2024年 挑み続けた発信 その先に見えたもの
まずはじめに
記事に興味を持ってくださりありがとうございます。私は神奈川県の公立小学校で働く教員です。平凡な公立小学校教員の私が2024年に取り組んできたことをふり返りとしてまとめた記事となります。周りの皆さんにとっては大したことではないことかもしれませんが、私にとって大きな転換期にもなったこの一年でしたので、ふり返りとして言語化してまとめてみました。最後までお読みいただけると幸いです。
変化の始まり
2024年の始まりに、私はふと考えました。「自分は学び続けているけれど、この学びは本当に意味があるのだろうか?」と。新しい知識や考え方をインプットするたびに、どこかで満足してしまい、それをどう活かすのか深く考えることが少なかったのです。あるあるですよね。そんな時、インプットばかりではなく、アウトプットに挑戦することで、何かが変わるのではないか。そう思ったのが、すべての始まりでした。
実は、私はこれまで学級通信を書き続けることで、自分の考えを保護者や周囲に伝えることにある程度の自信をもっていました。その延長線上で、「職員向けにも何か発信できるのではないか?」と考えるようになりました。
ちょうどその頃、けテぶれでお馴染みの葛原祥太先生の「葛原書房」という記事共有の仕組みがあることを知り、これを活用してみようと思い立ちました。職場で記事をシェアするだけでなく、自分の考えや学びを一緒に添えて発信することで、同僚にも何かしらの影響を与えられるのではないか、と思ったわけです。
内向的な性格の私です。もちろん、発信することへの不安がなかったわけではありません。情報をどう受け取るかは相手次第だと思っていた部分も少なからずあり、これが発信することへのハードルを低くしていたかもしれません。例えるなら、種を撒くような感じ。撒いた種が必ず芽を出すとは限りませんが、撒かなければ何も始まらない。そんな感覚で、私は発信という行動を自然に受け入れることができました。発信することで私自身は何かしらの学びや経験などを得ることができます。さらに、「自分の学びが少しでも同僚の助けになるのなら、それ以上の喜びはない」という気持ちも私の中であり、割と大きかった気がしています。こうして、私の“発信への挑み”が始まりました。
外への意識を行動に
(1) 日々の発信活動
私が日々の発信活動で使ったツールはGoogleの「classroom」です。職員の皆さんが手軽にアクセスでき、通知機能もあるため、必要な情報をタイムリーに届けられる点が魅力でした。また、配信予約機能があることで、自分の時間管理もしやすく、発信を継続するための負担が軽減されます。
発信内容は基本的には葛原書房の記事によりますが、その記事と関連した形で発信するようにしました。けテぶれやQNKS、心マトリクスというツールの活用から子どもたちの主体性を育む方法や授業づくり、教師のマインドセットなど、日々の教育活動に密接に関係するテーマを中心に書き続けました。その他にも、EDUBASEというコミュニティーでの学びや古舘良純先生、渡辺道治先生などのセミナー等での学びも踏まえつつ、発信をしていたので、発信の内容は幅広いものになったと思います。
その中でも特に反響が大きかったのは、「考えさせようとしないと、子どもたちは考えるようにはならない。」というテーマでした。この通信では、授業の中でどのように子どもたちに思考の場面を作り、思考を促すかについて書きました。通信を読んだ同僚の方々からは、質問が寄せられたり、授業で試してみた実践の結果を共有していただいたりしました。また、このテーマをきっかけに、職員室で授業づくりや学級経営、児童の学びの進め方や見取り方などについて議論する雰囲気もできてきました。
発信を続ける中で、同僚の方々がご自分の授業や児童指導のあり方などについて真剣に向き合う姿を見る機会が増えました。実際に相談に来てくださる方もおり、具体的な課題について意見交換をしたり、一緒に解決策を考えたりすることもありました。実際にクラスに入ることも。。。このようなやりとりを通じて、発信が単なる情報共有にとどまらず、職員間の対話を促進するきっかけになっていると実感しました。
(2) 若手教員のサポート
若手教員を対象としたメンターチームの研修にも講師として参加させてもらいました。私が特に伝えたいと思ったのは、教師としてのマインドセットでした。授業づくりや児童指導、学級経営に関する具体的な技術(いわゆる、ハウツー)も重要だと思いますが、根底にある考え方や姿勢を共有することで、その後の教育活動がより深まると考えたからです。そのため、研修の初期には、教師としてどのようなマインドで子どもたちに向き合うべきかを一緒に考える場を設定しました。その後、授業づくりで大切にしたいポイントや児童指導の具体的な方法にも徐々に触れていきました。
(第1回目の研修で使用したスライドです
元々学ぶ意欲が高い若手教員たちでしたが、研修を通じて、彼らが自分の教育活動をより意識的に捉えるようになってきたのを感じました。例えば、授業中の発問や言葉がけ、教師が立つ位置や視線の送り方、意見を引き出す工夫など、細かい部分にまで注意を払い始めました。「何を意図してこの行動をしているのか」という意図を明確にすることで、授業や児童指導がより洗練されていったように思います。
(「なんか偉そうに…」と感じた方、すみませんでした。そんなつもりはないんです。)
私自身も、この研修を通じて多くの学びを得ました。書籍やセミナーで学んだことをただ自分で実践するだけでなく、他の人に伝えることで、その内容をより深く理解し、自分の中で整理できるようになってきました。
