通信の実践に触れたことによる影響が非常に大きいです。お二人の実践に力を得て、9月から3月末日までに100号以上の学級通信発行を決意しました。
この学級通信の目的は、単に情報を伝えることではなく、子どもたち一人ひとりの成長の証を保護者と共有し、家庭と学校が一丸となって子どもたちの発達を支援することにありました。したがって、この旨も保護者には学級通信を通してお知らせし、できるだけ読んでいただけるようお願いしました。
さらに、読んだ感想もいただけるように感想用フォームのリンクもつけて発行しました。そうすることで、教師側からの一方通行で終わるのではなく、いわゆる双方向型の学級通信として発行したわけです。これは、坂本良晶先生の実践を参考にさせてもらいました。
声になる文字たち:保護者と子どもたちの心をつなぐ
私の学級通信には、係活動や授業中の様々な場面、具体的な指導の内容、学校行事での子どもたちの姿など、多岐にわたるトピックを盛り込みました。これらの内容を通じて、子どもたち一人ひとりの成長や学び、日々の活動を保護者に詳細に伝えることができました。そして、私がそのことについてどう感じたのか、考えたのかについても書きます。つまり、価値づけですね。子どもたちの具体の姿を見て、教師がどのように考えていたのかを保護者に伝えようとしたのです。
例えば、「集団づくりプログラム」の活動では、具体の場面を用いて、友達との関わり方について考え、話し合った様子を紹介しました。「人の気持ちもそれぞれだから、相手のことを考えてやさしく話しかけるのがいいと思いました。」「これまでのわたしはBさんのように強く言ってしまうことがあったので、Bさんのように強く言ってしまうことをなくしたい。」というような、子どもたちの実際の言葉を掲載しました。このような活動に対し、「実際に役割演技を通すことで、その状況を追体験することができました。子どもたちは、言い方によってこんなにも違うのかと気づくことができていました。その中でも、表情でも伝わりが方が違うということに気づく子がいて、とてもいい観点をもっているなと感じました。」と、その時に私が感じたことを合わせて書きました。このように書くことで、子どもたちがどのように考えていたのかをそのままの形で伝えることができましたし、教師がどう評価しているのかも保護者に伝えることができました。
保護者からは、「学校のことがよくわかる」「子どもたちのことをよく見てくれている」といった感謝のお声を多数いただきました。また、通信が家庭での会話のきっかけとなり、家族間のコミュニケーションが増えたという声も寄せられました。年度当初は、このような声をいただけるとは微塵も思ってはいませんでした。話題になればいいなとは少し思っていましたが、家族の会話が増えた、楽しく話すようになったなどなんて、正直驚きです。しかし、来校された保護者の方に直接感想をいただけたり、面談で「勉強になります。家でも、子どもとの関わり方を考えていこうと思いました。」と言ってくださる方がいて、これまで発行し続けてきたことは無駄じゃないと確信しました。
子どもたちも、自分たちの活動が認められ、通信を通して保護者に伝えられることを喜んでいました。通信を配る際に、私が読んで配ることもあり、子どもたちの成長したことや活動のすばらしさなどを価値づけることができたことも、子どもたちの自己効力感を高めることにつながったのかもしれません。現に、私が発行した学級通信を大事に綴じ合わせてくれている子どもいるみたいです。こんなに嬉しいことはありませんね。
この活動を通じて、私は「伝えること」の重要性に深く気づかされました。学級通信を通して保護者へ発信し続けることは、学校教育への理解を深め、教師と保護者の信頼関係を構築することに繋がります。
研ぎ澄まされる目:日々の切り取り方から学級経営が加速する
また、学級通信を出し続けることは、教師である自分自身が日々の教育活動を振り返り、学級経営を見直す機会ともなりました。
学級通信を毎日のように出し続けるためには、何を題材にするかアンテナを貼っておく必要があります。これまではそのようなことはなかったので、必要以上にアンテナを高くしていなかったのが事実です。ですが、どんなことも題材になると考え、張っているとそれに気づくことができます。ふとした瞬間に聞こえてくる言葉。子どもたちの何気ない心遣い。ちょっとした諍いの原因。一緒に遊んでいるときに見えてくる、普段見えない子ども同士の関係性など。
こちらが見ようとしなければ見えなかっただろうことがたくさん見えてくるようになりました。そして、その一つ一つに対して、どう価値づけるか指導するかを考えるわけです。どんな言葉がいいか。何を伝えて、何を言わないか。いやでも思考が巡ります。管理職の先生にも相談したこともあります。どう伝えることが、子どもたちにとってよいか。クラスという集団にとって最善か。正直、辛い時期もありました。クラスの課題がよく見えるようになるからです。そんな時、古舘良純先生のVoicyで聞こえてきたのが、「まだやれるでしょ。」という言葉でした。打つ手がなくなるまで打ち続ける。そこまでやる、ということです。ハッとしたのを今でも覚えています。
見えてきたものに打てるだけの手立てを打ち、それを学級通信に載せる。それを幾度となくくり返してきました。そのおかげで、クラスはぐんぐん伸びていきました。保護者からも管理職からもたくさん褒めていただきました。専科の先生方からも褒めていただきました。子どもたちは本当によく頑張ったなと思います。
未来への架け橋:学級通信から学んだこと
学級通信を定期的に発行することで、多くの成果を実感することができました。まとめると以下の3点です。
保護者との信頼関係を強化し、学校と家庭との間でのコミュニケーションを促進する大きな役割を果たしたこと。
一人ひとりの児童の成長を密に観察し、その変容に気づくことができたこと。
クラス全体としての成長や必要な指導ポイントを見極めることができたこと。
これらの成果に満足することなく、今後は学級通信をさらに発展させる計画を立てています。子どもの「リアルな声」や「リアルな姿」などを写真や動画を使ってさらに具体的な日々の様子を伝えること。これらはクラウドツールを使い、学級通信にQRコードとして掲載することで実現できそうです。より生き生きとした学校生活の一コマを保護者に届けることを目指します。また、今年度同様に、学級通信を双方向のコミュニケーションツールとして活用し、保護者からのフィードバックを即座に受け取れるようにすることで、学級運営に生かしていきたいと考えています。
終わりに
最後までお読みいただき、ありがとうございました。今年1年間は、とても内容の濃い1年間だったため、普段なかなかできなかったふり返りを、AI(ChatGPT)の力を借りてやってみました。自分がやってきたことに対して、どう成果があったのかを事細かにふり返ることは、次年度の自分へのエネルギーになることを実感することができました。皆様もぜひ、AIを活用して、ご自分の活動をふり返ってみてはいかがでしょうか。
ありがとうございました。