また、若手の方々が考えていることに触れることで、自分自身を振り返り、再び学び直す機会を得ることもできました。彼らのことをよく知ることで、それぞれの課題に合った助言を送ることもでき、共に成長していけたと感じています。この伴走する感覚は、私にとっても大きな喜びでした。
(これを機に"人材育成”にも興味をもちます。)
(3) 自己研修とスキルアップ
実はどうしても取り組みたかったことがありました。それが「Canva」研修です。5月にあったCEC神奈川でちょこっとスタッフとして参加させてもらい、何か自分でも職場でできることがないかと思っていたわけです。そこで同じようなことをやってみようと奮起しました。
子どもに授業したり指導したりする上で、伝える内容を視覚的に整理し、より効果的に伝えられるスキルを身につけることは重要ですよね。そこで、初めのセッションでは「Canvaでできること」と「なぜCanvaを使うと良いのか」についてのガイダンスを行いました。そして、実際にロゴ作りを体験してもらい、Canvaの操作感やその便利さを体感していただくことを意識しました。
ガイダンスの後は、授業や職務でどのようにCanvaを活用できるかを考えるワークショップ形式に移行しました。実際に操作しながら学ぶことで、参加者自身がその良さを体験し、研修後にも自分で使いこなせるようになることを目指しました。特に、視覚的なスライド作成や教材作りに役立つ具体例を提示することで、参加者の実践意欲を高めるよう工夫しました。
研修を進める中で、いくつかの課題にも直面しました。参加は任意だったため、スケジュールの調整が難しく、管理職と相談しながら負担の少ない時間帯を設定しました。また、参加者を募るためには、チラシや口頭での案内などの宣伝が重要でした。これらを工夫することで、興味を持ってもらうきっかけを増やすよう努めました。
この研修を通じて、私自身も多くの学びを得ました。同僚との関わり方や距離感の取り方、さらにはあまり気乗りしない方へのアプローチの仕方など、職場における人間関係を構築する上での重要な視点を考える機会になりました。
また、研修の成果として、同僚の方々が実際にCanvaを活用し始める姿を見ることができました。授業用スライドや提案資料、チラシを作成する人が増え、Canvaが職場で広がりを見せたことは大きな喜びでした。
発信し続ける先に見えてきたもの
日々の発信や若手教員へのサポート、自己研修を通じて、職場には少しずつ変化が生まれました。特に、関わりの多いメンターチームや同僚の方々は、日頃の授業や児童指導、学級経営に対してより意識的(意図的?)になったように感じます。それからは、具体的な子どもの姿をもとに話し合う機会が増え、それに伴って自然と職員同士のつながりが深まっていきました。議論が日常的になり、「話し合うこと」が当たり前の文化が職場に根付きつつあります。この雰囲気の変化こそ、発信や研修を通じて得られた大きな成果の一つだと実感しています。
私自身もこの1年で大きく成長できたかと思います。いや、変化したという方が適切かも…。通信の発行や研修の企画運営を通じて、自分の教育観がより明確になってきたのを感じます。同僚と議論する中で、アプローチの違いから生じる意見のぶつかり合いも経験しました。しかし、そうした摩擦があるからこそ自分の考えが深まり、関係性がより良いものに変わっていくことを学びました。この経験を通じて、教育に対する意識がさらに高まり、「一人ではなく、みんなでより良い教育を創る」という意識が強くなりました。
発信活動を始める前の私は、自分の考えを言葉にすることにためらいがありました。「自分の思っていることなんて大したことではない」「みんなすでにその段階は通過しているのではないか」と感じ、意見を飲み込んでしまうことが多かったのです。
しかし、発信を続けることで、自分の考えていることがより明確になり、誰かと議論するきっかけが生まれ、さらに考えが深まるという実感を得ることができた。これは、以前の私のままでは得られなかったものでしょう。それに、自分がどのように考えているのかを同僚に知ってもらうことで、私という人間を知ってもらうことができ、職場でのコミュニケーションがより円滑になったように感じます(異動してきて2年目ですけど)。この経験は、私にとって大きな自信と行動の原動力になりました。
コンフォートゾーンから踏み出す
行動を起こすことで、自分の中の何かが確実に変わります。そして、自分が変わると、不思議なことに周りも変わり始めます。最初は小さな一歩でも、それを続けることで自信が生まれ、次第に大きな変化を引き寄せる力になります。愚直な努力の積み重ねが、自分を強くし、周りを巻き込む原動力になることを、この1年を通じて強く実感しました。
その結果、私の勤務校では、子どもたちにとって学校が楽しい場所であるために、また、職員にとって職場が楽しく、やりたいことが実現できる場所であるために、どうすれば良いのかを考え、動こうとする気運が生まれ始めました。学校全体が一つの目標に向かって進むための雰囲気が形作られてきたことは、この1年で得た最大の成果です。
2025年に向けて、私はさらに実践を重ね、その結果を分析し、理論化して同僚と共有していきたいと考えています。そして、子どもの主体性を育むために大切なことについても、日々発信を続けていきます。
行動を起こす勇気が、次の一歩を作り出し、その一歩がまた新たな景色を見せてくれる。このサイクルを信じ、歩み続けていきたいと思います。
読者の皆さんの中でもし以前の私のように「自分なんて」と思っている方がいらっしゃるのであれば、どうか一歩踏み出してください。その一歩が、必ず未来、次のステージを切り開いてくれます。
私はそう信じています。
稚拙な文章で読みにくかったかもしれませんが、最後までお読みいただきありがとうございました。
2025年もどうぞよろしくお願いいたします。